病院の血圧と家庭の血圧、どちらが重要?
家庭血圧計はすでに3500万台が日本の各家庭にあり、その普及に伴い近年の高血圧診療は少しずつ変化してきています。
100年以上前から診察の際に行う血圧測定は、その膨大なデータと医学的根拠に裏付けされ、たくさんの人々を救命し疾病を予防してきました。
そして現在の診療でも診察室血圧の値が絶対的な診断基準を確立しています。
それに対し家庭血圧は20〜30年と歴史は浅いものの、その幾つかの研究によって診察室血圧より優れている点もあることが明らかとなっています。
その中でも特に注目されることは、家庭血圧の方が将来起こる臓器障害や脳心血管合併症(脳卒中など)の発症を予測する能力が高いということでした。
家庭血圧を測定し始めると誰もが気づくことですが、血圧は常に変動しているものです。
毎日同じ部屋で測定したとしても、時間帯、測定回数、季節などの少しの条件の違いで、また測るたびに数値は変動します。
当然病院で測る血圧と家庭で測る血圧は同じ値にはならず、月に1度の病院の診察室という特別な環境で測定される血圧値より、日常生活の中の血圧値の方がその人の身体へ与える影響と密に関連する場合もあります。
診察室血圧と家庭血圧との間に必ずしも一定の関係性がないために、診察室血圧値から家庭血圧値を予測することはほとんど困難です。
そのためこの二つの血圧値はそれぞれが独立して評価されるべきものです。
診察室血圧が正常値で家庭血圧が高値である仮面高血圧の人は、脳卒中や心臓病の発症が3倍も多いと言われています。
病院だけで血圧を測っている人は、それが正常値であっても家庭血圧も測ることが大切です。
診察室血圧と家庭血圧、この二つの血圧はどちらも真実ですのでしっかりコントロールすることが重要です。