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腰痛(ようつう)のお話

整形外科2008/08/13

 整形外科を訪れる方々の20~30%が腰痛症の患者さんです。

 腰痛症は様々な病気が原因で生じます。痛みの生じ方から、腰への急激な負担から痛みが生じる「腰椎椎間板(ようついついかんばん)ヘルニア」や、「脊椎圧迫骨折(せきついあっぱくこっせつ)」などの急性腰痛、立ったり歩いたりすると徐々に歩くことが困難になる「腰部脊柱管狭窄症(ようぶせきちゅうかんきょうさくしょう)」などの慢性腰痛に分けられます。

 また、腰痛には腰の骨、椎間板や椎間関節、神経根などによるものだけではなく、内臓(腎臓)や血管(腹部大動脈瘤[りゅう])や血液(白血病)などの原因によって生じるものもあるので正確な診断が欠かせません。

 「かぜは万病のもと」とよく言われますが、腰痛症も同じです。

 軽い病気と考えずに、「何が原因で、どこがどのように障害されているのか」、整形外科の専門医を受診し、正確な診断のもとに充分な説明と治療を受けることが大事です。まずは医師に相談されるか病院ホームページをご覧になることをおすすめします。


Text by 大村病院 大村 和久(  「」掲載)

不活化(ふかつか)ポリオワクチン

小児科2011/04/25

 みなさんはポリオワクチンにも口から飲む生ワクチンと注射でする不活化ワクチンの2種類があるのをご存知ですか? 現在、日本のすべての自治体で行われているポリオワクチンの接種にはポリオウイルスから強い毒性をなくし弱毒化した生ワクチンを6週間以上間をあけて2回飲んでもらうという方法がとられています。 昭和35年から36年にかけてのポリオの大流行の時は旧ソ連からポリオワクチンを緊急輸入して流行を防いだという実績のあるワクチンのおかげで、昭和55年以降野生のポリオウイルスでのポリオの発生がなくなりました。
しかし、一方でワクチンに由来するポリオの発生が平成19年度には4例、平成 20年度には7例発症するなど、ワクチン由来のポリオの発生が問題となるようになりました。 平成22年には、ワクチン由来でのポリオの発生がない不活化ワクチンに早期に切り替えをするよう小児科学会から要望書が出され、ワクチンメーカーでの臨床試験が進んではいますが、製品化され多くの子供達がその恩恵を受けるためにはあと数年の時間が必要です。 小児科医の有志たちは、この要望に応えるべく、独自に不活化ポリオワクチンを輸入して接種を始めるという行動をとっています。
世界中で認められているワクチンですから、安全性に問題はありませんが、国の承認を受けていないために、万が一事故が起こった場合の補償が限られること、接種方法が筋肉注射なので、1歳前のお子さんであれば、太ももに注射しなければならないことなどは知っておくべきでしょう。 一般的にはポリオの生ワクチンは安全性、効果ともに問題はないのですが、どうしても心配な保護者の選択肢を増やしてあげたいという思いが、小児科医の心を動かしているものと思われます。
現在、私の知る限りでは道南地区では接種を行えるところが1ケ所、準備が整いあとはワクチンが届くのを待っているところが1ケ所あります。
不活化ポリオワクチンを受けさせたいと思われるのであれば、ご自身でもよく勉強され気持ちを決めてご相談ください。


Text by かみいそこどもクリニック 渋谷 好孝( 2011年4月25日 「北海道新聞夕刊」掲載)

うつ病②(精神症状)

心療内科2012/10/29

 うつ病で多くの身体的な症状が現れることは良く知られていますが、精神的な面にも様々な影響が現れます。

 うつ病というのは感情の病気ですから、まずは感情の問題が生じます。「感情が無くなってしまった」、「悲しいと感じることもできない」というような症状が実は最も典型的なものなのですが、憂うつ、気持ちが落ち込むなどが一般的に見られます。この他、悲しい、絶望感、などの症状もよく見られます。また、かなりの方が不安(不安は感情の障害の症状の一つとも考えられています)を感じます。

 次に意欲の低下があります。意欲は行動に影響を与えますので、最も重症な場合には、まったく動かず、反応が無くなってしまうことがあります。もちろん、これほどの重症な例は多くはありませんが、多かれ少なかれ意欲低下が見られ、何もする気がしない、物事が大儀と感じられるものです。また、人に会いたくない、人と話をしたくないと感じられたりします。

 思考に関しては、「頭が回らない」、「考えが進まない」という症状が典型的で、ひどい時には話もまともにできなくなります。考えようにも、思考が進まないということです。

 一方、くよくよと同じ悲観的な内容のことをくり返し考え続けていることがあります。「抑うつ的なめいそう」などと言われるもので、見た目はぼんやりしている感じで、動きも少なく、先に述べた「頭が働かない」という状態と同じようには見えるのですが、若干事情が異なっています。

 悲観的な考え、マイナス思考を反復することによって憂うつな感情が悪化し、それがまた悲観的な考えを強くし、絶望感を増す、という悪循環ができていることがあります。このような場合、バランスのとれた思考に目を向ける、マイナス思考があってもある程度の行動を試みるなどの自己コントロールが必要とされ、それが有効なことがあります。


Text by ゆのかわメンタルクリニック 久保田 修司( 2011年10月29日 「北海道新聞夕刊」掲載)

レビー小体型認知症

心療内科2016/10/31

 認知症には様々な種類のものがありますが、その一つが「レビー小体型認知症」です。
脳に「レビー小体」というものが見られることからこのように呼ばれています。
レビー小体型認知症はアルツハイマー型認知症、血管性認知症と並んで、比較的多く見られる認知症です。
認知症と言うとまず物忘れが思い浮かびますが、レビー小体型認知症では物忘れを始めとする認知機能の低下があまり目立たない場合があり、次のような様々な症状が出現する傾向があります。

 まず、睡眠時に大声で叫ぶ、壁をたたいたり、暴れたりすることがありますが、これは夢に関係する症状です。
夢を見ている時には筋肉は弛緩しており、実際の行動は起きないものですが、そのバランスが崩れると様々な行動となって現れるのです。

 また、良く見られる症状には幻覚、特に幻視があります。
「子供がたくさん来ている」、「孫が居る」などと言ったりします。
同じ内容の幻視がありありと、繰り返し体験されるのが特徴です。
また、抑うつ症状が目立つこともあり、特に高齢の方の治りにくいうつ病の場合には注意が必要です。

 動作が遅くなったり、つまづきやすくなったり、パーキンソン病の症状が見られることがあります。
また、自律神経の症状として、起立性低血圧、必ずしも原因ははっきりしないのですが、失神も起きることがあります。

 検査に関しては、脳シンチという検査が有用です。
頭部MRIでは萎縮が明らかではなく、はっきりした所見が得られない場合でも、脳シンチでは後頭葉の血流が低下していたり、基底核という部分への薬剤集積が低下しているのが分かります。
治療についてですが、薬剤の副作用が出やすいことが特徴であり、量的に少な目に処方することになります。
認知症に対する薬、漢方薬、パーキンソン病に対する薬、場合によっては少量の精神安定剤が用いられます。


Text by ゆのかわメンタルクリニック 久保田 修司( 2016年10月31日 「北海道新聞夕刊」掲載)

メタボリックシンドローム・・・あなたのウエストは何センチですか?

 日本人の三大死因として、がん・心疾患・脳血管疾患という三つの疾患が挙げられます。

 これらの疾患は、毎日の食事や睡眠、運動不足などの生活習慣の積み重ねによって起こります。なかでも心疾患と脳血管疾患は、全体の三分の一を占め動脈硬化が原因といっても過言ではありません。

 メタボリックシンドローム(以下 Mets)とは、内臓脂肪肥満(りんご型肥満)を背景にして、複数の生活習慣病(糖尿病、高脂血症、高血圧などの動脈硬化危険因子)が合併している状態を言い、動脈硬化や日本でも急増している糖尿病と深く関係しています。ウエストが男性で85cm、女性で90cm以上であることに加え、次の三項目のうち二つ以上が該当する場合がMetsとされます。

  1. 収縮期血圧が130mmHg以上か拡張期血圧が85mmHg以上
  2. 空腹時の血糖値が110mg/dl以上
  3. 中性脂肪が150mg/dl以上かHDLコレステロール(善玉コレステロール)が、40mg/dl未満(糖尿病、高血圧、高脂血症などで治療薬を服用しているときは、それぞれ一項目に該当)

―このようにMetsでは一つ一つの症状は深刻でなくとも重複して持つと動脈硬化性疾患のリスクを有している事になり、3~4個重なれば心血管の病気の発症頻度が30倍にもなるという報告もあります。メジャーを用意しウエストを測ってみてください。

 次に血圧を計りましょう。

 最後に最近お受けになった健康診断や病院からもらった血液検査の結果を見直してみましょう。いかがですか? あなたはMetsの範疇に入りますか? Metsに該当する場合は、まずは生活習慣の見直しをかけて、ウエスト周囲径を一cmでも減らす事が重要です。

  1. まずは過食や運動不足などの悪い生活習慣を改め、肥満を解消しましょう
  2. 食事は健康の要。適切な摂取エネルギーの範囲内でバランスよく栄養をとり、一日三食、規則正しく食べることが基本です。またタバコはやめましょう
  3. 有酸素運動は体力の維持増進のほか、肥満防止、内臓機能の活性化、ストレス解消にも効果大です。

 病気になってから治すのではなく、病気にならないよう生活習慣に気をつけましょう。


Text by ごとう内科胃腸科 後藤 琢(  「」掲載)

タコとウオノメについて

皮膚科2013/05/31

 歩くたびに足の裏に痛みを感じることはありませんか? 今回はタコとウオノメのお話です。

 タコもウオノメも皮膚が硬くなってしまう状態です。
医学用語ではタコは胼胝腫(べんちしゅ)、ウオノメは鶏眼(けいがん)といいます。わたしたちの皮膚は繰り返し圧力がかかると厚くなっていきます。
これは刺激から皮膚やその下の組織を守るための正常な反応です。
たとえばいつもペンや鉛筆を持っていると利き手の中指などが厚く硬くなります。
この状態がタコで通常痛みは伴いません。
ところが、足の裏の皮膚が硬くなってしまうと、歩くたびに押されるため、次第に奥に入り込んでしまうため、痛みが出てくるのです。
表面から見ると芯の部分が丸く見えるためウオノメ(魚の目)という名前がついています。

 一度ウオノメが出来ると、歩行の度に押されて奥に入ってしまい、次第に強い圧力がかかるようになるため、自然にはなかなか良くなりません。
さらに痛みのある側の足をかばって歩くうちに腰まで痛くなってしまうこともあります。

 ウオノメの治療は硬く入り込んでしまった皮膚を専用のハサミで取り除いていく方法です。
一見痛そうですが、通常、ウオノメ自体には神経は来ていないため、治療時の痛みはありません。
ウオノメを柔らかくする絆創膏も市販されていますが、奥の方にはまり込んだ芯は取れにくいですし、ご自分でハサミやナイフなどで削っている方もいらっしゃるようですが、足の裏側というのは意外と手が届きにくく、かえって刃物で怪我をしてしまう恐れもあります。
またウオノメやタコと思っていても実はウイルス性のイボである場合もあり、これは治療法も異なりますので、医療機関で一度御相談されることをおすすめします。


Text by みなとまち皮膚科菊地医院 菊地 誠一( 2013年6月号 「ダテパー Dr. Dr.プリーズ」掲載)

コレステロール論争

内科2012/03/23

 平成22年9月、脂質栄養学会から「長寿のためのコレステロールガイドライン2010年版」が発表されました。
その内容は、中年〜高齢の一般集団では、コレステロール値の高い方が低いよりも癌死亡率や総死亡率が低いので、コレステロール値を下げる医療や食事指導は誤りである、というものでした。
この発表により、コレステロールに関する認識が覆され、治療中の患者さんや一般の方々の間に大変な混乱を招きました。

 この発表に反対の立場をとる日本動脈硬化学会は、同年10月に次のような声明をだしました。
肝臓疾患や癌患者などの低栄養状態の人達のコレステロール値はそもそも低値であり、そのような状態の良くない人達を含めた一般住民の統計から「コレステロール低下療法は誤りである」としたのは、コレステロールが最初から低値であるという事と高値から低下させる事を混同して論じており、国民に誤解を与えるというものでした。

 90年代から最近までに報告された幾つかの臨床試験では、悪玉コレステロール(LDL)値を下げると動脈硬化を基にする疾患(心筋梗塞や脳梗塞など)の発症が減少するという、科学的に信頼性の高い評価を受けています。
さらにそれらの試験結果から、二次予防(1回心筋梗塞を起こした人が2回目を起こさないための予防)では、LDL値は出来るだけ低値へ下げる方が良く、一次予防(まだ発症していない人の予防)では、動脈硬化リスク(男性、高血圧、糖尿病、喫煙、低HDL、冠動脈新患の家族歴)を多く合わせ持っている人ほど下げる方が良いとされています。
また、75才以上の高齢者や女性の一次予防に関しては議論の多いところですが、LDLとHDL(善玉コレステロール)の比や頚動脈エコー検査などで個々の病態を検討し、リスクが高い場合は下げる方が良いと言われています。

 現在治療中のかたは、食事療法や内服治療を突然中止したりせず、不安がある場合は医師に相談しましょう。


Text by 関口内科 関口 洋平( 2010年10月号 「函楽」掲載)

緑内障について

眼科2019/03/18

 先週の11日、12日に五稜郭タワーが緑にライトアップされているのをご覧になりましたか? 世界緑内障週間の一環としてライトアップinグリーン運動が行われ、日本全国でランドマークや病院が緑にライトアップされました。
これは緑内障にとって、早期発見・継続治療がとても大切であることを広く知って欲しいという思いが込められています。

 緑内障とは、目から入ってきた情報を脳に伝える視神経が傷んでしまい、見える範囲が狭まってしまう病気です。
進行はゆっくりですが自分では気付きにくく、気付いた頃にはかなり進んでいることが多い病気で、治療せず放置しておけば失明する危険もあります。
40歳以上では20人に1人が緑内障を発症すると言われています。

 緑内障の早期発見のためにも、40歳を過ぎたら定期的な目の検診をお勧めします。


Text by 江口眼科病院 杉浦 彩( 2019年3月18日 「北海道新聞みなみ風」掲載)

涙道内視鏡(るいどうないしきょう)を用いた新しい治療

眼科2013/06/17

 冬になると涙が多いと気付かれている方も多いと思いますが、涙の分泌は冷たい刺激でより出やすくなっているからです。
涙目の原因はいろいろあり、調べても原因がはっきりしない症候性流涙症も多いです。
しかし一方で、涙が目から鼻へ流れる道である涙道が詰まった「涙道閉塞症」の治療に「涙道内視鏡」が登場し、従来の治療に比べて、安全で成功率が高い治療が可能となってきています。
以前は、ブジーという針金で手探りで詰まった箇所を開通させていましたが、いまでは「涙道内視鏡」により、モニターを見ながら治療することもできるようになりました。
また最近では、「鼻内視鏡」という鼻から涙道の開口部を見ることのできる内視鏡と組み合わせて治療することもでき、治療法は従来と比べて進歩しました。
気になる症状がありましたらお近くの眼科医に相談してみて下さい。


Text by 江口眼科病院 昌原 英隆( 2013年6月17日 「みなみ風」掲載)

第2の心臓と夜間頻尿の関係

泌尿器科2021/12/15

人の体には第2の心臓と呼ばれる部位があります。それはふくらはぎ。

体の中を流れる血液は、心臓のポンプの力で全身に送り届けられます。しかし、心臓から遠い下半身ではその力もおよばず、ここでは第2の心臓であるふくらはぎの収縮力が活躍します。この働きが弱い人やふくらはぎをあまり動かさない人では、下半身の循環が悪くなり足がむくみやすくなります。

夜間頻尿の原因として最も多く見られるものに夜間多尿症があります。日中に十分な尿を作ることができず夜間の尿量が増える病態です。第2の心臓が十分働かず摂取した水分が下半身にたまり日中は尿を作らず、夜になり寝るとたまった水分が上半身へ戻り今度は尿を多く作ってしまいます。

第2の心臓ケアで夜間頻尿の対策

薬局で市販されている弾性ストッキングを朝起きてから夕方まで履き続ける。圧迫の効果で下肢に水分がたまりにくくなり夜間頻尿対策となります。

足を高くして横になる。足の下に柔らかいものを敷き足先が10~15cmくらい上がるようにして寝転がる。夕方に30分くらいが目安。睡眠リズムを崩さぬよう、この時は眠らないこと。

塩分を取り過ぎないようにする。塩分は水分を引き寄せることでむくみを悪化させます。

自宅でできる簡単な体操、カーフレイズ。踵を上げ下げする運動です。どこか安定したところにつかまり立ったままゆっくり踵を上げ下げします。1分間に20~30回くらいのリズムで、はじめは短い時間から始めてみましょう。立って行うのが難しい方は椅子に座ったまま行っても効果があります。

下肢のむくみや頻尿は、第2の心臓と関連のないものもあります。持病のある方や症状が改善しない場合は、主治医やかかりつけ医に相談して下さい。


Text by たんだ泌尿器科 田崎 雅敬( 2021年7月19日 「北海道新聞夕刊」掲載)

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