失神バンド
1960年頃にはグループサウンズが流行っていて、オックスとか「失神バンド」がありました。演奏する人が失神してしまうとコンサートは終わりなので、失神するのは最前列に来ている女の人たちでした。
キャーッと騒いで、ぐったりしている所を係員に運び出されていました。
「入場券がもったいない」と小学生ながらに心配したものです。
失神を主訴に外来を訪れる人はよくいます。
26年間の住民調査で「男3%、女3.5%の人が、一度は失神していた」と言う論文があります。
命に別条のない失神の原因もありますが、倒れたときに頭を打ったり、骨を折ったりすることもあります。
失神する状態とは、一過性に脳への血流が減少する状態です。
頭への血流が6~8秒間途絶えるような不整脈が起こったり、上の血圧が60まで低下したり、脳への酸素が20%低下しても失神します。
失神前にふわふわする浮遊感を自覚することもありますし、前駆症状のない場合もあります。
完全に意識を回復するので、「あれはなんだったのだろう?」と不思議になりますが、繰り返すことが多いので、原因を調べるのは大事なことです。
脈の速くなる不整脈と脈の遅くなる不整脈のどちらも失神の原因になります。
脈が速くなる不整脈が起こって、それが止まるときにしばらく心臓が打たないので、失神することがあります。
心房細動と言う不整脈で、脈が非常に遅いときも失神します。
心臓がやたら速く動くのだが、速すぎて血液を送り出せない不整脈の時も失神します。
出血して血圧が下がった時も失神します。
血を吐いた時は原因がわかりやすいのですが、動脈瘤の血管が裂けて体内で出血している時は失神の原因がわかりづらく、命に別条のある失神です。
朝礼で失神するのは、失神バンドと同じで、一時的な血圧低下が原因の命に別条のない失神です。
心臓血管に病気があると失神の原因になり易く、繰り返すと言われています。
致命的な病気の前触れかもしれないので、気を失ったときは原因を調べましょう。