虫歯のメカニズムについて
歯を磨いているのにまた虫歯が出来てしまったと思っている方もいると思います。
虫歯の主な原因としては、細菌、糖質、歯の質の三つの要素があります。
これら三つの要素が重なると時間の経過とともに虫歯が発生します。
食べ物に含まれている糖質を摂取すると虫歯の原因菌であるミュータンス菌により酸が作られ、この酸が歯の成分であるカルシウムやリンを溶かし虫歯の活動が始まります。
しかし食後しばらくすると唾液の力などにより酸性から中性に戻りはじめ虫歯の出来やすい環境から出来にくい環境へ戻りはじめます。
しかし食べ物を口にする回数が多いと酸性状態が長くなり虫歯になるリスクが高くなります。
歯の質には個人差がありますが歯の質を向上させるため、カルシウムやリンなどの栄養素を取り入れてバランスの良い食事をしてみてください。
軽度認知障害
何らかの認知機能の低下はあっても、日常生活には特に支障がない、あるいは自立ができているという状態を「軽度認知障害」と言います。認知機能には、注意力、物事をうまく進める能力、学習と記憶、言葉の能力、目で見て認識したり、それと作業を組み合わせたりする能力、他の人の感情の変化に気付く能力があります。認知機能が軽度に低下すると、次のような事が起こる可能性があります。
今まで簡単にできていたことをするのに時間がかかるようになったり、間違いが多くなったりします。異なる作業を並行してすることが難しくなったり、会話の変化について行くためにより多くの努力が必要なって、疲れ易くなることもあります。最近の出来事を思い出すのに苦労し、メモやカレンダーに頼ることが多くなるかも知れません。映画や小説の登場人物を覚えておくためにそのつど手がかりが必要になったりします。言葉が出にくくなったり、微妙な文法の誤りが生じたりすることもあります。
新しい場所にたどり着くために以前よりも多く他人に尋ねたり、集中していないと道に迷ったりすることもあるでしょう。大工仕事、縫い物、編み物などの空間作業に大きな努力を必要とするようになります。顔の表情を読んだりする能力の減少、外向性または内向性の増加、節度の低下、微妙なあるいは一時的な無感情、または落ち着きのなさなどのために、性格が変わったように見えることもあります。
軽度認知障害は認知症に進む場合と、あまり進行しない場合があります。MRIなどの頭部画像や心理検査であまりはっきりとした所見が得られませんが、脳シンチという検査で脳の特定の部位における血流の低下が見られることがあり、このような場合には認知症へ進行する可能性が高いと考えられます。
対応としては、認知症の薬を服用する、半年~1年くらい経過を観る、などの場合があります。
スポーツと頭部外傷
スポーツにケガはつきものですが、頭部外傷は、時に命を奪ったり、重い障害を残したりします。
特に、脳振盪(しんとう)には注意が必要です。
脳振盪を起こした後、短い間に二度目の衝撃が加わると、致命的な出血が起きることがあります。
セカンドインパクト症候群と呼ばれ、世界中で問題となっています。
日本では、柔道の練習中に指導者に投げられた後、頭痛を訴え、元気がなくなっているのに、練習を続け、再び投げられた結果、 頭蓋内出血で生徒が亡くなった事件を覚えていらっしゃる方もいるでしょう。
脳振盪とは、頭部への直接的または間接的な外力によって引き起こされた脳の機能障害で、頭痛や体の不安定性、意識の混乱、行動の異常などを示し、多くの場合、意識消失は伴わない、と定義されています。
頭を強く打った後、一時的に意識を失ったとか、動きがノロい、ぎこちない、バランスが悪い、記憶が途切れている、表情がおかしい、といった症状 を一つでも認めたら、すぐに運動を止め、医療機関を受診して下さい。
脳振盪から1~2日が最も危険と言われており、この期間は傍に誰かが付き添い、急な変化に備えましょう。
さらに、競技への復帰は段階的に行い、最低でも1週間近い時間を掛けるようにします。
とても慎重な対応に見えますが、脳の回復には、かつて考えられていたより、はるかに時間がかかることや、中高校生位の年齢の脳は、成長途中でデリケートなことも分かっています。
選手は、重要な試合(勝ち抜き方式の大会など)で、途中退場はしたくないでしょう。
復帰に時間がかかることも受け入れ難いかも知れません。
でも、選手生命、あるいは競技を辞めた後の長い人生を考えるなら、生命や重い後遺症の危険は避けなければいけません。
FIFAやIOCなどの国際スポーツ機関が共同で、「SCAT3」という脳振盪への対処の手引きを公表しています。
スポーツを指導する方たちは、是非一度「SCAT3」をご覧下さい。インターネットで見ることができます。
飛蚊症
視覚とは、外界からの光刺激を受容し、対象の形・明るさ・色などの性状が“見える”という感覚です。対象に当たって反射した光がまず角膜と水晶体というレンズを通して眼球内の網膜上に像を結び、光刺激の情報が電気信号に置き換えられ、視神経を伝わります。信号が大脳の視覚野に送られることにより“見える”という感覚が生じます。
今回は飛蚊症についてお話しようと思います。眼には眼球内腔を満たす硝子体という透明なゼリー状の構造があります。役割として、眼球の形態の保持や透明性の維持、外界からの衝撃の緩和などがあります。硝子体に何らかの原因で濁りが生じると、その影が網膜に写り、蚊が飛んで見えたり線あるいは黒い丸が動いて見えるといった現象が起きます。これを飛蚊症と言います。
主な原因は後部硝子体剥離です。詳しく機序を説明しますと、硝子体は元々若い頃はゲル状で硬くてしっかりしていますが、加齢に伴いゲル状だった硝子体が液化します。このため後部硝子体膜と網膜の間が剥離し、硝子体の線維の濁りの影が飛蚊症の症状として現れます。加齢に伴う生理的な見え方であるため、点眼薬や手術で治すことができません。
飛蚊症は年齢とのお付き合いになりますが、液化した後部硝子体膜による網膜の牽引により裂孔原生網膜剥離や硝子体出血、黄斑円孔などの眼底疾患を伴うことがあります。見え方の変化などがあればこのような合併症の初期症状である可能性があるため、すぐ眼科を受診し眼底検査を受けて下さい。
なお、眼底検査の際は瞳孔を拡げる点眼薬を使用ししばらく見づらさが出ますので受診する際はお手数ですが車の運転を控え、ご家族の方に送迎して頂くか、バス・タクシーなどの公共機関のご利用するようお願い致します。
脳疾患について
頭痛を訴えられる方が多い現状であります。確かに日常診察ではもっとも多い疾患の1つにあげられています。頭痛を専門とした「頭痛クリニック」を開いている施設もある程です。頭痛の中には、脳の疾患からくる頭痛もあってそれを心配して来院される方が多いと思います。脳腫瘍や脳梗塞などの前兆である場合もあるからです。しかし、危険が少ない頭痛の方が圧倒的に頻度は多いといえます。そういった見極めをするだけでも、本当の安心が得られると思います。頭痛の誘因としては、環境の変化、疲労、睡眠不足、肩こりなどがあげられます。それらの誘因を1つ1つ解決してゆくことが頭痛の解消につながるはずです。脳の状態、頚椎の状態、眼精疲労の有無、副鼻腔炎などのチェックが大事です。
現在、脳疾患については診療科の混同があるのも事実です。しびれ、めまい、頭痛、筋力低下などの症状が出現したらどこにどうかかればよいのか。急を要する場合もあるし、そうでないこともあります。主治医の先生がおられる場合には、主治医の先生に相談されるのがよいと思いますが、心配な時には専門的な判断と画像診断が必要です。そういった意味で、気軽に受診できて何かの時にも対応が可能であるという施設をめざしています。クリニックというと「入院施設がないからよもやの時には心配である」という声も多いですが、救急の専門的治療と予防的治療の棲み分けができれば結果的にはメリッ トは大きいと考えています。中核病院との連携を進めながら当施設では、最新の診断機器を備え、スタッフも救急から慢性期までを経験したキャリアを有しています。予防面側面の脳ドックおよび生活指導、脳疾患が見つかった場合の適切な治療選択の提示、セカンドオピニオンに対応できる情報収集、各施設との相互交流を通した連続的な治療を理想としています。
物忘れ
物忘れが多くて、ボケてきたかしら、と心配して外来で嘆く方が居ます。私も物忘れが多いのは負けていないのですが、自分のことは言いません。
物忘れは、年を取ってくると起こる自然な変化なので、ボケ(痴呆、現在では認知症)とは異なります。40歳以降のほとんどの人に起こり、進行することなく、忘れたことを自覚している場合は「物忘れ」で生理的な変化です。認知症では、今日が何日なのか、住所がどこか、一緒に居る人が誰かわからないなど、わからないことだらけになります(認知障害)。さらに、物を盗られたなどの妄想、幻覚、不安やあせりを自覚することもあります。体験の一部を忘れる「物忘れ」と違い、認知症では体験のほとんどを忘れてしまいます。
認知症を分類すると、アルツハイマー型、脳血管型とその他の大体3種類に分かれます。
アルツハイマー型は、海馬と言う脳の記憶にかかわる部分が萎縮して起こります。
脳血管型は、動脈硬化や心臓から血のかたまりが飛んで、小さな脳梗塞(こうそく)を多発した場合や、大きな脳梗塞の後遺症として、認知症になります。この二つのタイプで認知症の八割を占めています。最近の調査では、65歳以上の人たちにおける認知症の割合は、6~7%、1年間に新たに発症する割合は1%と言われています。日本では、脳血管型がまだ多いのですが、近年は、アルツハイマー型が増えて、半々になっています。
注意が必要なのは、一時的なボケ状態をせん妄(もう)状態と言うのですが、「今朝から急にボケた」というような場合には他の病気、肺炎や心筋梗塞のせいだったりすることもあります。せん妄状態は元の病気を治療すると回復します。
アルツハイマー型は、進行を遅らせる治療しかありませんが、脳血管型は高血圧、糖尿病など動脈硬化を引き起こす病気を治療することで予防できます。アスピリンを少量服用するのが治療にもなります。
介護いらずのパワフルな老人になるためには、若い時からと普段からの健康管理が鍵になります。
みずむしのお話
暖かい季節になると足の裏や指の間がムズムズとかゆくなってきたり、皮がむけてきたりすることはありませんか?
今回はみずむしのお話です。
みずむしは白癬菌というカビが皮膚に寄生することによりおこる感染症です。
この菌は高温多湿の環境で活発になるため今の時期に目立ってくるのです。
『足の裏や指の間の皮がジクジクしてめくれてくる』、『カサカサして皮が厚くなる』、『爪が変色してくる』などが代表的な症状です。
かゆみは無いこともあり、また上記の症状があってもみずむし以外の皮膚病であることもあり、診断は顕微鏡検査で行います。
治療はタイプよって異なり、外用剤だけの場合、飲み薬を併用する方法、専用の機器で爪を削るなどさまざまです。
治りにくいと言われていた爪みずむしに効果のある治療法も出て来ました。
白癬菌自体の感染力は強くはありませんが、みずむしの人が素足で使用したスリッパや浴室の足ふきマット、カーペットなどは感染源となります。
スリッパは共用しない、マットやカーペットはこまめに取り替えたり掃除機をかけるなど、感染を広げない注意が必要です。
足以外にも手や股、体や頭にみずむしが出ることもあります。
自分の足からだけではなく、飼っている動物や、最近では格闘技などのスポーツ中に試合相手から感染する外国からきた白癬菌もあります。
近年では女性のみずむしも増加しています。
温泉やスポーツクラブに行ったり、ブーツを履いたりなど、ライフスタイルを反映してのことと推察します。
みずむしは放置すると傷口から雑菌が入り足が腫れてしまったり、爪みずむしの場合では歩きにくくなったりなど生活に支障がでることが少なくありません。
感染するかどうかは白癬菌に対する免疫力の違いによるもので、みずむしイコール不潔ということではありませんので恥ずかしがる必要はありません。
疑わしい症状のある方はお早めに検査、治療を受けられることをお勧めします。
胃がんになりやすい人って?
漠然と「胃がんになったらどうしよう」と考えたことはありませんか?
最近、どの程度胃がんになりやすいかを検査できるようになりました。
胃がんリスク検診=ABC検診といいます(健康保険は対象外)。
現在、群馬県全域・東京都の一部の区で実地されています。
血液を調べて,胃がんの原因といわれるピロリ菌に感染しているかどうかと、胃の老化をペプシノーゲンⅠ・Ⅱという物質で検査します。
A群:ピロリ菌もいない・胃の老化もない状態。この場合ほとんど胃がんの発生がありません。
B群:ピロリ菌がいるけれど、胃の老化は始まっていない。この場合1000人に1人の割合で胃がんの発生があるといわれます。
C群:ピロリ菌がいて、胃が老化しているものでは、400人に1人。
D群:ピロリ菌が住めないくらい胃の老化が進んでいるものでは80人に1人と言われています。
この検診で胃がんリスクを考え、A群の方は5年に1度程度、B群は3年、C群は2~1年、D群は毎年胃カメラでの精密検査が推奨されています。
この検診結果から分かるように、基本的にピロリ菌に感染しているならば、まず除菌することが勧められます。
ただし、除菌治療は胃潰瘍や十二指腸潰瘍など健康保険で賄(まかな)えるものは限られており、自費で行われる方が多いのも事実です。
また、この検診でA群と診断されても実はピロリ菌に感染していた方も混入することもあったり、胃がん以外の悪性腫瘍(2%前後)、ピロリ菌の感染が背景に無い胃がんがごくわずかに存在することもあります。
この検診は、今胃がんになってるかどうかの判定ではありません。
あくまでも胃がんのなりやすさであり、結果を鵜呑みにすることなく、何か症状があったり不安であれば消化器科専門医に相談してくださいね。
腋臭症(えきしゅうしょう)と腋窩多汗症(えきかたかんしょう)
腋臭症(えきしゅうしょう)というのは、いわゆるワキガのことです。腋窩多汗症(えきかたかんしょう)とはワキに多量の汗をかく事をいいます。これらは症状としては似ていますが、別のモノです。ワキにはアポクリン腺とエクリン腺という汗腺があります。アポクリン腺からの分泌が多いと、分泌物は皮脂と混ざりさらに皮膚表面の細菌によって分解されて、特有のニオイを発生します。これが腋臭症です。腋窩多汗症ではエクリン腺からの分泌が多く、多量の汗をかきます。外来に「ワキのニオイが気になる」と言って来院される方の中には腋臭症の方もいますが、腋窩多汗症の方も多くいらっしゃいます。本当のワキガではなくて、汗のニオイが気になっている方です。治療法は腋臭症も腋窩多汗症も似ています。
1.外用剤―いわゆる制汗剤です。抗菌作用のある外用剤で皮膚表面の殺菌をしてニオイを抑える物です。もっとも手軽な方法ですが、効果も限られます。
2.ワキの脱毛―女性の場合はワキの脱毛をすることによって、汗やニオイを軽減できることもあります。現在はレーザーなどによって手軽に脱毛ができます。しかし、これもやはり汗やニオイの強い方には満足できる効果は得られにくいようです。
3.注射による方法―ボツリヌス菌の毒素を精製した薬品があります。これをワキに注射することによって汗の量を減らすことができます。この方法は腋窩多汗症にはかなり有効な方法です。ただし効果は数ヶ月で、効果を持続させるためには定期的に注射をしていかなくてはなりません。
4.電気分解:皮膚の下に針を刺して電気を流し、アポクリン腺やエクリン腺を焼いてしまう方法です。この方法でも確実ではありません。また、一時的に汗やニオイが減っても数ヶ月で戻りがあることもあります。
5.手術療法:アポクリン腺、エクリン腺を直接切除してしまう方法です。これがもっとも確実な方法ですが、術後の制約などもあり、落ち着くまでにはある程度の時間も必要になります。
地域に親しまれる身近なかかりつけ医
開設5年目を迎えた『飯田内科クリニックいしかわ』は、石川町の函館運転免許試験場向側に位置する「医療・介護」複合施設メディカルスクエア内に開設した有床(19床)診療所です。診療科目は内科、血液内科、消化器内科、循環器内科、呼吸器内科、リハビリテーション科があり、地域のかかりつけ医として、発熱や咳の症状から腹痛など内科疾患ほか、幅広い診療ニーズに対応するとともに、健康管理の相談や専門性が求められる相談などにも対応。会社で働く人の健康診断も行ってます。
また、伊達院長は函館圏では数少ない血液内科専門の医師で、24時間体制の在宅療養支援診療所及び入院病棟の機能性を生かし、総合病院との密接な地域連携も図りつつ、患者本位の「医療と介護」の提供に努めているとのこと。
院内は広くゆったりと開放的なくつろぎの空間となっており、診察室は完全個室化され、プライバシーへの配慮も行き届いています。さらに、最新のCT診断装置を完備するなど最先端医療機器の導入にも積極的で、迅速かつ精密な診断と治療を心がけているとのこと。
診療時間は仕事帰りでも受診しやすいように、週3日(月・木・金曜日)は夜6時までとなっており、土曜日は昼12時までとなっています。さらに、通院の難しい人に対する往診の要望にも応えています。「これからも地域に親しまれるクリニックとして、皆様のお役に立てれば」と伊達院長。また、医療機関に併設する介護施設「デイケアいしかわ」「ショートステイいしかわ」は、緊急時の安心感も大きな特徴です。
本稿は本紙記者が『医療法人社団善智寿会飯田内科クリニックいしかわ』に取材し執筆しました。









