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原因不明不妊のなかには『受精障害』が原因になっている場合があります

産科婦人科2009/02/20

 不妊の原因がはっきりわかると治療法が決まります。しかし、なかには検査を繰り返しても原因がわからない場合があり、このような原因不明不妊は、不妊症の10~20%を占めるといわれています。

 原因不明不妊の場合は治療法がないのかと心配になる方もいるでしょうが、そんなことはありません。原因不明不妊はいわゆる「生殖補助医療」と呼ばれる「体外受精・顕微授精」の対象となり、これまで多くのご夫婦が赤ちゃんを授かっています。

 同時に体外受精の研究が進むにしたがい、これまで原因不明不妊とされていたなかには「受精障害」が原因となっているケースがあることがわかってきました。

 受精のメカニズムは大変複雑で未知の部分が多くありますが、簡潔にいうと精子が卵子の中に入り込み、精子と卵子、双方の細胞が融合することで新しい命の源である受精卵となります。そして、受精障害の原因として考えられるのが、精子が卵子の外側を覆う透明帯(とうめいたい)を破って進入することができないことや精子が卵子の中に入ったあと精子あるいは卵子が活性化せずに受精することができないことなどです。

 現在受精障害が不妊原因と考えられる場合、人工授精などの一般不妊治療を長引かせることなく生殖補助医療へステップアップするようになっています。言葉を代えれば体外受精を行っても受精卵とならない場合に早めに顕微授精に切り替えるようになっているということです。実際、受精障害の場合多くの専門医は顕微授精を勧めるようになっています。

 この場合、女性は受精能の高い成熟卵子を確保するために適切なホルモン療法を行うこと、男性では精子洗浄濃縮法により受精能の高い精子を確保することが原則です。

 不妊治療は日々進歩しています。原因不明不妊と診断されてもあきらめることなく、不妊治療専門医に相談されるのがよいでしょう。


Text by 美馬産婦人科 美馬 博史(  「」掲載)

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