「高い技術」と「温かい心」で地域連携を推進 道南圏の基幹病院としての役割を担う
1860年(万延元年)に道内初の官立病院として発足し150周年を迎える。
81年に救命救急センターとして認定されたのをはじめ、地域災害拠点病院などのほか、2006年には病院機能評価「Ver・5」を取得し、07年には道南地域では初めて地域がん診療連携拠点病院に指定された。
古くから「函病(かんびょう)さん」の名で親しまれ、道南圏における基幹病院として中心的役割を果たしている。 00年に新築移転したのを機に屋上にヘリポートを設置し、専従の救急医を配属するなど、救命救急センターを充実させた。
年間の救急患者数は約2万件、救急車搬入は約4500台を数え、365日24時間態勢で対応している。
総病床数は734床(一般598・感染症6・結核30・精神100)、ICU8床、HCU22床、人工腎臓センター30床を有する。
また高度医療に対応できるさまざまな最先端機器を整えている。
最新のMRIやCTをはじめ、RI(核医学検査)、マンモグラフィ、悪性腫瘍に対して定位放射線照射ができるリニアック(高エネルギー放射線治療装置)、最高水準の放射線治療ができるIMRT(強度変調放射線治療)、子宮頸がん治療などに効果を発揮するRALS(高線量率膣内照射装置)を導入している。
がん拠点病院及び救命救急センターであるため、その専門医療は多岐にわたる。
がん治療では各種悪性腫瘍に対し各科による専門診断・治療を行っているが、道南圏において悪性リンパ腫や白血病、骨髄腫などの血液疾患に対応できるのは同院しかないため患者が集中している。
産婦人科では10年11月に先進医療である腹腔鏡下子宮悪性腫瘍(子宮体がん)手術ができる施設として、道内では大学病院以外では初めて認定された。 循環器内科では09年の心カテーテル総数は800例で、うちPCI(経皮的冠動脈形成術)は306例と、道内有数の実績がある。心臓血管外科は急増する大動脈瘤に対して全国に先駆けて大動脈瘤センターを開設し、09年の腹部・胸部大動脈瘤の手術は122例、うちステントグラフト挿入術は86例あった。
呼吸器外科では肺がんなどに対し低侵襲手術であるVATSを積極的に取り入れている。
消化器疾患に対しては、07年1月より外科と連携して消化器病センター化し、外科疾患の場合に患者にとって消化器内科からの移行を便利にした。
消化器病センターは、同病院最大の入院患者数を誇る重要な診療科となり、消化器内視鏡などの検査件数および内視鏡治療件数などは合わせて年間8000~1万例に及ぶ。 1階には問診コーナーのほか「なんでも相談コーナー」を新設し、診療のみならず接遇や施設に対する意見なども受け付けている。
患者情報室「フォルテ」では医療情報が入手しやすい。
道南医療地域連携ネットワーク「道南メディカ」を立ち上げ、各医療機関と医療情報を共有することで重複した薬の処方や検査を避けるなど患者負担の軽減につなげている。
10年4月に就任した木村純院長は「良質な急性期医療を提供することが当院の担うべき最も重要な役割です。
そのために必要なのは『高い技術』と『温かい心』です。地域の各医療機関や住民と密に連携をとりながら常に向上を目指した研鑽を続ける所存です」と話す。
加齢黄斑変性症(かれいおうはんへんせいしょう)に対する新しい治療法について
加齢黄斑変性症は欧米諸国では高齢者の主な失明原因となっています。一方我が国においては、食生活や生活様式の変化と共に、この病気が増加しており、高齢化社会では主要失明原因になると危惧(ぐ)されています。
この病気は、網膜の裏打ちをしている脈絡膜から新生血管が生じ、その弱い血管からの出血、浸出、それらが吸収された後の繊維性瘢痕(はんこん)により網脈絡膜が非可逆性に変性して視力が低下してしまいます。この新生血管の治療に各種の試みがなされてきましたが、有効性と安全性の観点から満足すべき水準とはなっておりませんでした。
そこで新たに出現したのが光線力学的療法(PDT)です。この治療法は光感受性物質を注射してから特定の波長のレーザー光を照射し光化学反応を生じさせ、レーザー照射部位の血管を破壊する治療法です。PDTの適応と照射には厳密な条件が設定されていますが、加齢黄斑変性症に対する新しい治療法として期待されています。
妊娠中の浮腫(むくみ)
妊婦さんに聞かれる事で多いのが「浮腫(むくみ)がでてきたのですが・・・」という質問です。むくみは妊婦さんの六十%から七十%にみられます。半数以上にみられる症状は、異常ではなく生理的現象であるというのが現在の考え方です。
妊娠時には母体のホルモン環境が変化し、そのホルモンが血管や腎臓に働いて正常妊娠でも1000ccから1500ccの水分を体内に貯留します。このように水分が増えることは血液中の水分も増え、胎児により多くの血液を送る流れをよくし、胎児を成長、発育させます。妊娠後期には血液がたくさん必要になるので血液中の水分、血漿(けっしょう)量が更にふえてきます。その水分が血管壁よりしみ出てきて皮下組織にたまった状態が浮腫です。ヒトは立っていることが多いので膝から下にでてきます。
以前はむくみが出てくると「大変だ、中毒症がひどくなる」といって、利尿剤(余分な水分をおしっこにして出す薬)をのんでもらいましたが、いまは血液中の水分もおっしこにすることで、血液が濃縮し、流れが悪くなり血圧があがりやすくなるので使いません。
浮腫は母子にどのような影響を及ぼすのでしょう。
調査結果では、浮腫のある妊婦の方が無い妊婦より体重の重い児(こ)を出産する。浮腫のある妊婦は低体重児を出産する率が低い。浮腫のある妊婦の方が無い妊婦より出産前後の死亡が少ない。妊娠中の体重増加が多いほど浮腫がでやすい。子癇(しかん)をおこした妊婦の約半数に浮腫が無い。浮腫のある妊婦に体重制限をしても、しなくても妊娠高血圧症候群の発症頻度に差が無い―などの傾向がみられます。
これらの事から、浮腫のみでは児に悪影響を及ぼすことは無く、妊娠時の浮腫は病気ではないと考えられ、妊娠中毒症(平成17年4月より妊娠高血圧症候群と変わりました)から浮腫は除外されました。
妊娠中の体重増加は、胎児への栄養補給、分娩、授乳のための栄養の蓄積です。正常妊娠の体重増加の内訳は、胎児3kg。胎盤、羊水など1.5kg。脂肪の蓄積3kg。タンパク質の蓄積1.5kg。水1.5kgで合計10.5kgとなりますので日本人の場合、体重増加は10kgから11kgが適当です。
標準体重を「やせ・普通・肥満」にわけると、妊娠前の体重が、やせた方は9~12kgの増加。普通の方は、7~12kgの増加が一般的です。肥満の方は、個別に対応する例が多くなっております。
爪水虫の内服治療には、抵抗がありますか?
爪水虫の内服薬で肝機能障害が起きることがあることを多くの方がご存じのようで、外用薬での治療を選択される方が圧倒的に多いのですが、果たしてそれでよいのでしょうか。 爪水虫が外用薬で治るかどうかは、爪水虫の程度、毎日きちんと塗れるか、そして爪の伸びる速度がかかわります。
症状が軽度であれば治る確率は高いのですが、重症なものではなかなか難しく、数年外用してもほとんど変化がない方もいらっしゃいます。そして毎日の外用は、塗る爪の本数が多くなったり、また高齢で腰が曲がらなくなると難しくなっていきます。特に爪が厚くなっている場合は、薬が浸透するように爪を薄く削るというひと手間も加わります。
爪の伸び方は個人差がありますが、やはりご高齢の方ほど爪の伸びが遅く、治りが遅い傾向があります。 水虫の原因は真菌(かび)で、爪の下に多くいます。内服薬だと爪と接する皮膚から薬が浸透しますので効果が高いのですが、外用薬の場合は、爪の状態により薬が下まで届かないこともあり効果が不安定です。
もし内服薬で肝機能障害が起きたとしても、軽症が多く、ほとんどが内服薬の中止により回復していきます。最近は3か月だけ内服し、内服薬終了後も爪に薬が留まるため、内服終了後は2か月に一度程度の診察だけで経過をみていく薬もあります。
爪水虫は以前よりも治る疾患になりましたが、内服薬と比較すると外用薬の効果は遅く完治する可能性も低く、そして塗る手間や通院回数を考えると、内服治療を最初から除外するのではなく、どちらが自分の生活に合っているかで検討してみてもよいのではないでしょうか。どうしても内服薬に抵抗があるという方は、最初は外用薬から開始して、効果がなければ内服薬に切り替えるという方法もあります。
歯磨き粉の選び方について
薬局に並ぶ多くの歯磨き粉から自分に合った物を選ぶのは迷うものです。
今回は、歯磨き粉の選び方について書かせていただきます。
歯磨き粉には大きく分けて、歯磨き類(化粧品)と薬用歯磨き粉(医薬部外品)の2種類があります。
前者の歯磨き類は、基本成分のみの物で比較的安価です。
後者の薬用歯磨き類は、基本成分にプラスして薬用成分配合ですので予防や症状改善が期待できます。
少し高価にはなります。
また、
(1)虫歯が気になる方はフッ素濃度が高い歯磨き粉とフッ素のジェルとの併用
(2)歯周病が気になる方は殺菌・消炎・血行促進作用のある物
(3)白い歯にしたい方は、清掃剤・研磨剤・ステイン除去剤がある物など、ニーズに合わせて選択するのも良いと思います。
しかし、(4)口臭が気になる方は、特化した物はないので(1)か(2)プラス洗口剤の使用をお勧めいたします。
自分の現在の口腔内で注意しなければいけないことをかかりつけの歯科医院でお聞きになり、自分に合った物を使用することをお勧めいたします。
中途視覚障害の3大原因とは?
日本においては、緑内障・糖尿病網膜症・網膜色素変性症が中途視覚障害の3大原因と言われています。
①緑内障は、眼圧が高いことにより、視神経が圧迫されて枯れていき、見える範囲が狭くなってしまう病気です。
緑内障は進行性なので、残念ながら、一度失ってしまった視野はもとに戻すことが出来ません。
そんな大変な病気なのに、実は自分では、ほとんど気付きません。
なぜならば、視野が欠け始めていても、もう片方の目が助けてくれているために、自覚症状が出るころには、かなり視野が狭くなってしまっているからです。
緑内障には色々なタイプのものがあり、正常な眼圧であっても、その人にとっては、視神経が圧迫を受け、視神経が枯れていくタイプもあります。
これを「正常眼圧緑内障」と言います。
眼圧が高いタイプと違い、眼痛やかすみ目などの症状を伴わないため、発見されていないことが多くあります。
実は、日本人はこの「正常眼圧緑内障」が多いのです。
②糖尿病網膜症は、糖尿病の合併症ですから、内科で糖尿病と診断をされた方は、眼科を受診し定期的眼底検査をすれば、眼底出血も早めに発見できます。
ところが、かなり視力が低下してから初めて眼科を受診する方が多いのが現実です。
この場合、治療をしても、中途視覚障害の方向に向かっていくことがあります。
ぜひ、内科と眼科の両方を早い時期から受診することをおすすめします。
③網膜色素変性症は、遺伝性疾患で、残念ながらこれといった良い治療方法は現時点ではありませんが、今話題のiPS細胞による治療法がこれから期待されています。
以上のような、中途視覚障害にならないよう早期発見・早期治療が大切です。定期的に眼科を受診することをおすすめします。
コンタクトレンズの選び方
コンタクトレンズにはハードレンズとソフトレンズがあります。
一般にハードレンズは乱視の矯正力があり酸素透過性も良いとされていました。
しかし、最近は乱視用ソフトコンタクトやシリコンハイドロジェルという酸素透過性の良いソフトコンタクトも発売され、初めてコンタクトを作る方はソフトコンタクトを選ぶことが多くなりました。
さらに遠近両用コンタクトやおしゃれ用のカラーコンタクトもあり、多種多様のコンタクトから自分にあったコンタクトを選ぶことができるようになりました。
ハードレンズを選ぶ方はまず強度近視や強度乱視の方、円錐角膜と言った角膜の病気を矯正する必要のある方に選ばれます。
通常のソフトコンタクトにはないハイパワーの方はまずこちらになりますが、ハードという通りレンズ自体が硬いため初めて付ける時にはちょっとごろごろして涙が出てきてしまいます。
それでも1週間位するとなれてきて、比較的長時間装用しても目に負担が少ないという特徴があります。
ソフトレンズも以前に比べると乱視付きレンズの性能が良くなり中等度の乱視の方までなら問題なく使用できます。
2週間から1ヶ月で交換する使い捨てレンズ(頻回交換レンズ)もあり、レンズに汚れがたまる前に新しい物を目に付ける事ができる種類の物はソフトコンタクトにあります。
また、全く消毒の必要がないという一日の使い捨てレンズ(ディスポレンズ)もあり、お値段はその分お高くはなりますが、気軽に、そして目の健康のためには非常に優れている種類もあります。
目を美しく見せるというカラーコンタクトもあり、若い女性を中心に隠れたおしゃれをするレンズとして人気があります。
コンタクトレンズは異物を目に入れていることになるので、きちんと消毒しないと角膜に傷をつけることがあります。
使用方法の説明をきちんと受けて、正しく使うことが大切です。
タコとウオノメについて
歩く度に足の裏に痛みを感じることはありませんか?今回はタコとウオノメのお話です。 タコもウオノメも皮膚が硬くなってしまう状態です。
医学用語ではタコは胼胝腫(べんちしゅ)、ウオノメは鶏眼(けいがん)といいます。
わたしたちの皮膚は繰り返し圧力がかかると厚くなっていきます。
これは刺激から皮膚やその下の組織を守るための正常な反応です。
たとえばいつもペンや鉛筆を持っていると利き手の中指などが厚く硬くなります。
この状態がタコで通常痛みは伴いません。
ところが、足の裏の皮膚が硬くなってしまうと、歩くたびに押されるため、次第に奥に入り込んでしまい、痛みが出てくるのです。
表面から見ると芯の部分が丸く見えるためウオノメ(魚の目)という名前がついています。 1度ウオノメができると、歩行の度に押されて奥に入ってしまい、次第に強い圧力がかかるようになるため、自然にはなかなか良くなりません。
さらに痛みのある側の足をかばって歩くうちに腰まで痛くなってしまうこともあります。 ウオノメの治療は硬く入り込んでしまった皮膚を専用のハサミで取り除いていく方法です。
一見痛そうですが、通常、ウオノメ自体には神経は来ていないため、治療時の痛みはありません。
ウオノメを柔らかくする絆創膏も市販されていますが、奥の方にはまり込んだ芯は取れにくいですし、ご自分でハサミやナイフなどで削っている方もいらっしゃるようですが、足の裏側というのは意外と手が届きにくく、かえって刃物で怪我をしてしまう恐れもあります。
またウオノメやタコと思っていても実はウィルス性のイボである場合もあり、これは治療法も異なりますので、医療機関で1度御相談されることをおすすめします。
飛蚊症(ひぶんしょう)
飛蚊症とは、目の前にごみのような浮遊物が見える状態です。蚊が飛んでいるように見えるのでこの名前がつきました。視線を動かすと一緒についてきて光の加減で白く、又は黒くも見えます。
この浮遊物は目の中の硝子体(しょうしたい)の濁りで、その影が網膜に映って見えるためにこのような現象が起こります。
飛蚊症の多くは老化や近視のために起こります。
60歳位になると多少あっても不思議はありません。うっとうしい感じがあっても取り除くことはできませんし、ほとんどの場合は心配ありません。
しかし、数が突然増えたり、急に色が濃くなったり、又は光が走るような症状を伴う場合は硝子体出血や網膜剥離(もうまくはくり)の初期症状である可能性があります。このような場合は急いで眼科を受診し、眼底検査を受けて下さい。
血液内科にご相談を
血液に関する病気と言えば、白血病など重篤な病気を思い浮かべるかもしれませんが、貧血、あざや内出血、鼻血など身近な症状も血液内科の専門分野です。
血液の中にはさまざまな成分が含まれており、そのひとつに赤血球があり、その中のヘモグロビンが体内に酸素を運ぶ重要な働きをしています。
ヘモグロビンの合成には鉄が必要です。鉄の欠乏は、供給量と需要量のバランスが負に傾くことによって生じます。
鉄が不足するとヘモグロビンが産生できず鉄欠乏性貧血になります。
貧血の90%以上がこの鉄欠乏性貧血です。
鉄は体内で生成することはできないので、食事で効率よく摂取しなければなりませんが、非常に吸収率が悪く、過剰摂取は良くないと体が分かっているので少しずつしか吸収できないようになっています。
鉄分のサプリメントもありますが、食材から摂取する方が吸収効率はよいです。
ほうれん草や小松菜、レバーなどの鉄分を多く含む食材を取り入れながら、バランスの良い食事を毎日心がけていれば、自然と必要な鉄分が摂取でき、貧血予防・改善が図れます。
よく、めまいや立ちくらみが貧血の代表的な症状のように言われますが、実は貧血の主な症状は「息切れ」です。
酸素不足になると、もっと呼吸をして酸素を取り込もうとして息切れしやすくなるのです。
日常的に息切れを自覚されている方は貧血を疑った方がいいかもしれません。
息切れ以外の症状としては、爪が割れる、口内炎ができやすい、肩こり、冷え性、頭痛、むくみなどが貧血のサインと言えます。
普通に生活をしていて、「血液がおかしい」と思われる方は少ないと思いますが、息切れなど気になる症状がある場合は、血液が危険信号を発信しているサインなのかもしれません。
一度、血液内科で相談または、診てもらった方が安心です。









