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腎臓を元気に

循環器内科2008/10/03

 「加齢にともなう生理機能の変化」というグラフを見ながら書いています。生理機能とは、病気がない状態での体の働き具合ということです。
30歳を100%とすると、肺活量や心拍出量(心臓から送り出される血液の量)は50歳で2割減少し、60歳では、3~4割減少しています。
とても急激な右肩下がりのグラフなので、がっかりします。「一緒に運動をしても若者にはかなわないはずだよなぁ」と納得させられるグラフです。基礎代謝率(動かないでじっとしていても、生きているのに最低限必要なエネルギー)が70歳では85%に落ちているので、年を取ると1割ぐらいは食事を減らさないと余分なカロリーを取ることになって太るのがよくわかります。

 腎臓の働き具合をあらわす、糸球体ろ過率も10年ごとに10%ずつ下がっているので、10歳年を取るごとに、1割分ずつ腎臓を削り取っていることになります。
130歳になったら腎臓はすっかりなくなることになりますが、幸い寿命はそこまで長くないので、普通に生きている分には死ぬまで大丈夫です。
困ったことになるのは、高血圧や糖尿病にかかると腎臓の動脈硬化が起こって、腎臓のなくなっていく速さがスピードアップすることです。
上の血圧(収縮期血圧)が165だと、1年で10%の腎臓がなくなります。病気がない人の10倍の速さで腎臓が失われていきます。
腎臓が悪くなると尿に蛋白(たんぱく)が出るようになります。
蛋白が尿に出るようだと、腎臓がますます悪くなりますから、これは放っておけませんので、「高血圧を治療しましょう」ということになります。通常、高血圧の人では、130/80以下になるようにしますが、蛋白尿が出る人では、125/75が目標値になります。
糖尿病で蛋白尿が出ている人も、血圧を低く保つと蛋白の出かたが少なくなり、腎臓の働きを温存することができます。

 昔はよく検尿が行われていたのに、近年あまり評価されていませんでしたが、簡単に取れる尿で腎臓の悪くなった度合いが見られるのですから、なかなか良い検査と思います。
このようなわけで、循環器内科医は血圧を低く保つことにこだわって診察しています。


Text by 榊原循環器科内科クリニック 榊原亨(  「青いぽすと」掲載)

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