一年たっても妊娠しないときは積極的に検査を受けましょう
普通に性生活をもっている夫婦の場合、一年の間に八~九割は妊娠します。つまり、一年たっても妊娠しなければ「不妊症」である可能性が高いわけです。
不妊症の場合、妊娠しにくい他は、特別気になる症状もなく、性生活に支障があることもほとんどないので、まさか自分たちが不妊症とは思いもよりません。自然に妊娠するだろうと一年、二年、待つ夫婦もいます。しかし、不妊症専門医から見ると、この一~二年は、とくに三十代で結婚した女性の場合、非常に貴重な時間です。なぜなら、赤ちゃんの基である「卵子」を作る卵巣の働きは、三十代半ばを境に低下するからです。
さて、不妊症の検査は治療につながるのが大きな特徴です。代表的なのは「フーナーテスト」と「子宮卵管造影検査」です。
フーナーテストは、性生活をもったあとで、子宮頚管や子宮腔に精子がどれぐらいいるかを調べます。精子が一定数いれば、男性側に問題はないとわかります。また、フーナーテストでは、医師が排卵日を予測して性生活をもつ日を指導します。つまり、的確な時期に性生活をもつ「タイミング法」という不妊治療でもあるわけです。
子宮卵管造影検査は、造影剤を注入して子宮や卵管をX線で撮影する検査です。この検査は、卵管に軽い狭窄や詰まりがある場合の治療にもつながり、検査を受けたあとで妊娠することも多くあります。
不妊症の治療は、検査で不妊の原因を特定することから始まります。なかには体外受精や顕微授精など、生殖補助医療の助けを借りないと妊娠が難しい場合もありますが、高度な治療が必要なケースはむしろ少数です。タイミング指導や人工授精など、いわゆる一般不妊治療で妊娠にいたることが多いのです。
赤ちゃんが欲しい夫婦、とくに晩婚の夫婦ほど、待つことは美徳ではありません。一日も早く専門医の検査を受けることが重要です。