医学生から医者になるまで
医療過誤の報道が多く、研修医制度が変化していくなか、白い巨塔が再度放送され、相変わらず権力闘争に明け暮れる医局を描いています。研修医のマンガをドラマ化した番組もありましたが、テレビみたいに暇じゃなかったなって―あたりまえですが・・・。
医学部は一般学部の一・五倍の期間教育を受けるように法律で決まっているので、六年間の学生生活になります。六年生の九月から医局説明会が開かれ、どんな病気を診るか、どんな進んだ治療法を学べるかといった勧誘をするわけです。僕は循環器内科の医局に入ることにしたのですが、入局申し込みにサインをして、ニコニコした教授と握手をしたので、親切な先生たちがやさしくわかりやすい指導をしてくれると思っていました。
循環器の病気というと簡単には、心臓と血管の病気になるのですが、血圧が高くなる関係で腎臓の病気も、動脈硬化が強くなるので糖尿病も、脈が速くなるので甲状腺の病気まで診られるようにと指導されます。心不全で風邪を引きやすくなっても、すぐ呼吸器にとは言えませんし、不整脈ではめまいや失神がおこるので、色々な病気の人を診ることになります。
病名が額に書いてあればと思ったことが本当にあります。
最初の出張病院では、動脈硬化の疑いがあるために発症する脳梗塞も診るように言われ、リハビリテーションの仕方も学ぶことになりました。病気については教科書には書いてないことを本や論文で調べます。指導医に許可をもらって検査して、治療法を調べたら処方箋をチェックされてと、患者さんと指導医の間を行ったり来たりします。こうしていると、二時に届いたラーメンを四時ころ食べるようなはめになります。
週に一度、午後八時から机に座って指導医とディスカッションになるのですが、答えられない質問を矢継ぎ早に受けるので朝までに調べるように言われると、もう午前四時になっています。
時間がない、教授回診まであと五時間だ!