インフルエンザワクチンをうけましょう
今年もそろそろインフルエンザのワクチン接種が始まります。時節に合わせて、今回はインフルエンザとそのワクチンについての解説をします。
インフルエンザのことを日本語で流行性感冒(りゅうこうせいかんぼう)、略して流感(りゅうかん)としているためか、インフルエンザのワクチン接種を「カゼの予防接種」と考え、「ワクチンを受けたのにカゼをひいた」とか、逆に「おかげで今年はカゼをひかなかった」とか考えている人がいるようです。
しかしこれは正確ではありません。インフルエンザウィルスばかりがカゼ症状を引き起こす病原体ではないからです。他にもカゼ症状を引き起こす病原体はたくさんあり、これらに感染して発症すれば、予防接種を受けていても「カゼをひく」ことになるのです。それでも予防接種を行うのはインフルエンザは他のカゼと比べて感染力が強く重症化しやすいからなのです。
しかし、ワクチン接種を受けていてもインフルエンザに罹(かか)る場合があります。厚労省などでワクチンの有効率を発表していますが、そもそも何をもって有効としているのでしょうか。皆さんは常識的に「それはインフルエンザに罹らないことだろう」と考えているかもしれませんが、そうとは限りません。高齢者を対象にした調査によればワクチンを受けていても半数近くの人はインフルエンザに罹るのだそうです。しかし重要なのはワクチンを受けずにインフルエンザで亡くなった高齢者のうち八割はワクチンを受けていれば亡くならずに済んだであろうという調査結果です。つまりワクチンを受けたのにインフルエンザに罹ったとしても効果が無かったとは言えず、重症化を防ぐ効果があったかもしれないのです。
現在のところワクチン以上に有効なインフルエンザへの備えはありません。高齢者に限らずワクチンの有効性は示されています。
皆さんできるだけワクチン接種を受けましょう。