慢性腎臓病(CKD)をご存知ですか?
泌尿器科2011/06/27
最近、慢性腎臓病(Chronic Kidney Disease:CKD)という新しい病気の概念が注目されています。この慢性腎臓病とは、様々な原因で(糖尿病・高血圧・腎炎など)腎臓の働きが健康な人の60%以下に低下するか、あるいはタンパク尿が出るといった腎臓の異常が3ヶ月以上慢性的に続く状態です。 現在、日本には約1、330万人の慢性腎臓病患者さんがいるといわれていて、驚くべきことに成人の約8人に1人にあたる数です。この慢性腎臓病では
①早期の段階から診断し治療を開始する
②慢性腎臓病の患者さんは、心臓病や脳卒中といった心臓や脳の病気(心血管疾患)にもなりやすいことが分かってきています。そのため腎臓を守ることは、心臓や脳を守ることにつながります。
この2点が重要です。 CKD(慢性腎臓病)の初期には、ほとんど自覚症状がありません。
貧血、疲労感、むくみなどの症状が現れたときには、病気がかなり進行している可能性があり、透析療法や腎移植といった治療が必要な末期腎不全に陥っていることもよくあります。 このような自覚症状の乏しい慢性腎臓病(CKD)の早期発見に役立つのが、尿中のたんぱく質の濃度を調べる尿検査と、血液中のクレアチニンを調べる血液検査です。
ぜひ積極的に定期的に尿検査と血液検査をうけてください。 腎臓病の早期診断・治療は腎臓病に対する治療とともに、心臓や脳への治療にも繋がっています。
Text by
北美原クリニック 秋濱 寿賀子(
2011年6月27日 「北海道新聞夕刊」掲載)