うつ病①(身体症状)
「うつ」はもっとも広く見られる精神科の症状の一つです。
「赤ちゃんもうつになる」と言われるくらいですから、赤ちゃんから後期高齢の方に至るまで、うつにならない年代は無い、と言えるでしょう。 うつの症状には精神的なものと、身体に現れるものとがあります。
精神的にはマイナス思考になる、考えが進まない、過去のことをクヨクヨと考え続ける、ゆううつ、など、良く知られているものです。 一方、うつ病では、ホルモン、自律神経、免疫を介して、多くの身体的な問題が現れます。
自覚的には頭痛、めまい、のどが詰まる、耳鳴り、口が渇く、苦みを感じる、味がしない、頚部や肩のこり、息苦しさ、胸の圧迫感、動悸、胃のもたれ、腹部の膨満感、食欲低下、頻尿や排尿困難、四肢の冷感、ほてり、発汗、頭痛や頭に何かかぶった感じ、など実に様々な症状が起こることがあります。
このほか、痛みが生じたり、痛みに対して敏感になって、元々あった痛み(腰痛や下肢痛など)を強く感じる、ということも起こることがあります。 これらは一般的な症状ですが、「胸のあたりが重苦しく、かたまりがあるようだ」、「(うつが)このあたりに限局している」、などの変わった表現になる場合があります。
身体的な感覚が典型的なうつ病をあらわすことがあり得るのです。 実際の身体的な変化としては、唾液の分泌低下、胃の緊張低下、便秘、体重減少などが起こることがあります。
また、ある種の癌にかかりやすい、糖尿病にかかりやすい、狭心症や心筋梗塞にかかりやすい、かかった場合にその死亡率を高める、というようなことも起こります。 大切なのは、精神的な問題と身体的な問題が同時に起こり、それらが互いに影響しあうということです。
心と身体は結び付いていると言われますが、うつ病はまさしくそれを表していると言えます。