止まるいびき ZZz~
睡眠時無呼吸の人の多くは、昼間に強い眠気を自覚したり、一緒に寝ている人に大きないびきや呼吸停止を指摘されたりして受診します。
はじめは、交通機関や一般の運転手の居眠り事故を防ぐのが主眼でした。
中年人口の数パーセントに見られる病気だと思われていましたが、職域団体の男性従業員を対象に行った調査では、30%以上に睡眠時無呼吸が見られました。
近年、こうした睡眠時無呼吸は高血圧、不整脈、心不全、無症状の脳卒中、肥満、糖尿病などの生活習慣病や心血管系の病気と密接な関係があることが分かりました。
また、反対に、薬を飲んでもなかなか血圧が下がらない治療抵抗性の高血圧や夜間に脈が遅くなってペースメーカーを植え込み手術されるような人に、睡眠時無呼吸が合併していて、無呼吸の治療をすると血圧が下がったり、不整脈が改善したりすることも認められます。 血圧が上がる原因としては、呼吸が止まると酸素が足りないので、息苦しくなります。
水の中で溺れている時のように何とか息を吸おうと緊張します。
夜間の血圧は日中に比べると低くなるのが一般的ですが、夜の血圧がこうした緊張感と浅くなった睡眠で高くなります。
この結果、日中の血圧も高くなるように悪影響します。
呼吸を再度始める時には、過度に胸の中の圧が変化するので、血管を傷めるような化学物質が放出されたり、酸化ストレス物質が増えたりして動脈硬化を進めます。
これも血圧を高くします。不整脈や心不全も同じように無呼吸のために悪化するメカニズムが分ってきました。
また、心不全を治療するとよくなる無呼吸もあります。
循環器の病気と睡眠時の呼吸障害は密接に関係していました。
気楽な独り寝も結構ですが、たまには、一緒に寝るのもよいことです。
循環器を受診している人の中には、予想以上に睡眠時無呼吸が隠れていることが明らかになりました。
無呼吸と不整脈や突然死の関連はまだよく分からないことが多く、今後、次第に明らかにされてくると期待されます。