心身症について
心理的なストレスのために病気が良くなりにくい場合、その病気は「心身症」と呼ばれることがあります。
「心身症」には多くのものがありますが、例えば「過敏性腸症候群」ではストレスによって腸管の運動のバランスがくずれて便秘や下痢などが起り、それが繰り返されます。また、「痛み」の場合ですが、十分な治療を受けているのにもかかわらず同様に痛む、原因となる病気の程度を超えた強さの痛みがある、という様なことが起ります。
つまり、病気がなかなか良くならない、良くなったり悪くなったりする、良くなったように感じられない、など様々なことが起こるというわけです。
さらに、体の感覚をその人がどんなふうに受け止めるかということも治りやすいか治りにくいかということに影響を与えます。
例えば、原因不明の微熱が続く場合があるのですが、微熱があるということで「とても体がだるく、具合が悪い」と言う人もいますし、一方、「熱があってもがんばれるものだ。できることはするようにしている」というふうに体の感覚に立ち向かっていける人もいるわけです。このような人は、ただ心がまえができているというだけではなくて、体の感覚を変えることができているという可能性もあります。
そのようなことから、ストレスを軽くするということとは別に、どういうふうに体の感覚というものを変えていくか(弱くする、強くする、あるいは感覚の性質を変える)、どんな心がまえが必要か、という様なことも治療する上で大切なことなのです。このようなことにも目を向けているということが神経科の特徴のひとつかもしれません。
「からだ具合が悪い」ということなので様々な診療科で治療を受けることになるわけですが、以上のようなことから神経科がお役に立てる場合もあります。もちろん身体的な治療は大切なので、「心身症外来」では他の科との連携も大切になってきております。