■ご訪問者数:24589708
カワムラ歯科クリニック  昭和ごとう内科  たからまち総合診療クリニック  アイビー函館クリニック 

コラムを読む

耳鼻科医のつぶやき

耳鼻咽喉科2010/05/07

 日常診察で耳鼻科医が困ってしまう疾患を二つ挙げてみましょう。 一つは、のどに何かがつかえている、ひっかかっている感じがする。
これは咽喉頭異常感症と言います。
診察しても器質的には何もないので、何ともないと話しても患者さんは納得してくれません。
多くの場合、患者さんはのどにがんができているのではないかと思い悩み、おそるおそる来院します。 この疾患の特徴は、食事中や何かに集中しているときは気にならないことです。
50歳前後の更年期の女性に圧倒的に多く見られます。 更年期なので仕方がないというと怒る方もいますので、慎重に顔色を伺いながら原因となるさまざまな要素、例えば鉄欠乏性貧血や胃下垂はないかと聞き出していくわけです。
十分説明し、画像を供覧することで安心させてやることが一番の薬だと思います。 しかし、実際はかなり困難で、こちらも穏やかな気持ちで真摯(しんし)な態度で時間をかけて接しなければならず大変な労力を費やすことになります。
へたをすると患者さんと医師との信頼関係は崩れ、口論となってしまいます。
説明を聞いて安心したと言って帰っていただくまで気は抜けません。 同じ症状の患者さんが続いてこられますと疲れは頂点に達し、また同じ話を最初から始めなければなりません。
テープに録音しておいて渡して終わりにしたくなることもありましたが、そうはいきませんよね。
同じ症状でも患者さんは一人ひとり違うんですから。 もう一つ困ってしまう疾患に舌がピリピリする、舌が痛むと申す患者さんがいます。
これは舌痛症と言います。
これも器質的には何もできてはいないのですが、本人は痛いので何とかしてくれと申します。 原因としては現在内服している薬の副作用や義歯が合わないためなど考えられ、よくお話を聴いてさしあげるしかないのですが、すぐには治りがたい疾患なので苦労します。
耳鼻科医は外科医でもあり内科医神経科医の両面を持っていますが、神経科医的な立場にある時こそ、しっかりしなければいけないと日々心掛けてはいるのですが…。 私の診察室に1枚の大きな教会の絵が壁に掛かっています。
10数年前に亡くなった叔父の遺作です。
その絵の中からいつも叔父が私を見つめていて、仕事でいらついたり、患者さんに冷たく当たったりする自分を怒鳴りつけて説教してくださるんですよ。
真面目にヤレと!


Text by そうま耳鼻咽喉科医院 相馬 惠(そうま さとし)(  「」掲載)

はこだて医療情報に登録されている詳細ページリスト(50音別)

医科 歯科  
医科 歯科  
医科 歯科  
医科
医科 歯科  
医科 歯科  
医科 歯科  
医科