耳の穴、耳あかの基礎知識
耳の穴は「成人」は約3cm、小児では約2cmくらいあります。
その末端が鼓膜になっています。耳の穴の皮膚は人間の体の中で一番といっていい程とても薄く、ちょっとした炎症でもかなり痛みを感じます。 耳の穴は真っ直ぐな円筒と思われているでしょうが、実は鼻のある方へゆるやかに湾曲しています。
概して耳掃除の時に痛いと感じるのは耳の穴の後ろの壁を突いているためです。
耳の穴の解剖学的知識があれば、痛くなくきれいに耳掃除ができるはずです。 綿棒などを耳の穴に入れる場合は耳介(じかい=耳のへり)を上後方へ引っ張るようにしておいてからだと耳の穴が真っ直ぐになりうまくいきます。
現在ペンライト型のものが売られていますので、明るくして良く観察しながら掃除することをお薦めします。 耳あかは湿ったものと乾いたものの2種類があります。
この違いは耳垢を作るアポクリン汗腺とエクリン汗腺の2種類の腺の量によります。
アポクリン汗腺の量が多い人は湿ったベタベタした耳あかになります。
ベタベタだからといって決して病気ではありませんが、心配して来院する方も多いようです。 アポクリン汗腺は脇の下にもあり、匂いを出す腺でいわゆるワキガの原因となります。
これは西洋人に多く見られる特徴で、フランスなどで香水が発達普及したのはそのためだといわれています。
日本人を含め東洋人では比較的乾いた耳あかの人が多くを占めています。
余談ですが、湿った耳あかの人であれば、より西洋人に近い体質と考えて良いでしょう。 耳あかの性状は遺伝します。
両親のどちらかが湿った耳あかであれば、子供さんのうちの何人かはやはり湿った耳あかになる訳です。
何度も言うようでうが、湿った耳あかだからおかしいとか病気だとか考えられては困ります。仕方ないことなのです。
実際の話ですがご主人に「お前の耳あかは俺のと違い変だから病院に行ってこい」と言われ来院した主婦がおりましたが、全く心配ないことなのです。 また、耳あかのたまりやすい人たまりにくい人、右と左でたまり具合が違う人など、これらは個人差の問題で何の心配もありません。ご安心ください。