■ご訪問者数:24640803
カワムラ歯科クリニック  昭和ごとう内科  たからまち総合診療クリニック  アイビー函館クリニック 

コラムを読む

胃もたれや胃痛が続く…機能性胃腸症について

消化器内科2010/04/26

数年前、安倍元首相の突然の辞任表明に引き続いて「機能性胃腸症で緊急入院」というニュースがありましたね。
このとき「機能性胃腸症って何?」と思った方も多かったのではないでしょうか?
機能性胃腸症(FD:Functional Dyspepsia)は内視鏡検査などで、胃に潰瘍やがんなどの異常が認められないのに、胃のもたれや痛みを感じる症状のことをいいます。
こうした症状は、昔は胃下垂、胃アトニーと呼ばれ、最近まで胃けいれん、神経性胃炎、慢性胃炎などと診断されてきました。
しかし実際には、胃の粘膜に炎症がないのに「胃炎」というのは正確ではないということから、近年「機能性胃腸症」と呼ばれるようになってきたのです。
その名の通り、胃の機能(働き)が低下することによって、胃もたれや胃痛、腹部膨満感、胸やけ、食欲不振などの様々な症状が起こると考えられています。機能性胃腸症は新しい病気というわけではなく、日本人の4人に1人が経験しているといわれるほどありふれた病気です。
主な原因は精神的ストレスや過労と言われており、ストレス社会を反映した現代病と言っても良いでしょう。
よく「ストレスで胃に穴があく」と言われますが、胃腸は自律神経の働きと密接に関わっており、ストレスによって自律神経が乱れると、胃の動きや胃酸の分泌にも大きく影響が出るのです。
機能性胃腸症は、胃もたれや食後すぐにお腹がいっぱいになるなどの症状が中心の

  1. 運動不全型と、空腹時や夜間の胃の痛みなどが強く出る
  2. 潰瘍症状型、どちらの症状も出る
  3. 非特異型

の3つのタイプに分けられます。治療はこれらの症状に合わせて、消化管運動機能改善薬や胃酸分泌抑制薬、抗不安薬などを用いた内服薬治療と、食生活を含むライフスタイルの改善の両面から行います。
食生活では、3食きちんと食べ、ゆっくり良く噛んで食べること、腹8分目を心がけて食べること、胃に負担がかかる脂っこいものや香辛料やアルコール、コーヒー、緑茶などの摂り過ぎにも注意しましょう。
また、過剰なストレスをためないように休養をとること、趣味や適度な運動などで気分転換をはかることも大切です。
なお、薬を飲んでも良くならない、胃の症状以外に黒い便が出るなど他の症状を伴う時には、胃・十二指腸潰瘍や胆石・膵臓の病気、がんなどの原因となる病気が潜んでいるかもしれません。
自己判断をせずに、消化器病専門医に相談しましょう。


Text by 佐藤内科小児科 内科認定医 中里 諭美(  「青いぽすと」掲載)

はこだて医療情報に登録されている詳細ページリスト(50音別)

医科 歯科  
医科 歯科  
医科 歯科  
医科
医科 歯科  
医科 歯科  
医科 歯科  
医科