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側頭葉(そくとうよう)てんかん

心療内科2010/04/26

 「てんかん」は脳における神経細胞の過度な興奮が広がることによって発作が起こる病気です。
意識を失って倒れる、けいれんが起こる、子供に発病する、というのが一般的な印象かもしれませんが、必ずしもそうではありません。 「側頭葉てんかん」はその名が示す通り、大脳の側頭葉に発作の起源がありますが(人間の大脳は前頭葉、側頭葉、頭頂葉、後頭葉という風に分かれています)、その発作の症状が非常に多彩であるという特徴があります。
けいれん発作で発症すると診断がつき易いのですが、けいれんは見られることと、見られないことがあります。
また、意識のくもりを伴うこともありますし、伴わないこともあります。
けいれん以外の発作症状で典型的なものは、「自動症」と言われるもので、口をモグモグ動かしたり、服をまさぐったりする動作が見られたりするものです。
吐き気、動悸(どうき)などの自律神経症状や身体の感覚の異常、幻聴や幻臭(きなくさい臭いなど)などの幻覚症状、恐怖感や抑うつなどの情動体験、自生観念(考えが浮かんでくる)、記憶障害など、実に多彩で、精神科で見られる症状のほとんどすべてが発作の症状として現れる可能性があると言っても過言ではありません。
有名な発作症状として、「夢のような感じで、(現在自分が居る所とは)別の所に居るように感じられ、なつかしい感じがする」というようなものがありますが、これは昔ある患者さんが表現した通り「夢幻状態」と呼ばれています(患者さんの言葉がそのまま医学用語として使われているのです)。
もちろん一人の人にそれほど沢山の症状が見られるわけではありませんが、かなり多くの症状が見られる場合もあります。 てんかんの中で側頭葉てんかんが占める割合は比較的大きいものです。
また、側頭葉てんかんの発症年齢は高い傾向にあり、成人以降の発症も比較的多く見られる傾向にあります。 治療は薬物療法が主体です。新しい薬も出てきており、かなりの効果が期待できますが、難治性の場合には外科手術が適応となる場合もあります。


Text by ゆのかわメンタルクリニック 久保田 修司( 2010年4月26日 「北海道新聞夕刊」掲載)

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