道南の花粉症
東京の病院に勤務していた時には、二月ともなると、暗い表情をした患者さんが増えてきました。函館でもテレビや新聞などで目にしたことがあるでしょう、スギ花粉症の患者さんです。スギ花粉症の患者さんには、「花粉が飛び始める前から抗アレルギー薬を使い始めましょう」というお話を日頃からしているので、実際に飛散開始する前からずいぶんと眼科や耳鼻科の患者さんが増えてきます。また、そういう患者さんは花粉防止のマスクをして、ゴーグルの様な縁の付いた保護眼鏡をかけます。
東京ではテレビでも、天気予報の時間にスギの花粉が多いか少ないかという予報を毎日流しています。でも、函館にもスギはあるのですが、このようなテレビの花粉予報というものを目にしたことがありません。では函館ではスギの花粉情報が全くないかというと、実はインターネットで見ることができます。北海道立衛生研究所が渡島保健所の観測結果を基に、スギや白樺・ハンノキの飛散量をグラフにしています。
http://www.iph.pref.hokkaido.jp/pollen/pollen_info.htm
ただし、実際の測定日時からグラフになるまで十日余りもかかるため、日々の花粉対策には役に立ちませんが、逆に言うと、それだけ函館のスギ花粉の量が、東京のそれに比べ非常に少ないということを表しているとも言えます。
このホームページを見ると函館の他に札幌や旭川の花粉の量が分かるのですが、左側のグラフの単位をよく見てみると函館は東京の十分の一、旭川は函館のまた十分の一にしかなりません。
函館で実際に花粉症がひどくなるのは六月です。原因となる花粉はイネ科の植物〈カモガヤ〉などです。公園や空き地、道路の中央分離帯や川縁などでイネ科の雑草が伸びてくると、近くで遊んでいた子供たちが赤い目をこすりながら病院にやってきます。花粉症の症状としては結構強いのですが、東京のスギに比べると花粉症の期間もずっと短いようです。