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帝王切開

産科婦人科2010/03/19

 分娩には、膣からのお産と、お腹を切る帝王切開があります。

  • 骨盤の大きさが、赤ちゃんの頭より小さい。
  • 胎盤が子宮の出口をふさいでいる前置胎盤。重症妊娠高血圧症候群。
  • 常位胎盤早期剥離。
  • 骨盤位「さかご」。
  • 分娩中に赤ちゃんの心拍が下がって、児の生命が危険になったとき。
  • 分娩の進行が、途中で止まった時。
  • 破水して陣痛が付かないとき。
  • 前回の分娩が帝王切開だった。

等の時帝王切開となります。

 30年以上前には帝王切開は5%前後で、10%もあればその施設はおかしい、切りすぎだと言われていましたが、現在は10ー20%は普通で、ハイリスクの妊娠分娩を扱う周産期センターなどでは40%を超える施設もあります。

 これは麻酔の進歩。術式の変化。手術材料の進歩などにより手術が安全になってきたこと。
社会情勢の変化により、陣痛の痛みに対する恐怖から。
不妊治療の進歩により妊娠できた妊婦さんや、高年妊婦のようやくできた大事な児を安全に産みたいということで、帝王切開を希望する方が増えていること。
また医療訴訟の増加から医師が無理をしなくなった事が増加の理由です。

 上に述べた帝王切開の適応の中で、骨盤位。前回帝王切開については従来より意見の分かれているところですが、骨盤位に関しては2000年に大規模な比較対照調査の結果が発表になり、明らかに帝王切開の方が、児の経過がよいと言う結果が出て流れとして骨盤位は帝王切開となっています。

 前回帝切後の経膣分娩については、問題は分娩中に子宮破裂がおきる可能性が0.5ー1%有るということです。
破裂がおきる前に知る方法はなく、おきてしまったら、児の死亡率も高く、子宮を取ることも多く、母体も危険になることから、またトラブルが起きた時の訴訟。警察の介入などで、反復帝王切開がまた増えてきているようです。

 帝王切開には、

  • 手術中の出血。
  • 隣接臓器の損傷。
  • 感染。
  • 術後の血栓形成による肺塞栓

などのリスクがあり、今でも日本での妊産婦死亡の大きな原因の一つとなっています。


Text by 松浦 敏章( 2007年7月 「タウン情報誌JAM「教えて、先生!!」」掲載)

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