妊娠と出血
妊娠中に出血して、びっくりして、また心配になり、あわてて産科を受診することがあります。
出血は初期には流産、子宮外妊娠、胞状奇胎、後期には早産、前置胎盤、常位胎盤早期剥離等でおき、妊娠以外の原因として、子宮頸管ポリープ、頸管炎、膣炎、子宮膣部びらん、子宮癌があります。
妊娠中、全妊婦の約25%がごく少量からそれなりの量まで出血するといわれています。
その大部分が妊娠10週までにおきます。
現在は超音波診断(エコー)により流産、子宮外妊娠、胞状奇胎、前置胎盤、常位胎盤早期剥離は診断できます。
流産は妊娠22週までをいい、それ以後を早産といいます。
流産は12週までは胎児因子、胎芽、胎児の染色体異常や発育異常が大部分を占め、それ以降は母体因子、感染(絨毛膜洋膜炎、子宮の感染)や頸管無力症などが原因となります。
子宮外妊娠は受精卵が子宮以外、多くは卵管に着床することによりおきます。
週数が進み大きくなると、卵管が破れお腹の中で出血し、急激な腹痛とともにショック状態になり、母体の生命にかかわることもあります。
原因はクラミジアなどによる卵管の炎症などです。
早産は膣内の細菌が子宮の頸管にはいりこみ頸管炎をおこし、その炎症が赤ちゃんの入っている袋に波及して絨毛膜洋膜炎をおこすことによりなります。
前置胎盤は胎盤が子宮口を覆っているものをいい、そのまま分娩が開始すれば大出血をおこし、母体の死につながることもあります。
超音波断層にて診断でき、妊娠の検診をきちんとうけていれば心配ありません。
常位胎盤早期剥離は分娩前に、胎盤がはがれることをいいます。
突然の腹痛とそれに続く持続的子宮収縮で始まる事が多く、妊娠中の異常で一番恐いもののひとつです。
胎児はほぼ死亡。母体も危険な事が多い疾患です。
出血やそれに伴う腹痛がある時はすぐ産科に連絡し診察を受けることが大事です。