男性の性(3)
前回は、なぜオトコは股間にあのようなものをブラブラさせているのか?というところで終わりました。
前々回にも書きましたが、オトコにとっての性器は“急所”とも言われるように何か損傷を受ければ命に別状は無くても生殖できなくなるかもしれない大事な場所です。
陰茎は性交の時に必要だからある程度外側に突出しているのも仕方が無いけれど、睾丸はどこかの国の軍隊のようにいざという時でも後方支援だけしていればいいので、なにも身体の外側でブラブラさせないで、オンナの卵巣と同じように身体の奥にしまっておけばいいのではないか?と誰もが思うのではないでしょうか?
ところが、動物園に行けばよく分かりますが、ヒトに限らずだいたいの哺乳類のオスは股間にあのようなものをブラブラさせています。
これにはやはり深い理由があったのでした。
哺乳類では睾丸で成熟した精子が作られるためには、体温より1.5℃から2℃低い温度の陰嚢内に睾丸が収まっていることが必須なのだそうです。
つまり身体の奥にしまいこんで体温と同じ温度の場所にいては立派な精子を作ることが出来ないのだそうです。
陰嚢の表面を見てみると身体のどこの皮膚よりもシワクチャであるのは、ラジエターのように絶えず熱を放散して体温よりも低い温度に保つ必要があるからなのだそうです。
身体の他の場所の皮膚は老化とともにシワが増えますが、陰嚢の皮膚は若い時ほどしわくちゃで年をとって生殖が不要になるとシワが伸びてダラーンとしていることが多いのも、そういった理由によるのかもしれません。
昔は精力をつける為に寒布摩擦と金冷法を実践していた人も多々いたようですが、寒布摩擦はともかく金冷法は当たらずとも遠からずで、“精力”の意味を勃起能力ではなく“精子を作る能力”とすれば、理にかなった民間療法だったと言えます。
ところで“現代人のオトコは精力が低下している”とよく言われますが実際のところはどうなのでしょうか?(つづく)