血糖値が高いといわれました。症状は何もないのですが、糖尿病ですか?
気づいた時には取り返しのつかない場合も。
早期受診による血糖値のコントロールが大切
一般に「糖尿病」と聞いて、皆さんはどのようにお考えになりますか? 尿に糖が漏れ出すということは、文字から想像できるでしょうか。
知っている方では、症状がひどくなれば足を切断しなければならないと聞いたこともあるでしょう。
しかし、実のところよく知らないという方が多いのではないでしょうか? 糖尿病の患者さんにとって問題なのは、3大疾病としてあげられる糖尿病性網膜症、糖尿病性腎症、糖尿病性末梢神経障害にかかることなのです。
血糖値が多少高いこと自体は、かえって元気なくらいで具合の悪いことは無いのですが、ここに落とし穴があるのです。 血糖値が高い状態に長いこと置かれた血管は変性していき、ついには詰まってしまいます。
これが皆さんもご存知の梗塞(こうそく)です。
心筋梗塞、脳梗塞とは動脈が詰まって引き起こされる状態ですが、これが糖尿病で変性した血管をお持ちの方では、どこで起こるかがわかりません。
また細い血管ほど詰まりやすいことなどが、先の3大合併症を引き起こす原因になるのです。
網膜に症状が現れると目が見えなくなり、腎臓に症状が現れると人工透析になります。
さらに人工透析はさまざまな合併症を引き起こします。
一般に透析治療は5時間前後かかることや、週3回治療を受けなければならないことも辛いのですが、それ以上に、透析を長く受けることで血管内に尿素などとは違う悪いものが溜まり命を縮めてしまうのです。 糖尿病神経障害では、糖尿病により変性した血管で詰まった先にある体の部分は栄養が行かずに死んでしまうため、その先の感覚が無くなってしまいます。
すると、例えば足の裏に傷ができたり、ひどければ画びょうどころか五寸釘が刺さっても気付かない方もいます。
足の裏を見るという習慣があまり無いと思います。
つまりグズグズに腐るまで気付かないこととなります。
そして、気づいた時には傷によって腐ってしまった組織から悪い物質が足自体を侵食してしまい、その部分だけ切り取っただけでは完治しなくなってしまいます。
結局はもっと上の部分から切らなくてはいけないことになるようです。
これを専門家はアンプタといって、膝からの下腿切断を意味します。 つまり、痛くもかゆくもない糖尿病は気付いた時には人生をその時点より長らえること自体ができないということが怖いのです。
現在、罹ってしまうことで梗塞状態となった体中の細い血管を元の健康な血管に戻す有効な治療法はありません。
しかし、血管の変性を食い止める手立てはあります。
それが食事運動療法や薬、インスリン注射で血糖を下げた状態で過ごすことです。 血糖値が高いとしても今からでも遅くありませんので、まずは医師にご相談ください。