風疹の予防接種は受けていますか?
風疹は、三日はしかとよばれているウイルス感染症です。
飛沫、あるいは直接触れて感染し、潜伏期間は14~21日で、発疹出現数日前から出現後7日間が、最も他人に感染させてしまいます。
主な症状は、赤い皮疹、発熱、頚部リンパ節腫脹で、皮疹は3~5日で消失します。
中には無症状の人もいて、知らないうちに他人に感染させていることがあります。
妊娠初期に妊婦が感染すると、胎児が先天性風疹症候群になることがあり、先天奇形を生じたり、時には死亡することもあります。
治療法がないので、ワクチンによる予防が最も大切です。
1回の接種では免疫ができない場合もありますので、免疫の有無の確認か、ワクチンの再接種をして下さい。
妊娠可能な女性は、妊娠していないことを確認して接種し、接種後2カ月は避妊する必要があります。
血管拡張性肉芽腫(けっかんかくちょうせいにくがしゅ)
血管拡張性肉芽腫という名前はすごいのですが、良性の皮膚の腫瘍です。
体に急にできてくる赤い皮膚の腫瘍で、よく血管のかたまりなどといわれることもあります。
あまり大きくはなりません。
直径は5mm~2cmくらいで、色は赤色か暗赤色で、柔らかくて盛り上がっています。
基部がくびれていることもあります。
男女ともに発症しますが、子どもや若年者、または妊婦の方にも多いようです。
子どもでは顔に多く、大人では四肢や体幹に多いようです。
急にできてきて大きくなりますが、だいたい2~3週間で大きさは一定になります。
痛みやかゆみなどの症状はありませんが、血管のかたまりですので、傷つけると出血しやすく、出血するとなかなか止まりません。
腫瘍の表面にカサブタが付いたり、ジクジクしたりしていることもあります。
悪性の皮膚腫瘍との鑑別が必要なこともあります。
原因としては、細かいキズや感染が引き金となって毛細血管が反応して拡張してきたものです。
妊婦に多いことからエストロゲンによる血管の拡張が原因と考えられています。
血管拡張性肉芽腫であれば、自然に治ることはほとんどないので、何らかの治療が必要になります。
治療は小さいものは、電気メスなどで焼いてしまいます。
大きなものは切って取ることになります。
十分に取らないと再発することもあります。
電気メスで焼いたり、切除したりするときは局所麻酔が必要になります。
ごく小さいものであれば液体窒素で患部を凍らせて壊死させ、新たな皮膚が下から再生してきて押し上げることにより、患部をカサブタ状にして治すこともありますが、数回の治療が必要になることもありますので、専門の医師にご相談ください。
イボについて
小さなお子さんから大人まで、イボに悩まされておられる方が多いと伺っています。
皆さんの身近にもいらっしゃいませんか?
イボには他の部分や他の人にうつるウィルス性のイボと、年齢や紫外線の影響でだんだんに増えてくる種類のイボがあります。
イボは医学用語では疣贅(ゆうぜい)といい、ウィルス性のイボには手足の関節部分や末端に生じる盛り上がっていて少し硬いイボ(尋常性疣贅)や直径1~2ミリの子供に多くでき、潰すと白い塊がでてくるミズイボ(伝染性軟属腫)、手の甲や顔面に多発する扁平性疣贅などがあります。
ウィルスによる病気には『水ぼうそう』や『はしか』など他にもありますが、これらは1度感染すると体に免疫ができるため、通常一生に1回しか罹りません。
しかしイボのウィルスに対しては、すぐには免疫ができません。
治療は古くからある漢方薬のハトムギまたはヨクイニンなどがよく用いられますが、イボが増え続けるときや薬を服用しても治りにくいときは皮膚科を受診してください。
尋常性疣贅や扁平疣贅では少し痛みはありますが液体窒素(-196℃)で凍結させる方法が一般的です。
通常1度では治りませんが週1回位通院して手当てをうけていると次第に治ってゆきます。
治りにくい方や痛みを感じやすい方は局所免疫治療法を選択することもあります。
ミズイボの場合は専用の器具を使い内容を圧出します。
ウィルス性のイボは痛みや痒みがなく、命にかかわる病気でもありませんが、ブツブツは不快なものですし、放置すると増えてきたり他人にうつったりします。
またウオノメやタコと間違えてほじくったりすると、広がってきたり、傷口から皮膚表面にいる細菌が入って二次感染をおこす心配もありますのでご注意ください。
外傷
外傷とは、日常生活で多く見られるケガのことです。その種類は、切創(切りキズ)、擦過傷(すりキズ)、挫創・挫滅創(ぶつけたキズ)、刺創(刺しキズ)、咬傷(咬みキズ)、などに分けられます。
このようなキズをきれいに治すには初めの治療が大切です。
擦過傷は、すりむいてできたキズです。
このようなキズは、皮膚の損傷は浅く、縫合せずに治すことができます。
しかし、キズの中に土砂やゴミなどが入っていることも多く見られ、そのままで治してしまうと刺青のように黒く残ってしまうことがあります。
これを防ぐにはよく洗浄して、細かい異物を取り除いておくことが大切です。
そのためには、局所麻酔が必要なこともあります。
挫創というのはぶつけてできたキズです。
切り傷などに比べると周囲の皮膚のダメージが大きくなっています。
そのまま消毒しておいても治ります。
ただし、時間がかかってしまいますし、治った後のキズアトは幅が広くなって目立つキズアトになってしまうこともあります。
このようなキズをきれいに治すには、まず、ぶつけてできたキズですので、傷口から細菌が入り込み感染症を引き起こしてしまうこともあるので、充分な洗浄が必要なこともあります。
そして、ダメージを受けた皮膚や皮下組織を切除して、ていねいに縫合することで、キズアトを目立たなくすることができます。
咬創は、咬まれたキズです。
キズそのものは小さくても深いことがあります。
また、引っかかれたキズも同様ですが、汚いことが多く化膿しやすいキズです。基本的には縫合せずに治療していきます。
伝染性膿痂疹(のうかしん) ~とびひにご注意を~
膿痂疹は、主に子供に、そして夏に流行する皮膚の感染症で、水疱の中の液を触ることによって、まるで火の粉が「飛び火」するように他の部位に伝染することから、「とびひ」と呼ばれています。
この時期に多い膿痂疹は黄色ブドウ球菌による水疱性膿痂疹で、虫刺されやほんの少しの傷がきっかけとなります。
特に鼻の中を触る癖がある子供は、容易に鼻に感染してしまいます。
薬は抗生剤の内服と外用を使用しますが、湿疹になり痒みを伴う場合は、ステロイドの外用を使用することもあります。
3日間抗生剤を内服しても効果がない時には、薬の変更が必要になります。
日常生活では、1日1回は石鹸で優しく洗い、患部はガーゼで保護し、爪を切り、タオルの共用は止めましょう。
患部を覆えば、登園登校は可能ですが、水遊び、水泳は控えた方がよいでしょう。
タコとウオノメについて
歩くたびに足の裏に痛みを感じることはありませんか? 今回はタコとウオノメのお話です。
タコもウオノメも皮膚が硬くなってしまう状態です。
医学用語ではタコは胼胝腫(べんちしゅ)、ウオノメは鶏眼(けいがん)といいます。わたしたちの皮膚は繰り返し圧力がかかると厚くなっていきます。
これは刺激から皮膚やその下の組織を守るための正常な反応です。
たとえばいつもペンや鉛筆を持っていると利き手の中指などが厚く硬くなります。
この状態がタコで通常痛みは伴いません。
ところが、足の裏の皮膚が硬くなってしまうと、歩くたびに押されるため、次第に奥に入り込んでしまうため、痛みが出てくるのです。
表面から見ると芯の部分が丸く見えるためウオノメ(魚の目)という名前がついています。
一度ウオノメが出来ると、歩行の度に押されて奥に入ってしまい、次第に強い圧力がかかるようになるため、自然にはなかなか良くなりません。
さらに痛みのある側の足をかばって歩くうちに腰まで痛くなってしまうこともあります。
ウオノメの治療は硬く入り込んでしまった皮膚を専用のハサミで取り除いていく方法です。
一見痛そうですが、通常、ウオノメ自体には神経は来ていないため、治療時の痛みはありません。
ウオノメを柔らかくする絆創膏も市販されていますが、奥の方にはまり込んだ芯は取れにくいですし、ご自分でハサミやナイフなどで削っている方もいらっしゃるようですが、足の裏側というのは意外と手が届きにくく、かえって刃物で怪我をしてしまう恐れもあります。
またウオノメやタコと思っていても実はウイルス性のイボである場合もあり、これは治療法も異なりますので、医療機関で一度御相談されることをおすすめします。
ホクロ(色素細胞性母斑:しきそさいぼうせいぼはん)の手術法
ホクロというのは色素細胞性母斑といって良性の皮膚腫瘍です。
ホクロの手術法ですが、ホクロといっても、形、大きさ、場所でいろいろあります。
その手術法も大きさ、場所で変わってきます。
通常は局所麻酔の注射をして、紡錐形(木の葉のような形)に切除して縫合します。
手術時間は、大きさにもよりますが、普通は20~30分くらいです。
翌日か翌々日からは洗顔やシャワーで濡らしたりできます。
抜糸は通常は1週間ほどです。
抜糸するとしばらくは赤みがあったり、硬かったり盛り上がったりしていますが、徐々に落ち着いてきます。
落ち着くのは3~6カ月くらいかかります。
最終的には白い線のキズになり、目立たなくなってきます。
また、場所や大きさによっては縫い縮めることができないものもあります。
その場合は皮膚をずらしたり(皮弁といいます)皮膚を植えたり(植皮といいます)することもあります。
直径3mm以下の小さなものに関しては、くり抜いたり、焼いたりする方法もあります。
そうすると、初めはカサブタになったり、ジクジクしたりしています。
そして、2週間位すると皮膚ができてきます。
やはり数カ月は赤かったり、へこんだりしていますが、徐々に目立たなくなってきます。
でも、大きなものをくり抜いたり、焼いたりすると皮膚ができるのに時間がかかったり、盛り上がったキズになることもあります。
ホクロの悪性化(癌化)については、ごくまれと考えられています。
ホクロが癌になるのか、はじめから癌として出てきているのかははっきりしません。
一般的には、足の裏、手のひらにあるもの、形がイビツなもの、色むらがあるもの、急に大きくなるもの、出血したり潰瘍化するものなどは要注意です。
悪性黒色腫(あくせいこくしょくしゅ)
悪性黒色腫は悪性度の高い皮膚癌の一種で、「ほくろの癌」として一般に広く知られています。
一見、黒いほくろに似ていますが、全く別物で、ほくろと思って放置すると手遅れになることがあります。
足の裏、手指にできることが多く、悪性黒色腫を疑う症状があります。
①左右非対称の不規則な形状
②色調は濃淡差が目立ち、不均一
③病巣の境界が不鮮明
④最大径が7mm前後を超える
⑤当初は黒褐色斑としてみられ、次第に拡大し、形状・色調の変化が目立ち進行すると全体ないし一部が隆起して、さらにびらん・潰瘍も生じてくる。
悪性黒色腫はひとたび進行すると非常に治療しがたい皮膚癌です。
手のひら、足の裏などになんだか怪しいと思う変なほくろ・あざがあり、先に挙げた症状の中で少しでも気になるところがあれば、早期発見のため一度皮膚科専門医に診てもらってください。
巻き爪(まきづめ)、陥入爪(かんにゅうづめ)
爪が皮膚に食い込んで痛くなったことはありませんか?
今回は陥入爪(かんにゅうづめ)のお話です。
長い時間歩いたり、きつい靴をはいたりして、足の親指などが痛くなってきた。
靴をぬいで見てみると爪の角の部分が皮膚に食い込んで赤く腫れている。
こんな時どうしますか?
爪切りで食い込んだ爪を切ると、痛みは解消するかもしれません。
でも、ちょっと待ってください! 足の指は、常に下からの力を受けているので、深く爪を切ると指先の肉が盛り上がり、爪の切り口が指の先端に刺さってしまうのです。
痛む→食い込んだ爪を切る→切った部分の指の皮膚が盛り上がる→爪に食い込む→痛む→爪を切る・・・という繰り返しで、次第にこじれてしまい、皮膚に爪が深く食い込み、自分では切れなくなってしまうのです。
そこで、爪を切らずに痛みを取るための簡単な応急手当てをご紹介します。
まず、粘着性の強めなばんそうこうを用意して、幅1センチ、長さ5センチ位に切ります。
次に、ばんそうこうの端を爪が食い込んでいる部分の真横の皮膚に貼り、爪と皮膚を離す方向に引っ張りながら指に巻き付けるように貼っていきます(このとき強く引っ張り過ぎると指の血のめぐりが悪くなることがあるので注意が必要です)。
この手当てによって、爪と皮膚の間に隙間ができて、食い込みがゆるやかになり、痛みも解消されます。
しかし、それでも痛みや腫れが取れない場合は医療機関を受診してください。
細菌感染を起こしていて、抗生物質が必要な場合があるからです。
以前は手術的な治療が主流でしたが、最近では人工爪やシリコンチューブを用いた、手術によらない方法でよくなる方も増えてきています。
また爪自体が屈曲している、いわゆる巻き爪(まきづめ)の場合は特殊なワイヤーを用いて形を整える方法もあり、これも手当ての際に痛みを伴いません。
怖がらずに、お早めに御相談ください。
水虫についての疑問にお答えします
「水虫は痒い?」
水虫で痒いのは1割程度です。痒くない場合でも視覚的に水虫が疑われる場合には積極的に検査を受け、水虫かどうかはっきりさせた方がいいでしょう。
「病院の薬を塗ったが治らない。」
塗る回数・量・範囲が十分ではない人が多くみられます。一般的には症状がない部分も含めて、1日1g程度を両足の足底全体・指間・足縁・アキレス腱近くまで広く外用し、きれいになってからも1~2か月継続して下さい。それでも効果がない場合は、他の系統の外用剤に変更することもあります。
「薬を塗ったら悪化した。」
薬にかぶれた可能性が高く、かぶれの治療に変更します。
「家族に感染させたくない。」
スリッパやバスマットの共用をやめ、靴下を履き、1日1回、指の間も含めしっかり洗って下さい。洗濯ではほとんどの菌がとれるので、一緒に洗っても全く問題ありません。