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やけどをしたら

皮膚科2019/02/18

 やけどは、深くなればなるほど治りにくく、傷跡が残ってしまいます。
やけどをしたら、自宅にある軟こうを塗ったりアロエを貼るのではなく、すぐに冷やしましょう。
流水で15分から30分程度冷やすことで、痛みが軽減し、やけどが深くなることを防ぎます。
衣服は脱がさずに、服の上から冷やしましょう。
その方が水疱(すいほう)は破れず、痛みが少なくてすみます。
傷跡が残ると困る顔や、動きが悪くなると困る手足などの関節部のやけど、そして後から深くなることがある湯たんぽなどの低温やけどは、できるだけ早く皮膚科を受診しましょう。
浅いやけどでも、細菌感染や不適切な治療で深くなり、傷跡が残ってしまうことがあるからです。
やけどをしてしまったことは仕方がありませんが、その後の対処を正しくすることで、傷跡が残らずに済むかもしれません。


Text by うめき皮膚科 梅木 薫( 2019年2月18日 「北海道新聞みなみ風」掲載)

帯状疱疹は、早期治療と予防が大切です

皮膚科2018/09/10

 帯状疱疹(ほうしん)は、体の抵抗力が落ちると、自分の体の中に残っている水ぼうそうのウイルスが神経を通って、左右どちらかの皮膚に痛みや水疱(すいほう)が出現する疾患です。
今年の夏は寒暖差が激しく、体調を崩されたためか、帯状疱疹で受診される人が多くなっています。

 現在の帯状疱疹の内服薬はウイルスの増殖量を抑える効果が期待できますが、早期に治療を行わないと効果が出づらく、神経痛が残ってしまうことや、水ぼうそうにかかっていない人に水ぼうそうとしてうつしてしまうことがあります。
もし、左右どちらかの皮膚に帯状に痛みや水疱が出てきたら、早目に皮膚科を受診してください。
また50歳以上の方は帯状疱疹の予防に水ぼうそうのワクチンが接種できるようになりました。
こちらは自費であり、行っていない病院もありますので、受診前に電話でご確認ください。


Text by うめき皮膚科 梅木 薫( 2018年9月10日 「北海道新聞みなみ風」掲載)

5月10日はコメドの日です

皮膚科2018/04/16

 「コメドって何?」と、思われたのではないでしょうか。
Comedo(コメド)とは面皰(めんぽう)のことで、毛穴詰まりを意味します。
ニキビは、目に見えない微小面皰から始まります。
そこに皮脂がたまってニキビ菌が増えると白(黒)ニキビになり、炎症が起きてしまうと赤ニキビになります。

 つまり、赤ニキビだけを治療しても、最初の微小面皰を治さない限りニキビは治りませんし、さらに炎症が続きニキビあと(瘢痕:はんこん)になってしまうと治す治療法はありません。
命に関わらない等の理由もあり治療法が発展しづらい状況もあった一昔前に比べ、現在、病院でのニキビ治療は世界水準となりましたが、中にはすぐに治ると勘違いして治療を中断してしまう方がいらっしゃいます。
効果が表れるためには最低でも3カ月、そしてその状態を維持するためにはしばらくの間、治療が必要になります。

 コメドの日を機会に、きれいな肌を目指しませんか。


Text by うめき皮膚科 梅木 薫( 2018年4月16日 「北海道新聞みなみ風」掲載)

軟性線維腫(なんせいせんいしゅ)

皮膚科2018/03/26

 軟性線維腫というのは、ポリープ状に皮膚が隆起している良性の皮膚腫瘍です。
 30歳代以降にできてきます。原因は摩擦や日光など皮膚の老化によります。
 首、ワキ、そけい部(脚の付け根)、大腿の内側など比較的やわらかい部分にできることが多いものです。
 初めは小さな皮膚の突起ですが、徐々に大きくなってポリープ状で茎のある、やわらかい皮膚の腫瘤(しゅりゅう)になってきます。
 スキンタグといって、頚部(けいぶ)やワキに小さいイボのようなものが多数できることもあります。
 肥満した方や中年以降の方に多く見られ、皮膚の老化と考えられています。これも軟性線維腫の一種です。
 大きくなってくるとくびれができて、皮膚にぶら下がったような形になってくることもあります。
 やわらかい良性の皮膚腫瘍で、悪性化することもありませんから、そのまま様子を見ていても良いのですが、ゆっくりとですが大きくなってきます。
引っかけて出血するなど、邪魔になる場合は治療が必要です。

 治療は小さいものでは、ハサミで切ったり、焼いて取ったりすることもできます。
大きいものは、くびれた部分の根元の皮膚を含めて切除します。
そうすると縫合が必要になりますが、きれいに取れます。


Text by すどうスキンクリニック 須藤 聡( 2018年3月26日 「北海道新聞夕刊」掲載)

ウオノメについて

皮膚科2017/12/07

 足の裏に痛みを感じることはありませんか? 今回はウオノメのお話です。

 皮膚は強い力で圧迫が繰り返されると硬くなる性質を持っています。例えば鉄棒の練習をしたり、重いカバンを長く持っているとその部分が硬くなってマメができます。あるいは、書き物が多い方ですと中指の皮膚が厚くなり、いわゆるペンダコができます。足の裏側は常に体重がかかるため、どこかに重みが集中するとその部分が硬くなってきます。この時点では痛みはないのですが、圧迫が繰り返されているうちに硬い皮膚が押されて、奥深くに入り込んでいきます。そして神経に触る厚さにまで成長すると、痛み始めてしまいます。丸く見えるためウオノメ(魚の目)という名前がついています。一旦、ウオノメができてしまうと、歩行の度に押されてさらに奥に入り込み、進行することはあっても自然には治りにくいものです。

 治療方法はウオノメを柔らかくする絆創膏が市販されていますが、すでに厚みがあって奥にはまり込んだ部分が取れにくい場合には、専用の器具で取り除きます。痛そうなイメージがあるかもしれませんが、ウオノメには神経がきていませんので治療に苦痛は伴いません。ご自分でハサミやナイフで切ってみたという方もいらっしゃいますが、足の裏は意外と手も目も届きづらく、かえって怪我をしてしまう場合があります。また足の裏にはウイルス性のイボや粉瘤などウオノメと別なものが発生することがあり、これらは治療法も異なります。

 ウオノメの原因は立ち方、歩き方などで1カ所に重みが集中することですので、治療しても長年の習慣を変えることは困難であるため繰り返しやすいものです。しかし放置していると痛みは増しますし、痛い部分をかばって体重のかけ方を変えて生活していると、今度は体が歪んでしまい、腰まで痛くなってしまう場合もあります。


Text by みなとまち皮膚科 菊地医院 菊地 誠一( 2017.10.17発行 「青いぽすと」掲載)

皮膚科を受診される時のお願い

皮膚科2017/11/13

 皮膚科を受診される時に、いくつかのお願いがあります。

①いつから、どこに、どのような症状があるか、まとめておく:緊張のためか考え込んでしまう方がいらっしゃいます。
②お薬手帳を持参する:薬疹や飲み合わせを気にされても、薬が分からないと判断できません。
③現状のまま受診する:きれいにして受診されると、診断ができません。
④すぐに見せられる服装で受診する:ボタンがある服やボディースーツなど、脱衣しにくい下着や服は避けて下さい。
⑤顔の診察の時は化粧をしない:発疹が隠れて正しい診断ができません。
⑥健康保険証、受給者証を持参する:保険診療や市町村の助成が受けられません。
⑦健康保険証、受給者証の期限切れに注意する:前職の保険証などは使用できません。

 診断を正しく診察をスムーズに進めるため、ご協力をお願いいたします。


Text by うめき皮膚科 梅木 薫( 2017年3月13日 「北海道新聞みなみ風」掲載)

鼻のホクロの切除

皮膚科2017/09/25

 ホクロの手術法は普通は紡錘形(ぼうすいけい・木の葉のような形)に切除して縫合します。また小さいものでは、くり抜くように切除してそのまま治したり、焼いたりします。ホクロの部位や大きさによって切除の方法も異なってきます。皮膚が厚い部位では紡錘形よりも円形や楕円形にくり抜いて縫合した方が傷が短く目立たないこともあります。

 鼻はホクロの切除としてはちょっと特別な場所です。鼻の部分は鼻根部(鼻の上部、目の間)鼻背部(鼻すじ)鼻尖部(鼻のとがった先端部)鼻翼部(小鼻)に分けられます。

 鼻根部は皮膚が薄いので普通通り紡錘形に切除して縫合します。鼻背部、鼻尖部は皮膚が厚いので円形や楕円形にくり抜いて縫合します。その方が傷が短くなり皮膚の盛り上がりも少なくて目立ちにくくなります。鼻翼部は鼻の穴の縁になるので、鼻の変形がもっとも目立ちやすい場所です。そこで、縫合の方向を変えて変形が起こりにくいようにします。また、三角形に切除して縫合するなど周囲の変形が少ないような縫合法を行うこともあります。

 このようにして、鼻のホクロとして最も多い3~7ミリくらいの大きさのホクロを切除できます。それ以上の大きさのものに関しては周囲から皮膚を移動させたり、皮膚を移植する植皮の必要が出てきます。また、小さいものに関してはくり抜いてそのままにしたり、焼いたりします。

 また、ホクロに似た悪性腫瘍として、悪性黒色腫(メラノーマ)があります。

 その識別も必要になります。
(保険が適用されない場合がありますので、病院にてご確認下さい)


Text by すどうスキンクリニック 須藤 聡( 2017年9月25日 「北海道新聞夕刊」掲載)

汗管腫(かんかんしゅ)

皮膚科2017/03/27

 汗管腫というのは眼の周りに多発するブツブツとした発疹です。
女性に多く、主に思春期以降にできてきます。
大きさは米粒くらいで、数個からもっとたくさん集まってできることもあります。
色は皮膚と同じ色です。
眼の周り、特に下のまぶたに多く見られますが、額や頬にできることもあります。
特に痛みやかゆみなどの症状はありませんが、自然に治ることもありません。
悪性ではないですし、悪性化することもほとんどないので治療しなくてもよいのですが、多発して細かいブツブツになるため、整容的な面で問題になることもあります。

 治療法は、焼いてしまうという方法があります。
ただ、麻酔が必要になりますし、1回で取れないこともあります。
広い範囲の場合には何回かに分けて治療することもあります。
焼いてしまった場合、2週間くらいカサブタになって取れますが、しばらく赤みは残ります。
化粧はできますのである程度隠すことはできます。

 汗管腫に似たものとしてエクリン汗嚢腫(のうしゅ)というものがあります。
これは、女性に多く、やはり眼のまわりに米粒くらいの大きさのブツブツがたくさんできます。
でも、汗管腫は一年中変化しませんが、エクリン汗嚢腫は冬は良くなりますが、夏になると出てくるという特徴があります。
エクリン汗嚢腫は、焼いてもまた出てきたりして、汗管腫よりも治療は困難な事が、多いようです。
やはり似たものとして、稗粒腫(はいりゅうしゅ)というものもあります。
これも女性の眼の周りに多く見られますが、単発していることが多いようです。
これは、小さく切開して、中の袋を出してしまうと取れます。
麻酔をしなくてもできます。


Text by すどうスキンクリニック 須藤 聡( 2017年3月27日 「北海道新聞夕刊」掲載)

まだまだ、しもやけの季節です

皮膚科2017/03/13

 しもやけは寒さによる末端の血行障害で、厳冬期よりも昼夜の温度差が10度以上ある初冬と初春に多いといわれています。
特に足指や耳、頬が赤く腫れ、時に水疱(すいほう)となり、温めると痛みや痒(かゆ)みが強くなります。
治療は血行を促す外用剤を優しくマッサージしながら、1日に数回塗布します。
炎症が強い場合には、ステロイド剤を使用することもあります。
重症の場合はビタミンEや漢方薬を内服することもありますが、症状が出る前の秋から始めると、予防効果があるといわれています。
手洗いや発汗後の水分が蒸発することで熱が奪われ、しもやけになりやすくなりますので、タオルで水分をしっかり拭き取ったり、靴下を交換することが大切です。
発熱や関節痛を伴ったり暖かい時期でも症状が続く場合には、他の疾患のこともありますので、その時は皮膚科受診をお勧めします。


Text by うめき皮膚科 梅木 薫( 2017年3月13日 「北海道新聞みなみ風」掲載)

陥入爪(かんにゅそう)

皮膚科2016/09/26

 陥入爪というのは、爪の端が食い込んでいることで痛くなる病気です。
多いのは足の親指の爪です。
爪が食い込んでいるために痛みが出たり、爪を切るときに端まで切ることが出来ずに爪の端が尖って残ってしまい、そこが刺さって痛くなってきます。
ひどくなると肉芽(にくげ)という組織が盛り上がってきて、痛くて歩行にも支障を来すようになります。

 軽度であれば、爪の切り方に気をつけて爪を伸ばすようにしたり、テープで爪の端をとめて爪と皮膚の間を広げるようにすると痛みが出にくくなります。
また、ワイヤーを爪につけて伸ばす方法もありますが、時間がかかったり、再発することもあります。
爪の食い込みが強い場合や、何回も繰り返す場合には手術をしなくてはなりません。
手術の方法にもいくつかあります。
爪母という爪を作っている組織が爪の根元にあります。
食い込んでいる部分の爪母をフェノールという薬品で焼いてしまう方法や直接切除してしまう方法があります。
こうすると爪は多少細くなりますが、食い込んだ部分の爪は生えなくなり痛みは出なくなります。
フェノールで焼く方法は簡単なのですが、再発することもあります。
切り取ってしまう方法は手術後は疼痛がありますが、確実な方法です。
術後は1~2日でぬらしたりできます。
また、巻き爪というのもあります。
これは爪の端だけでなく爪全体が丸まってくるもので、正確には陥入爪とは異なります。
巻き爪は変形は強いのですが、痛みがないことも多いのでそのままにすることもあります。
上から押さえたりして疼痛があるとき手術をすることもあります。
手術は爪全体を一度取ってしまって爪床という部分を平らになるようにしなくてはなりません。
少し大変な手術になります。


Text by すどうスキンクリニック 須藤 聡( 2016年10月26日 「北海道新聞夕刊」掲載)

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