肩関節周囲炎とは何ですか?
通俗的病名では、いわゆる“四十肩・五十肩”として、よく知られている疾病です。
急性期の疼痛(とうつう)が主なときは安静が必要で消炎・鎮痛を第一とします。そして、重いものを持ったり痛みを伴うような動作をしないこと、夜間痛みのあるときはタオルなどで包んで患部の肩が冷えないようにし、また患部を下にして寝ないこと、更に暑い夏場でも扇風機やクーラーなどの冷気を直接肩にあてないことなども大事です。
次に、入浴して少しでも楽になる時には肩関節を動かします。
自分で運動するときは、まず仰向けになって深呼吸し、リラックスした状態にします。そしてなんでもない方の手で痛みのある方の肘(ひじ)をつかんで、引っ張りあげるようにして腕全体を持ち上げます。少し引っ張られる程度で、少し痛みのある程度まで動かしていきます。
しかし運動したことで逆に痛みが強くなるときは、症状に合わせた治療や運動の方法がありますので、整形外科専門医に相談してください。
変形性膝関節症と運動療法
膝の痛みと変形は加齢とともに多くの人に起こります。困ることは歩けなくなることばかりでなく、体力や気力までも落ち込んでしまうことです。
治療方法は大筋で決まっていますが、最近強調されていることがあります。“自分の膝は自分自身でも守るもの”として運動療法を理解してもらうということです。その簡便な方法は下肢の筋肉を鍛えること、特に太ももの筋肉「大腿四頭筋(だいたいしとうきん)」を鍛えることです。
あおむけに寝て、軽く片方の膝を曲げ、鍛える膝をできるだけ伸ばして足先が見えるくらいまでゆっくり持ち上げて保持し、ゆっくり下ろします。この動作を左右5回ずつ1日に数度行います。そして3ヵ月以上気長に続けることが大切です。
より具体的な運動療法については整形外科専門医に相談しましょう。
女性と変形性膝関節症(へんけいせいひざかんせつしょう)
中高年の女性が膝の痛みを感じると、「変形性膝関節症」と診断されることが多い。膝の軟骨などが擦(す)り減ったために生じ、レントゲン写真や関節鏡によって確認できるが、悪化すると「O脚(がにまた)」となる。
膝の痛みの予防は、体重を増やさないこと、体重に見合った筋力を維持することが必要。特に大腿(だいたい)部前面の筋肉の「四頭筋体操」が極めて有効。
治療には、鎮痛剤、理学療法、関節内注射や外側楔足底板(がいそくくさびそくていばん)の装着が行われ、さらに歩行時の痛みが悪化すると、「人工膝関節置換術」(じんこうひざかんせつちかんじゅつ)が行われる。
現在の人工関節は屈曲角度も改善し、正座は無理なものの、歩行時の痛みと歩行能力は大きく改善され、近年では80歳代で人工膝関節手術を受ける方も増えている。
術後1週目より、起立訓練や椅子への移乗、歩行訓練が行なわれる。変形性膝関節症の予防のため、日々歩くことを心掛け、下肢の筋力を鍛えたい。
スポーツに多い捻挫(ねんざ)と肉離れ
走り回ることが多いスポーツ。「スポーツによる外傷、障害」の部位を見ると、一般的にはコンタクト・スポーツ(サッカー、ラグビーなど)では、膝、腰、肩が多く、テニスなどのスポーツでは、肘、足、手関節が多い。
走る時に生じるケガの多くは、捻挫(ねんざ)や肉離れ。
安易に考えてスポーツを継続すると、選手の将来に暗雲が立ち上る。緩(ゆる)みを生じた関節には、関節軟骨の障害と炎症が発生し、運動時に常に痛みや腫れが生じ、運動能力が大きく阻害される。
子供を一流の選手に育てようとするトレーナーは、「この10年で選手生命を終えたいのか、あと10年やりたいのか、休む勇気も大切」と説く。
肉離れの多くは、大腿四頭筋(だいたいしとうきん)と内転筋(ないてんきん)。小さな肉離れの放置は、次には血腫(けっしゅ)と筋断裂を伴う重大な肉離れや、靭帯(じんたい)損傷を伴う捻挫を生じ、悪くすると選手生命が失われる。
ウォーミング・アップでは、充分なストレッチを行い柔軟な筋肉を保持し、「ケガをしない、ケガをしても軽く済むよう」心掛けたい。
1時間の練習には1時間のウォーミング・アップとの認識が大切とされる。
腰痛(ようつう)のお話
整形外科を訪れる方々の20~30%が腰痛症の患者さんです。
腰痛症は様々な病気が原因で生じます。痛みの生じ方から、腰への急激な負担から痛みが生じる「腰椎椎間板(ようついついかんばん)ヘルニア」や、「脊椎圧迫骨折(せきついあっぱくこっせつ)」などの急性腰痛、立ったり歩いたりすると徐々に歩くことが困難になる「腰部脊柱管狭窄症(ようぶせきちゅうかんきょうさくしょう)」などの慢性腰痛に分けられます。
また、腰痛には腰の骨、椎間板や椎間関節、神経根などによるものだけではなく、内臓(腎臓)や血管(腹部大動脈瘤[りゅう])や血液(白血病)などの原因によって生じるものもあるので正確な診断が欠かせません。
「かぜは万病のもと」とよく言われますが、腰痛症も同じです。
軽い病気と考えずに、「何が原因で、どこがどのように障害されているのか」、整形外科の専門医を受診し、正確な診断のもとに充分な説明と治療を受けることが大事です。まずは医師に相談されるか病院ホームページをご覧になることをおすすめします。
変形性膝関節症の痛み
歩く時に膝に強い痛みを感じ、正座が困難となり、「O脚」となってはいませんか。
この症状は女性に多く見られ、膝の内側の軟骨とパッキングである半月板が擦り減ったために、強い痛みが生じるもので「変形性膝関節症」といわれます。予防は、体重を増やさないための食生活の改善と、体重に見合った下肢の筋力を維持する必要があります。
エレベーターや車を使わずできるだけ歩いたり、週2・3回の軽い運動(ウォーキングなど)を行い、椅子に座りながら膝を伸ばす「四頭筋体操(しとうきんたいそう)」といわれる大腿(たい)前面の四頭筋の増強運動が有効です。
治療には、鎮痛剤や理学療法、関節注射、人工関節などの手術が行われますが、お勧めしたいのは「外側楔足底板(がいそくくさびそくていばん)」の装着。装具は膝の内側の負担を軽減するもので、日常の装着でも違和感が少なく、使用感も悪いものではありません。
膝の痛みの改善に大いに役立ちますのでご相談ください。
ちょっと待って、その寝酒
職場での健康診断が多くなる時期には、肝臓の検査値異常や中性脂肪の高値を指摘された方がちらほら来院されます。
お話を聞いてみると、眠るためにお酒を飲んでいると言う方も少なくありません。
この場合、寝酒が体を悪くしていることも考えられます。
眠る事ができれば、お酒は飲まなくても良いというお話をされますので、睡眠導入剤(眠り薬)の服用を勧めるのですが、多くの方は躊躇(ちゅうちょ)されます。癖になるのではないか、副作用が出るのではないかと心配されるようです。
でも、考えてみてください。寝酒は癖になっていませんか?
肝臓の異常や中性脂肪の高値というお酒の副作用は出ていませんか?
眠るためにだったら、上手に睡眠導入剤を利用したほうがお酒より体に害は無いのです。
『眠るため』というのを言い訳にして寝酒を飲むお父さんも、もう言い訳は無理ですよ。
昔の服が着られなくなっていませんか?
昔から「ベルトの穴がひとつ増えると寿命が一年縮まる」と言われたように、今日では肥満がさまざまな病気の発症に関わっていることがわかっています。なかでも、内臓のまわりに脂肪がつく内臓脂肪型肥満は高血圧や糖尿病、心臓病、脳卒中、高脂血症などといった生活習慣病の発症に大きく関係しています。肥満を知るには、まずはボディ・マス・インデックス(Body Mass IndexーBMI) を計算してみましょう。
BMIとは「体重(kg)÷身長(m)÷身長(m) 」で算出される体格指数(肥満度を測るための国際的な指標)のことで、医学的に最も病気が少ない数値として、22を「標準」とし、18.5以下なら「痩せ」、25以上を「肥満」としています。また最近ではウェスト周囲径が男性では85cm以上、女性では90cm以上では内臓脂肪型肥満の可能性が高いとされます。国民栄養調査によると、日本人一日の採取する総カロリーはむしろ減少していますが、食事の欧米化の為に脂肪摂取は増加しているとされています。
また内臓脂肪型肥満の増加にともない糖尿病の患者も急増しています。日本人はもともと米や魚を主に食べてきた農耕民族、それほど動物性脂肪を多く摂ってこなかったにも関わらず、高度成長期以降、欧米スタイルの食生活に急激にシフトしたため、この環境の変化に、体が対応しきれていないのです。
欧米の映画でファーストフードを三十日間食べ続けるとどうなるかという映画がありましたが、その映画監督は「この映画を作ったそもそもの目的は、これを観た方々に改めて食生活を見直してもらうこと」と話していました。また、親たちが子供や家族の食事に気をつけるようになったり、子供のお手本となるように自らの食べ物にも気を配るようになったとの反響があったとも話しています。
日本人も例外ではなく、交通手段の発達等による運動不足や欧米化の食事により肥満は年々増加しており、今や肥満は子供にまで影響が出てきて社会問題にまでなっています。あなたは昔の服が着られなくなっていませんか? ときどき運動、食事を含め生活習慣の見直しをしてみましょう。さあ、怖がらずに体重計に乗ってみましょう。
メタボリックシンドローム・・・あなたのウエストは何センチですか?
日本人の三大死因として、がん・心疾患・脳血管疾患という三つの疾患が挙げられます。
これらの疾患は、毎日の食事や睡眠、運動不足などの生活習慣の積み重ねによって起こります。なかでも心疾患と脳血管疾患は、全体の三分の一を占め動脈硬化が原因といっても過言ではありません。
メタボリックシンドローム(以下 Mets)とは、内臓脂肪肥満(りんご型肥満)を背景にして、複数の生活習慣病(糖尿病、高脂血症、高血圧などの動脈硬化危険因子)が合併している状態を言い、動脈硬化や日本でも急増している糖尿病と深く関係しています。ウエストが男性で85cm、女性で90cm以上であることに加え、次の三項目のうち二つ以上が該当する場合がMetsとされます。
- 収縮期血圧が130mmHg以上か拡張期血圧が85mmHg以上
- 空腹時の血糖値が110mg/dl以上
- 中性脂肪が150mg/dl以上かHDLコレステロール(善玉コレステロール)が、40mg/dl未満(糖尿病、高血圧、高脂血症などで治療薬を服用しているときは、それぞれ一項目に該当)
―このようにMetsでは一つ一つの症状は深刻でなくとも重複して持つと動脈硬化性疾患のリスクを有している事になり、3~4個重なれば心血管の病気の発症頻度が30倍にもなるという報告もあります。メジャーを用意しウエストを測ってみてください。
次に血圧を計りましょう。
最後に最近お受けになった健康診断や病院からもらった血液検査の結果を見直してみましょう。いかがですか? あなたはMetsの範疇に入りますか? Metsに該当する場合は、まずは生活習慣の見直しをかけて、ウエスト周囲径を一cmでも減らす事が重要です。
- まずは過食や運動不足などの悪い生活習慣を改め、肥満を解消しましょう
- 食事は健康の要。適切な摂取エネルギーの範囲内でバランスよく栄養をとり、一日三食、規則正しく食べることが基本です。またタバコはやめましょう
- 有酸素運動は体力の維持増進のほか、肥満防止、内臓機能の活性化、ストレス解消にも効果大です。
病気になってから治すのではなく、病気にならないよう生活習慣に気をつけましょう。
メタボ健診がやってきます!
函館市では、6月より特定健診~いわゆるメタボ健診が始まります。「メタボ」とは?
最近よく耳にしますね!
ここでおさらいをしましょう。メタボとは~メタボリックシンドローム(内臓脂肪症候群)を略したもので、名前の通り、内臓に脂肪が付いて、高血圧症・糖尿病・高脂血症などの動脈硬化を悪化させる病気を引き起こす状態です。メタボリックシンドローム(以下メタボ)の定義は、肥満について内臓脂肪の蓄積を空腹時の臍(へそ)の周りの長さで規定しています。男性、85センチメートル、女性、90センチメートル以上がチェックされます。この内臓肥満があることが必須条件です。
そして次にあげる3項目のうち2個以上に該当するとメタボと診断されます。
- 血圧について~収縮期血圧が130以上、または拡張期血圧が85以上
- 空腹時の血糖値が110以上
- 血清脂質について~HDL―コレステロール(善玉コレステロール)が40未満、または中性脂肪が150以上
みなさんどうですか?
上記がメタボの定義なのですが、今回の特定健診では、肥満については、臍周囲径以外にBMIが25以上あれば肥満として同様にチェックされます(BMIとは、身長と体重の関係から算出した肥満度を表す数値です。18以上25未満が正常で、25以上は肥満です)。また、空腹時血糖は100以上で引っかかりますし、空腹時血糖が採血できなければHbA1c(ヘモグロビン・エー・ワン・シー)5.2%以上を糖尿病予備軍としてチェックされるようになっています。そのため、今回の健診ではいわゆるメタボより軽症の方もチェックが入りますので、気を付けてください。
メタボ健診をよい機会として、動脈硬化や、糖尿病、高血圧などの生活習慣病になるまえに、ご自身の健康に目を向けることもいいのではないでしょうか?
内臓脂肪は、皮下脂肪よりも減りやすいようですから、メタボ予備軍のうちにしっかりと保健指導を受けて、悪い生活習慣を正して健康を手に入れましょう!