はやり目
「はやり目」という目の病気を聞いたことがありますか? 流行性角結膜炎という非常に感染力の強いウイルス性結膜炎です。函館では昨年の秋から冬にかけて、この「はやり目」が大流行しました。主な症状は、目の充血、目やに、発熱や耳の前のリンパ節の腫れです。治療は、細菌の混合感染を防ぐ目的の抗菌薬点眼と、炎症を抑えるためにステロイド点眼を主に用います。
結膜炎と言っても、症状が強い場合は目の表面が濁り視力が落ちる後遺症を残す場合もあります。この結膜炎は目やにを介して感染する病気です。はやり目の人が触った場所に触れ、その手で目を触ることで感染してしまいます。非常に感染力が強いため、手洗いや感染予防が何よりも大切です。
風邪予防のためにも、はやり目をはやらせないためにも、手洗いをしっかりして寒い冬を乗り切りましょう。
おねしょの治療
「おねしょ」というと、ほろ苦い思い出をお持ちの方もいらっしゃるのではないでしょうか。6歳を過ぎても失敗を続けている子を夜尿症(やにょうしょう・通称:おねしょ)として投薬や生活指導を行い、治療する傾向が多くなりました。簡単な問診と尿検査、普段の1日の飲水量や尿量等を参考にして診断します。夜尿が徐々に少なくなってきている場合は生活指導だけで良くなる場合もあります。
夜尿症の原因はいくつかありますが、ほとんどは夜間の尿量が多いタイプです。治療を開始すると、 約7割の子供たちが半年前後で薬を中止できます。このように長期にわたる治療や生活指導(水分制限等)が必要であること、再発の問題や薬の副作用の問題などもありますので、治療の際は、必ず専門医の診断を受けるようにしましょう。
トラウマ(心的外傷)について
精神的に大きなショックを受けた場合、時間が過ぎてもその影響が残ることがあります。そういうショックのことを「トラウマ(心的な外傷)」と言います。ショックによって様々な身体的、精神的な問題が引き起こされるということです。
比較的単純で分かりやすいのは地震などの災害や事故にあった時、犯罪の被害者など、命にかかわるような体験をした場合です。その後に不眠、悪夢、イライラなどが生じたり、急にその時の様子が生き生きと思い出されたりすることがあります。
しかし、家庭内暴力など嫌な体験、ショックが長い期間にわたってくり返されると、上に述べた症状だけではなくて、もっと多くの症状が現れ、それが長く続くことになります。あまりにも以前の状態と変わってしまうので、「身体の状態も心の状態も(自分というそのものが)、以前とはすっかり違ってしまった」というような体験になることがあります。多くのものが失われてしまったと感じられる場合もあります。
さらに、身体的暴力、性的な虐待のほか、情緒的な虐待、不適切な養育(最近は虐待を少し広く考える傾向にあります)などによるショックが幼い頃にくり返し体験される場合、その将来に大きな影響を残すことになります。子供の発育に影響し、人格形成そのものに対しても障害になります。さらには、多くの精神、神経科的な問題の発生にも関与します。様々な身体的不調、抑うつ、不安、恐怖、自傷、自殺、不眠、過食、対人関係の問題、薬物依存、アルコール依存、さらには精神病状態(周囲の状況が良くわからないというような状態や妄想などです)にも関係する可能性があります。将来的にこのような様々な問題が生じる可能性があるということです。
このような場合には、薬物療法や一般的な精神療法のほかに、特殊な治療が必要とされることがあります。
「予防に勝る治療なし」をモットーに、健康教育の徹底で地域医療への貢献を目指す
湯の川女性クリニックは、〝予防に勝る治療なし〟をモットーに2005年に開院。
小葉松洋子院長は、「多くの病気は日常生活のちょっとした注意で避けたり、遅らせることが可能です」と、病気にならないための生活習慣の改善など予防医療に力を入れている。
各種がん検診をはじめ婦人科検診の啓蒙にも積極的で、徹底した健康管理に尽力している。診療では、患者の多い更年期障害に対してホルモン療法のほか漢方薬を使った治療も実施。骨粗しょう症の検査・治療や、女性医師のため思春期の患者も多く、好評だ。
妊婦検診は早期のみ対応し、出産が近づいた患者は、希望を優先して各医療機関に紹介している。また開院当初より禁煙外来を開設(男性も可)しているのも特徴のひとつ。
「喫煙は健康と美容の両面で女性に不利益をもたらします。特に妊娠中は禁煙補助薬が使えないため、将来的に出産を考えているならば早めの受診が大切です」(小葉松院長)。さらに小葉松院長は、子どものための健康教育にも熱心で、性教育を主体に禁煙教育など小中学校での講演をはじめ、PTAなど大人向けの啓蒙活動など、毎年30回前後実施している。
「時に厳しくお話しすることもありますが、スタッフ一同、皆様が病気にならない生活を送れるよう願っています」と院長は話されていました。
最小侵襲手術という言葉を聞きます。どのような手術でしょうか?
手術のダメージ(侵襲)を最小にして
早期の回復・退院が可能となる術式です
最小侵襲手術(MIS)とは、切開(傷)を最小にし、かつ疼痛管理、早期リハビリを行うことで、手術に伴う身体機能の低下を最小限にするための治療方法です。
消化器外科での腹腔鏡手術や呼吸器外科の胸腔鏡手術などがあり、整形外科領域では変形性膝関節症に対する人工関節置換術などが代表的です。 外科手術では傷のない部分にメスをいれ、病巣を展開して処置を行います。
人工膝関節置換術では、同様に前方部分の皮膚を切開して関節を展開して、骨を削るなどの処置を行います。
それによって身体は手術のダメージ(侵襲)を受けます。これは手術のマイナス部分です。 一方、その手術によって得られた効果(人工膝関節置換術においては日常生活での痛みの軽快)は手術のプラス部分です。
このプラス部分がマイナス部分を上回った場合に人工膝関節置換術を受けてよかったと思えるのです。 人工関節を行うことで、痛みを取り除く(または大きくやわらげる)ことが期待されます。
しかし、人工関節を行うためには、関節を切開する必要があります。
従来は20センチ程度の切開が必要であり、術後はこの回復のために平均4〜6週の入院期間が必要でした。
また術後安静にともない筋力や体力が低下することも大きな問題でした。 MISは人工膝関節置換術のマイナス部分を減らすことによって(差し引きでプラス部分を大きく残すことによって)、患者さんの満足度を上げることを目的とするものなのです。
MISは人工膝関節置換術の術後の痛みを軽くすることにより、リハビリが円滑に進み、より早い回復が得られることが期待されます。
しかし、MISで注意しなければならないことは、「人工膝関節置換術においては皮膚切開の大きさだけが大事ではない」ということです。
皮膚の切開が小さくても術前の計画(設計図)通りの正確な手術がなされなければ意味がありません。 皮膚の切開、関節の展開が小さいと正確な角度で骨を削ることや温存すべき軟部組織(靭帯や関節包など)に対する適切な処置が困難となります。
人工関節置換術において最も重要なことは正確な角度で骨を削ること、残すべき軟部組織に対する適切な処置であると考えています。
当院では、切開創は大きくとも10センチほどで、2〜3週で退院できるよう努めています。
人工膝関節置換術は内科的に重度の合併症があったり、ご高齢でリスクが高いと判断された場合は手術ができない場合があります。
年齢的にはお元気であれば85歳くらいまでは可能です。
片頭痛の新薬
最近、片頭痛の新しい治療薬がいくつか登場しました。片頭痛の治療薬には、頭痛発作時の頓服と発作の予防薬の2種類がありますが、その両方に新薬が登場しています。
頭痛発作時には、トリプタンというグループの薬が標準的に使われていますが、この薬は使うタイミングが難しく、痛み始めに使うのが良いと言われています。
昔の薬に比べ、よく効きますが、タイミングが悪いと、痛みは止まらず、「この薬は効かない」と判断されたりします。また、使い過ぎると薬のせいで頭痛が強く、しつこくなることもあります(薬物乱用による頭痛は、この薬に限ったことではありません)。
これらの問題に対して、発作時の薬としては、ジタン系薬剤という新しいタイプの薬が登場しました。これは服用するタイミングを選ばないという特徴があり、トリプタン製剤がうまく使えなかった、あるいは効果がなかったという人にお勧めです。
頭痛発作が頻回で長期間続いている人には、予防薬が適用されます。これにも何種類かありましたが、この領域でも新しい薬が出ました。
片頭痛のメカニズムは完全には解明されていませんが、痛みを引き起こしている物質の一つと思われるものをブロックする薬ができました。これは注射薬で、3製品販売されています。月に1回、あるいは3カ月に1回、皮下注射します。慣れれば、自己注射も可能ですので、受診回数も減らせます。
ただし、完全に片頭痛の発作を押さえられるとは限らず、内服薬を減らすことはできても、完全に縁を切るのは難しいことです。また、非常に高価であるという欠点もあります。
どんな薬にも長所や短所がありますが、選択肢が増えることは喜ばしいことです。片頭痛に悩んでおられる方は医療機関でご相談ください。
目元を清潔に若々しく!
マスクをするようになって、アイメイクに力を入れるようになった方は多いかもしれません。しかし、目元は、大変デリケートな部分なので行き過ぎたアイメイクやお手入れは禁物です。
①目の下の皮膚は、厚さ0.5㍉位と極めて薄く、ゆで卵の薄皮程度しかないのでくまができやすいです。睡眠不足・日焼け・クレンジングによる摩擦・マッサージや加齢によるたるみなどがくまの原因となります。
もしくまができると、見た目年齢が上がってしまいます。加齢によるたるみは仕方ないとしても、若い頃から濃いメイクを落とすために、クレンジングでこすったり、目の周りをマッサージするのは、どんどんくまを作る行為です。
できてしまったくまは、市販化粧品よりは有効成分の濃度がずっと濃い医療機関専売の薬用化粧品などでたるみや色素沈着が目立たなくなる場合もあります。
②まつげにのりで付けるエクステは、洗うと取れるので、まつげを洗わなくなり、とても不衛生です。また、濃いアイメイクやマスカラをきれいに洗えていない方もとても多いです。こういう方の目元には「まつげダニ」が、発生することもあり、眼科の診察で見つけることができます。
アイシャドーやマスカラは、使い捨てではなく、長期間使うので雑菌が繁殖しやすく、目元の炎症(マイボーム腺炎・麦粒腫)を引き起こす場合があります。眼科を受診し、アイシャンプーなどで清潔に保つ方法を指導してもらいましょう。
《美しい目元になるために》アイメイクは控える→目の周りの皮膚をきれいに保つ→エクステや濃いマスカラはやめて、自分のまつげが艶やかに健康的に生えるようにする→泡洗顔だけで清潔にする→摩擦が減り、目元の皮膚のたるみ・色素沈着が防げる→近くで見られても人工的ではない自然で清潔感がある目元こそが若々しさの秘訣です。
私、大動脈瘤(りゅう)が心配で…
「先生、何となく胸と背中が痛いような気がするので、私も大動脈の検査を受けなくてもいいでしょうか?」とAさんは心配そうに聞いてきました。どうやら最近のニュースで有名人が解離性大動脈瘤のため緊急入院し、とても危険な病気であると報道されたので、自分は大丈夫かと不安になったとのことでした。
解離性大動脈瘤とは正しくは大動脈解離といい、大動脈の血管壁が二層に裂ける(=解離する)ことで起こります。喫煙歴のある高齢者、低蛋(たん)白血症の状態、寒い冬場や朝の血圧が高い時間帯などに起こりやすく、急性期には激烈な痛みが胸、背中、腹などに出現し、その痛みは解離の進行とともに移動する事がしばしばあります。
その他に胸部や腹部の大動脈壁がふくらんでこぶのようになる胸部大動脈瘤、腹部大動脈瘤という病気もあります。高齢者や高血圧の方、また腹部大動脈瘤では喫煙歴のある方に起こりやすく、無症状のまま慢性に経過した場合は発見が遅れる事もあります。
これらの病気の診断にはCTやMRIや超音波検査などが行われます。
治療法は解離や瘤のある場所、その大きさ、進行の速度、痛みの有無などによって、手術(人工血管置換術)か内科的治療(降圧、安静、鎮痛)かが選択されます。また近年はステントグラフトによる治療も選択肢の一つとなり、手術より身体に負担の少ない治療法として期待されています。
大動脈の解離や瘤は、一部には遺伝により発症するものもありますが、多くは動脈硬化が原因であり、生活の欧米化や高齢化社会の到来により近年は増加の一途にあります。しかし突然の解離や瘤の破裂による致死率は高いものの、その発生件数は心筋梗塞などと比較すると多くはありません。Aさんのように必要以上に心配するのではなく、それよりもまずは毎日の動脈硬化予防、とりわけ高血圧やスモーカーである方は食事の塩分を減らすことと禁煙に努めていくことこそが大切です。
歯列矯正を行うタイミング
歯列矯正を行うタイミングは、乳歯と永久歯が混在している時期(1期治療)と永久歯が生えそろってからの時期(2期治療)に大きく分けられます。
症状が軽度であれば、1期治療で済みますし、症状が重ければ1期・2期とも治療が必要となります。
しかし、乳歯列期でも治療を開始できる場合や永久歯列が完成してから一気に行った方が良い場合など、治療開始のタイミングは症状によって様々です。
お子さんでも、大人でも治療の時期を逃すと問題をこじらせてしまうことがありますので、歯並び・かみ合わせが気になるようでしたら、お早めに矯正歯科医にご相談ください。
理想的には小学校低学年頃までに一度みてもらうのがベストです。
気づかない問題が隠れていることもあり、それに対する早期の対応や心構えができるなどメリットは大きいです。
粉瘤(ふんりゅう)とはどんな病気ですか?すぐに治すことができますか?
放っておくとだんだん大きくなるおできの一種です。
小さなうちに切除することをお勧めします
粉瘤とは、皮膚表面にできる腫瘤(しゅりゅう・おでき)の一つで、アテローマともいわれます。
半球状に少し皮膚から隆起して盛り上がり、触るとコリコリしているものです。体中どこにでもできますが、多いのは背中と顔(特にあご、首、耳の周り)、頭にできます。
お尻や足の付け根、手足などにできることもあります。
「脂肪の固まり」などといわれ、これ自体は痛みはないのですが、ばい菌などに感染を起こして膿がたまってくると痛みが出て、赤く腫れてきます。
こうなってから外来を訪れる患者さんがほとんどです。
皮膚の下に袋ができて、中にお粥のようなアカや皮脂が詰まっています。
皮膚の下に硬い塊として触れ、強く押されたりして表面が破れると、悪臭のある白い物質が出ることもあります。 また、腫瘤の表面上に点状にへそのようなくぼみがみられることもあります。
良性の皮膚腫瘍で初めは、ほんの5くらいで小さいのですが、何年かそのまま放置しているとだんだん大きくなってきます。大きいものは野球のボールくらいになることもあります。 治療法は、化膿していないものは手術で切除することです。
注射や軟膏では治療できません。
まず、局所麻酔をして袋をすべて切除します。
その後、ていねいに縫合して終了します。
手術時間は10分ほどです。
場所によって違いますが、1週間ほどで抜糸できます。
1〜2日すればシャワーや入浴も可能です。 化膿している場合は、まず皮膚切開して膿を出してしまいます。
しばらく消毒して、炎症がなくなった時点で袋を切除する手術をします。
袋を取らないとまた再発してくるからです。
傷跡は3カ月くらいは赤く硬くなっていますが、徐々に白くやわらかくなって目立たなくなります。
手術して皮膚を傷つける以上、必ず傷跡は残ります。
そして、できるだけ目立たない傷跡にすることが、われわれ形成外科の仕事です。
そのために、ていねいに縫合したり、シワに沿った傷にします。 また、外傷性のアテローマというものもあります。
これは、ケガの跡にできる粉瘤で、手のひらや足の裏、膝などにみられ、痛みをともなうことがあります。
これもやはり治療法は切って取るしかありません。 粉瘤は形成外科でよくみられる皮膚の良性腫瘍です。
化膿してから来院される方が多いのですが、小さいうちに、そして化膿しないうちに切除してしまうほうが早く良くなりますし、傷も小さくて目立たない傷になります。









