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新型インフルエンザ

小児科2009/10/26

 現在、函館市内近郊では新型インフルエンザが流行しています。
学級閉鎖や学校閉鎖、幼稚園閉鎖など、子供が学校や幼稚園、保育園に行くことを前提にして生活をしている多くの大人にも、さまざまなストレスを与えていると思います。

 これまで多くの新型インフルエンザにかかった子供達をみていると、ほとんどは季節性のインフルエンザの症状と強さも期間も変わらない印象です。
ただ、中には嘔吐(おうと)が強く出るなど、消化器症状が強く出るお子さんがいて、他のお子さんに移さないようにして治療をするのは非常に困難です。

 多くの医療機関ではインフルエンザを検査するキットが不足しています。
「インフルエンザにかかった人」と、「インフルエンザでないことを確認するために検査を強く希望した人」が一時的に増え、キットが大量に消費されたためです。
それに輪をかけているのが、「検査をしてきてください」という学校、園関係者の一言です。
インフルエンザかどうかははもともと患者さんの状態と地域の流行状態で判断するものであって、検査キットはそれを補うものでしかありません。
検査で陰性で「インフルエンザである」と判断することは実はとても重要で、これまでに検査が陰性でも重症化して死亡や後遺症が残る状態になることが多く報告されています。
状況によっては検査をせずに治療を開始することが子供にとって最良の選択であるということもしばしばです。
「検査キットで陽性でないからインフルエンザでない」などと誤解されてしまうと、治療のためでなく、検査を受けるために受診、その結果で一喜一憂するという間違った行動パターンが形成されることになってしまいます。
この点についてはぜひ御理解ください。

 新型インフルエンザに対するワクチンは十一月から基礎疾患(子供の場合はほとんどが喘息)のある人から優先して始まる予定です。
十二月からは一歳から小学校低学年のお子さんへの接種が始まる予定ですが、細目はまだ完全に決まっていません。
現在、季節性インフルエンザワクチン接種の最中だと思いますが、二回目の接種の直前にでも、かかりつけ医療機関にお問い合わせください。


Text by かみいそこどもクリニック 渋谷 好孝( 2009年10月26日 「北海道新聞夕刊」掲載)

中学一年生・高校三年生のMR(麻疹・風しん)ワクチンを忘れずに

小児科2009/04/24

 ここ数年、大学生を中心にして麻疹が流行しています。新聞などでずいぶん報道されましたから、皆さんも記憶に残っていると思います。

 麻疹は昔から「命定め」と言われるように、子どもたちが罹(かか)ると命と引きかえになるほど、恐い感染症として知られていました。
昭和53年から麻疹ワクチンが始まったことにより、日本人には、あまりみない病気、命に関わったことなどは忘れられた病気になりました。
一般の人にはあまり関心を持たれない感染症ですが、欧米ではSARSや新型インフルエンザと同等かより以上の警戒感を持って対策に労力を費やしている病気です。

 2006年に小児科医にとって念願の麻疹ワクチンの2回接種が、風しんを合わせての接種として始まりました。
さらに、日本から麻疹そのものをなくすことを目標に昨年から中学1年生、高校3年生に対する5年間限定のMRワクチンの無料接種が始まりました。
麻疹が流行して一番困るのは本人に脳炎が起こって麻痺が残ったり、植物状態になったりすることですが、麻疹ワクチンを打つことができない1歳未満のお子さんが流行のために麻疹に罹ると、数年から数十年後に同じように脳炎の症状が出て、重い障碍(しょうがい)を残すことが知られています。
自分自身が麻疹にかからないことも重要ですが、多くの子どもたちがワクチンを接種することによって、流行そのものを起こさないようにすることが最も重要なことです。
そのためには、接種可能な子どもたちの95%以上が、麻疹に対する抵抗力をワクチンなどにより確保していなければなりません。
ここ数年、函館地区では麻疹の流行がほとんどありませんので、ワクチンをしない限り抵抗力を確保することはできません。

 今年、大学生になった多くの人たちは、大学側から、麻疹ワクチンの2回接種の証明や抵抗力がどれくらいあるかの数値を採血して提出するように求められています。
各市町村から連絡が来ていることと思いますので、できるだけ夏休み前までにワクチンを済ませていただくようお願いいたします。


Text by かみいそこどもクリニック 渋谷 好孝(  「」掲載)

インフルエンザ菌b型による髄膜炎を予防するワクチンが始まります

小児科2008/10/22

 皆さん、細菌性髄膜炎(さいきんせいずいまくえん)という病気をご存知ですか?

 これは何らかの原因で細菌が脳を覆っている髄膜という部分に感染して起こる病気で、発熱や頭痛、嘔吐、乳児の場合は不機嫌などの症状や状態の後、進行すると痙攣や意識がなくなるという強い症状をあらわします。
その多くは6カ月から1歳くらいまでのお子さんで、細菌性髄膜炎に罹った5%は亡くなり、20%に麻痺や知能障害などの後遺症が残るといわれています。
日本では年間におよそ600人のお子さんがこの病気に罹り、苦しんでいるものと推測されています。

 細菌性髄膜炎の原因で多いのはインフルエンザ菌b型、肺炎球菌、髄膜炎菌などで、現在世界中で使われているインフルエンザ菌b型に対するワクチンが日本でもようやく12月から使用できるようになります(あくまでも現段階では予定です)。

 インフルエンザ菌は皆さんがよく知っているインフルエンザワクチンでは防げません。
紛らわしい名前ですが、インフルエンザワクチンで防げるのはインフルエンザ・ウイルスによる症状で、インフルエンザ菌b型(細菌ですのでウイルスとは違います)には、専用のワクチンが必要なのです。間違えのないように関係者はHib(ヒブ)ワクチンと呼んでいます。

 このワクチンは、生後3カ月から使い始める事ができるワクチンで、3種混合ワクチンと同じ日に行うことが可能です。
6カ月までに始める事ができたお子さんは初回4週間毎に3回と、概ね1年後に1回の計4回。
7カ月以降、1歳までに始める場合は初回2回と概ね1年後に1回。
1歳以降に始める場合は1回接種することになっており、5歳までが対象とされています。
ワクチンに伴う大きな副作用はありません。

 このワクチンはまだ任意接種で行うワクチンとされておりますので、接種料金などは実施する各医療機関にお問い合わせください。
お金のかかるワクチンですが、ぜひ将来のあるあなたの大切なお子さんのために積極的にワクチンを接種してください。


Text by かみいそこどもクリニック 渋谷 好孝(  「」掲載)

乳幼児の下痢~水分と食事の与え方~

小児科2008/08/13

 乳幼児は、さまざまな理由で下痢をします。基本的には、便がゆるくても、吐き気がなく元気で食欲があれば、食事を制限する必要はありません。吐き気が強く、嘔吐(おうと)を繰り返すときには、数時間、口に何も入れずにお腹を休ませますが、小児は脱水になりやすいので、点滴などの治療が必要になることがあります。

 吐き気が軽くなってきましたら、乳幼児用イオン飲料や医師から処方された経口(けいこう)補液剤を、少量ずつ頻回に与え、徐々に量を増やしてください。このとき、大人用のスポーツ飲料は、電解質と糖分の組成が違いますので、乳幼児の下痢のときには不向きなことがあり、注意が必要です。吐き気がなくなりましたら、ミルクや母乳、消化の良い食べ物を少しずつ開始します。

 乳児の場合、母乳はそのまま飲ませてあげてください。母乳は消化吸収に優れていますし、感染を防ぐ物質や下痢を治すための物質がたっぷりと含まれています。人工乳(ミルク)の場合は、下痢が軽いときには通常の濃度で、下痢が強いときには二分の一~三分の二程度に薄めたミルクから開始します。下痢が続くときには、特殊なミルクが必要な事もありますので、医師に相談してください。授乳の合間には、乳幼児用イオン飲料などで、不足している水分量を補いましょう。離乳食は、吐き気が無くなり水分が取れるようになってから再開します。下痢が軽いときは、一段階前の離乳食から開始し、下痢が強いときは、初期から再開します。便の様子を見ながら、あせらずにもとの段階にもどしていきます。

 幼児の場合は、水分が飲めるようになった段階で、重湯(おもゆ)、野菜スープ、みそ汁などを経て、お粥、柔らかくゆでたうどんや野菜(にんじん、かぼちゃ、じゃがいもなど)、豆腐、白身魚、鶏のささみなどを与えていきます。

 いずれの場合も、原因や重症度で対応が異なることもありますので、医師の診察とアドバイスは必ず受けましょう。


Text by 望ヶ丘医院 藤崎 志保子(  「」掲載)

麻疹(はしか)の排除のために中学、高校のMR(麻疹・風しん混合)ワクチン接種がはじまります

小児科2008/08/13

 昨年の春、札幌・東京などを含め、大学生が集まるところで麻疹の流行がみられたのは記憶に新しいところです。
2007年9月、WHO(世界保健機関)と日本政府は麻疹排除に向けて、行動を起こすことを宣言しました。
麻疹の排除とは、1年間に麻疹と確実に診断される人が人口100万人あたり1人未満であり、各地の麻疹を含むワクチンの2回の予防接種率が95%以上であることなどで定義されます。

 2年前から、1歳での接種に加え、小学校入学前の幼児全員に対するMRワクチンの接種が始まりました。
対象となった皆さんは、行政の広報に従い、接種されたことと思いますが、それ以上の学年の児童に対しては今年から5年間の経過措置として、中学一年生と高校三年生でMRワクチンを接種することになりました。
過去に、麻疹と診断された、あるいは風しんと診断されたにかかわらず、MRワクチンを使って100%のこどもに免疫を与えるというのがこの5年間の経過措置の特徴です。

 日本でも数年前に沖縄で大きな流行があり、2000名のこどもが発症し、8名の尊い命が奪われました。
海外では最近、中国の新疆(しんきょう)ウイグル自治区で麻疹の流行があり、1万1千人のこどもが麻疹にかかり、21人が亡くなりました。
毎年冬になると流行するインフルエンザでもこれだけの高率で人が亡くなることはありません。
麻疹は今でも人の命を奪う病気であることは間違いのないことです。
今年も神奈川県、東京都、札幌市などで麻疹の流行がみられます。
流行の主体は、10~19歳のこどもです。
ワクチンをすることにより95%以上はウイルスが仮に体に入ったとしても発症することから免れることができます。
5月から函館市では、中学生は学校での集団接種、高校生は保健所での集団接種となります。
北斗市では、北斗市内の医療機関で個別接種により行われます。
夏休み前までに接種が終わるよう、時間を調整してください。

 なお接種にあたり、保護者の署名があれば、保護者の同伴は必要ないとされています。

 詳しくは各市町村にお問い合わせください。


Text by かみいそこどもクリニック 渋谷 好孝(  「」掲載)

早寝早起き朝ごはん テレビ・ビデオ・ゲームを止めて外遊び

小児科2008/08/13

 コンビニエンスストアの普及やゲームセンターの深夜営業に影響されて、乳幼児でも夜遅くに大人に付き合わされてこのような場所で見かけるようになりました。大人が子どもの生活と大人の生活がしっかり違うのだという理解が足りないためか、子どもの生活を乱しています。こんな状況を危惧して、平成十八年度から文部科学省が中心となって「早寝早起き朝ごはん」運動が始まりました。

 家庭内でも、勉強ばかりではなく、ゲームをしたりテレビを見たりのために、睡眠時間を削って生活している児童生徒は少なくありません。朝の時間が少ない、あるいは親が朝ごはんを食べないので子どもにも食べさせないという親も増えてきているようです。

 人間の体は何もしなければ二十五時間のサイクルで動きます。朝に早く起きて、しっかりと朝日を浴びると体内時計がリセットされて「さぁこれから活動しよう」という体になります。この状態で朝ごはんをしっかり食べると、脳の活動に必要なブドウ糖が供給され、学校で習うことがしっかりと頭に入るようになります。学校から帰ってきてゲームを止めて外でしっかり遊ぶことで体が作られます。時間を工夫して夕ご飯を食べて夜九時までに寝るようにすると、成長ホルモンがしっかり出て背が伸び、体の余計な脂肪を消費して筋肉に変える準備をします。

 このように生活リズムをしっかりして、学校生活を送るようになると塾に行くなどをしなくても学力が上昇することが多くの小中学校で証明されています。子どもの持っている力は無限ですが、大人の都合で子どもの本来の姿、「早寝早起き朝ごはん」を邪魔すると、せっかくの力を無駄に消費してしまいます。

 最近、青年の殺人事件が新聞を賑わせています。その子どもたちに共通する事柄はゲームにはまっていたり、テレビやビデオが持つバーチャルな世界と現実との区別がうまくついていない事とも言われています。子どもたちの間にあるコミュニケーション力の問題もこういったことが一因になっているとも考えられています。子どもたちの未来のために、早寝早起き朝ごはんとノーテレビをぜひ実践してください。


Text by かみいそこどもクリニック 渋谷 好孝(  「」掲載)

三種混合ワクチン同士の接種間隔に注意

小児科2008/08/13

 厚生労働省は昨年「三種混合(ジフテリア・百日せき・破傷風)ワクチン同士の接種間隔が八週を超えるものは定期接種として法の認めた接種ではないので任意接種扱いにしなさい、今年の四月からは厳密に運用する」と、小児科医とこどもたちには悩ましい通達を出しました。

 三種混合ワクチンによって免疫が与えられる百日せきという病気は、このワクチンがしっかり打たれることで、ほとんどみられない病気となりました。しかし、過去には三種混合ワクチンが副作用のために一時的に中止に至ったために、百日せきがこどもの命をたくさん奪うということがありました。それは昭和49年のことです。

 昔の三種混合ワクチンは副作用が強く、それが社会問題化してしまいました。5年後には百日せきが全国でみられることになり、1年間で1万5千人のこどもが百日せきに罹患(りかん)し、41名の尊い命がワクチンができないがために奪われてしまいました。

 ワクチンは国が法律で定め、地方自治体が実施主体となり行われます。この通達に関して、全国でも対応が分かれており、国の通達に従って三種混合同士の接種間隔が八週を超えるものを一律に任意接種扱いとし、任意接種に対しては自費を徴収するところ、任意接種とはなるものの、自治体が接種料金を負担し、公費接種と同じ状態を保とうとするところがあります。皆さんが住んでいる市や町はどうですか?

 この問題を回避する一番の方法は、三種混合ワクチンの接種を3ヵ月になったらすぐに始め、一期初回の3回が終わるまで他のワクチンをしないで三種混合をやり終えることです。

 ポリオワクチンは3月から6月にかけて行われることが多いですが、日本では昭和55年を最後にポリオの発生はありませんので、このワクチンを急いでする必要があるのはインド周辺にこどもを連れて行かなければならない方に限られます。BCGは接種が6ヵ月までとなっていますので、いつも診ている先生と相談して行うようにしてください。


Text by かみいそこどもクリニック 渋谷 好孝(  「」掲載)

小学校入学前にもMR(麻しん・風疹混合)ワクチンを打ちましょう

小児科2008/08/13

 今年は、予防接種のやり方に大きな変化がありました。それは、小学校入学前の一年間(年長さんの時)に、MR(麻しん・風疹混合)ワクチンをするようになったことです。今年の四月にこれまで一歳から七歳半までが対象だった麻しんと風疹のワクチンが、一歳から二歳までのMRワクチンに変更になりました。

 この時に、年長さんの時にもう一回MRワクチンを打つことが定められたのですが、四月の時点では一歳から二歳の間にMRワクチンを打った人だけが対象と、打つ子供の制限がありました。全国の小児科医はこの変更に猛反対をし、六月に急きょ、これまで麻しんワクチンや風疹ワクチンを単独で受けたお子さんにも対象を広げることが決まりました。

 最近、麻しんや風疹の流行はほとんどなくなりました。しかし、流行がほとんどなくなったために、ワクチンを一回打ったら一生大丈夫ではなくなりました。ワクチンを受けた子供が何年か経って抵抗力が落ち、麻しんの流行にさらされる危険性が増しています。このため、もう一回ワクチンを打って抵抗力をつけなければなりません。

 麻しんは今でもインフルエンザ以上に子供の命を奪う恐ろしい感染症です。

 また、風疹の流行があると、生まれてくる赤ちゃんに心臓や目、耳の病気をもたらすことが知られています。

 これらの流行をなくするためには、ひとりひとりが自分を守るためと、まだ見ぬ命を守るためにワクチンをしていかなければなりません。

 行政は広報に努めましたが、年長さんの接種率はまだまだ低いようです。

 来年の就学前までに忘れずにワクチンを受けるようにしてください。たとえば北斗市や七飯町ではワクチンの接種券が郵送されています。函館市のお子さんは各医療機関に接種券がありますので、それを利用すればワクチンは無料です。

 役場に問い合わせてみてはいかがでしょうか。

 あなたの大切なお子さんをぜひこのワクチンで守ってあげてください。


Text by かみいそこどもクリニック 渋谷 好孝(  「」掲載)

乳幼児健康支援一時預り事業(病後児保育)

小児科2008/08/13

 皆さんは子どもの病気が少し回復して保育園や幼稚園に出すのには忍びないが、勤務先からは出勤を要請された、あるいは子どもの病気のために休みが続いて解雇の心配がある、などのときにはどのようにされていますか?

 一時保育やファミリーサポートはずいぶんと普及しましたが、病児あるいは病後児を原則受け入れてはくれません。

 国はこのような状況のお子さんに対して、都道府県、市町村に働きかけ乳幼児健康支援一時預かり事業を行うように要請しています。厚生労働省の定義によれば、この事業は病気回復期にあり、医療機関による入院治療の必要はないが、安静の確保に配慮する必要がある集団保育が困難な保育所に通所している児童で、かつ、保護者の勤務の都合、傷病、事故、出産、冠婚葬祭など社会的に止むを得ない事由により家庭で育児を行うことが困難な児童が対象になり、病院や診療所が行う場合には病後児の他に病児も含めても差し支えないこと、保育園児以外でも対象にしてよいことなどを謳(うた)っています。

 北海道では札幌に三ヶ所、函館市、旭川市にそれぞれ一ヶ所、病院の事業として設置されているほか、全部で九ヶ所でこの事業がすすめられています。北海道以外の都府県では地域の小児科の診療所が子育て支援の一環としてこの事業に取り組んでいるようです。

 子どもを預けて仕事を始めても、保育園児など集団生活を余儀なくされているお子さんは、病気にかかって熱を出したり、嘔吐(おうと)をしたりということを止めることが出来ません。老人介護が介護保険の導入により、個人が対応するものから社会が対応することに変わったように、病気になってしまった子どもも親がみるべきものから、地域社会が一体となって支えていくものに変わっていかなければならないのでしょう。


Text by かみいそこどもクリニック 渋谷 好孝(  「」掲載)

ワクチンを受けましょう

小児科2008/08/13

 こども達は病気と闘うにはとても弱い立場にあります。生後6カ月、お母さんからたっぷりもらった免疫がなくなるころから、ウイルスや細菌に曝(さら)される度に自分の力で一つ一つを克服して大きくなっていきます。多くは自分の力で克服できますが、あるときには病院にいってウイルスや細菌を退治してくれる薬を飲んで克服することもあるでしょう。病気にならないで済むのであれば、それにこしたことはありません。そのために行うのがワクチン投与です。

 ポリオはワクチンの普及によって全世界でほぼ制圧できつつあります。 BCGは結核の中でも重症な髄膜炎(ずいまくえん)や骨髄炎(こつずいえん)には大変有効です。

 百日咳(ひゃくにちせき)はこどもでは脳症を起こすなどその合併症はあまり知られていませんが、一歩間違えると死に至る病です。ジフテリアや破傷風(はしょうふう)はワクチン投与を行わなければ自然に免疫を得ることはできません。

 麻疹(はしか)はアメリカやヨーロッパではほぼ制圧できている病気ですが、日本やアジアでは散発的に発生しています。最近は、お誕生日に麻疹ワクチンをというキャンペーンでずいぶんと発生数が減り、今年はおそらく100以下の発生になるものと思われますが、百日咳と同様にこどもにとって罹(かか)ってしまうことが危険な感染症であるのは変わりません。 風疹は流行すると赤ちゃんに先天性風疹症候群という重い障碍(しょうがい)が出ることがあります。男の子もワクチン投与を受けるようになり、その発生は劇的に減りました。みずぼうそうは予防すると将来の帯状疱疹の発生が減るのではないかと期待されています。

 おたふくかぜは合併症に不治の難聴があり、ワクチンでぜひ予防したいものです。

 10月から11月はインフルエンザのワクチンを受けなければと思う保護者の方が多いと思いますが、この機会を利用して母子手帳を確認して受けていないワクチンがありましたら、ぜひ受けるようにしてください。任意のワクチンはお金がかかりますが、失った有給休暇と賃金よりははるかに安いものです。


Text by かみいそこどもクリニック 渋谷 好孝(  「」掲載)

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