「実際にあった不整脈の時の胸の内」
これはドキュメンタリーです。同じようなことが起こったら、貴方も同じ病気かもしれません。
土曜日の朝、咳払いをした途端に、不整脈になった。「どくっ、ドクドクドク」って、不規則に心臓が打つのがわかった。急に咳き込んでしまう。左心室から左房に向かって、血液が逆流したようだ。収まることを期待して、つかの間、安静にしているが、今回はダメだ。尿意がしてきて、トイレで排尿した。心房性ナトリウム利尿ペプチドが、一気に心臓から血液中に放出される結果だ。発作が15分程度では止まってくれないので、仕事に行くことにする。朝に起こる心房細動だから、安静にしていた方が止まりやすいと思うが、そうもいかない。
仕事中は、ぼやーっとして、集中力がない。心排出量が15%低下して、脳血流が減少しているのを感じる。倦怠感もあるが、なんとか昼まで働いた。心電図では、136拍/分の頻脈性心房細動になっていた。昼食は動悸をこらえながら、普通に食べた。不整脈が止まるように抗不整脈薬、それと脳梗塞予防のための抗凝固薬を飲む。心房細動で怖いのは、左房の中でできた血栓が脳の血管を詰まらせておこる脳梗塞と、心臓の働きが十分でなくなる心不全の2種類の合併症だ。
夕食まで安静にしていた。静かにしていると動悸は収まるが、階段を上るときに、また、ドキドキする。くそっ、食事をしようにも、体がこわくてテーブルに覆いかぶさるようになる。息は上がり、ボタボタ汗が出る。冷や汗か!こんなことが30時間続き、あきらめて浴び始めたシャワー中に動悸が止まった。
しめしめと思い、ゴルフの打ちっぱなしに出かける。不整脈は止まったが、心臓はまだ疲れていたようだ。クラブを振り回そうとしたが、息が切れて、汗が吹き出す。心不全の症状が残っていた。クソッ。タウリン配合のドリンクを探したが、ここには売っていなかった。帰って安静にするしかないな。
新型コロナウイルス対策
道内外の移動解除となり、第2波、第3波も予想される中、新型コロナウイルス感染を不安に感じている方も多いと思います。
COPD(慢性閉塞性肺疾患)等の肺の病気、心臓病、糖尿病など基礎疾患のある方は、コロナウイルスに感染しやすいということはありませんが、重症化するリスクが高いと言われています。肺の病気であるCOPDは、喫煙により肺の細胞が壊れ、呼吸ができなくなる病気です。COPDの方がコロナウイルスに感染すると死亡率が3倍になるという報告もあります。肺の細胞の表面には、ACE2(アンジオテンシン変換酵素2)と呼ばれるたんぱく質があり、新型ウイルスは、このACE2に付着して細胞内に入り込むことが、最近わかってきました。タバコを吸うと、ACE2が肺の表面に増えるため、喫煙によりウイルスの侵入を助け、感染しやすくなる可能性があります。まだ機能している残された肺を大切にするためには、今からでも遅くはありません、禁煙しましょう。また、最近の研究では、新型コロナウイルス感染は、肺炎だけではなく心臓などの全身の血管にも炎症をおこすことがわかってきました。
新型コロナウイルスに感染するとウイルスにより血管が傷つき、それを直そうと血小板が傷ついた血管の壁に集まります。それは徐々に大きくなり血栓と呼ばれる塊を作り、血流が悪くなりいずれ血液の流れを止めてしまいます。それが心臓を取り巻いている栄養血管の冠動脈に起こると心筋梗塞となります。予防するためには、日常生活の中で、心臓への負担を減らすことが大切です。
バランスのいい食生活、規則正しい生活、十分な睡眠、適度な運動などです。自粛生活で運動不足の方も多いと思います。特に足の筋肉は、「第2の心臓」と呼ばれ、重力に反して抹消の血液を心臓に戻るのを助ける働きをします。足の筋肉を維持することは、心臓を守ることにもつながります。これからの時期、気分転換に3密を避け外を散歩することもお勧めですが、自宅でも朝晩つま先立ち運動や足のストレッチなどの軽い運動をするだけでも十分効果があります。私たちでさえ、今は不安とストレスを感じて生活しています。高齢であれば尚更でしょう。離れて暮らしているご家族に、いつもよりこまめに電話やテレビ電話をしてあげてください。自分ではわからない些細な変化を周囲の人が気が付いてあげることが大切ですし、なにより声を聴くだけでもきっととても喜んでいただけるでしょう。
体重、計っていますか?
コロナウイルス感染症により、外出自粛、そして気がついたら体重が・・・。 そう!俗にいう「コロナ太り」の方が外来でも増えています。スポーツジムも休業、かといって外出は何となく気が引けるし、テレビでは毎日コロナウイルスの恐い番組ばかり。気がつくと、テレビを見ながら何かを食べて・・・食生活での憂さ晴らしをしていませんか?
まずは現実を直視して、体重計に乗りましょう。1日2回がおすすめです。決まった時間・決まった状態(食後・寝る前など)で測定しましょう。これで少しでも体重が増えると、気になって食生活を見直すきっかけになります。そして、さらに太らないように考えることができます。体重は、計らなければ思ったより簡単に増えていきますよね。そこで、おやつについての8つの提案があります。
①3食の中でのバランスを考え、そのなかでおやつを食べましょう。カロリーの高いものを食べた日は、そのおやつ不要ですよね?
②食べる時間は、午前中からお昼過ぎまで!できるだけ活動する前の時間が理想です。
③おやつは、そのとき食べる分だけを出して食べましょう。大袋から食べると食べ過ぎます。
④1口で食べてしまわず、ゆっくりと味わって食べましょう。
⑤商品の成分表示を チェックしましょう。100g当たり何カロリー? 糖質量は?じゃあ、実際食べる分は、重さを量れば、自分の食べたカロリー、糖質量もわかりますよね。できるだけ、カロリー・糖質の少ないものにしましょう。見た目より高カロリーのおやつがいっぱいあります。
⑥お腹がすいているときに、おやつは買わない! お腹がすいていると、何でもおいしく見えて買い過ぎます。そしてもったいないからと理由をつけて全部食べる羽目になりますよね。
⑦おやつを何となくの習慣にしない!3時になったら必ずおやつにするなどはやめて~ご褒美にするとかルールを決めましょう。
⑧罪悪感にとらわれ、隠れて食べて、食べなかったことにするのではなく、ちゃんと楽しんでおやつを食べましょう。さあ、今日から体重計に乗りましょう!
気道過敏性とは…
喘息患者さんは、各々がアレルギーを引き起こす要因であるカビやハウスダスト、花粉以外の日常にあるさまざまな刺激にも敏感に反応し、咳や痰、喘鳴(ぜーぜー、ひゅーひゅーすること)などの症状を引き起こします。例えば、線香の煙や冷たく乾いた空気、塩素系の化学物質、急激な運動などが知られています。このような気管支の反応性を、気道過敏性と言います。重症な喘息患者さんほどより敏感になっていて、ちょっとした弱い刺激でも喘息発作を引き起こす事があります。「気管支が弱い」と言われるのはこうした理由からです。
気管支に炎症が起こり続けていると、より一層刺激に敏感になりますので、喘息治療においては「炎症を抑え続けること」が大切です。そのためには、症状が消失した後でも治ったと自己判断せずに、きちんと治療を続ける事が必要です。必ずしも「症状消失」イコール「炎症消失」ではないからです。気管支の炎症が治まったかどうかを、直接簡単に目で確認できればいいのですが、局所麻酔下に気管支内視鏡というカメラを使わなければ気管支の中を見る事ができず、咳や痰が出ている外来患者さんに気軽にできるものではありません。治ったと思って、薬をやめると気管支に残った炎症はいつまでたっても治まらず、くすぶった状態で留まります。これを繰り返すと、気道過敏性が増します。「以前はすぐに治ってたのに、今回はなかなか症状がよくならなくて…」と話されるのはこれが理由の一つのことがあります。
肺機能検査を行うことで現在の気管支の状態をある程度把握することはできますので、気になる方は肺機能検査をしてみるのも一つの方法ではないかと考えます。また、喫煙によっても気管支には多かれ少なかれ炎症が引き起こされます。少しでも症状を軽くし、長引かせないためにも減煙・禁煙を心がけましょう。
大丈夫ですか? 隠れ高血圧
50歳以上の日本人の「3人に1人は高血圧」といわれるこの時代。
実際には高血圧の診断を受け、降圧治療を行っている人は全体の57%にとどまり、また、治療を受けていてもそのおよそ半数は、高血圧の基準値の140/90mmHg未満にコントロールされていないとされています。
それを受け日本高血圧学会は、今年5年ぶりに高血圧の基準値を見直しました。75歳未満の成人は130/80mmHg未満を目標とするようにと10mmHg引き下げられました。日本高血圧学会によると、降圧目標を改定後の130/80mmHg未満に下げることにより脳卒中の発症リスクが22%、心筋梗塞や心不全といった心疾患の発症リスクが14%も下がることが明らかになったとしています。
まずは本来の自分の血圧を把握することが大切です。家庭血圧の測定は、朝と夜の2回測定します。朝は起床後1時間以内・朝食前・服薬前、夜は夕食前か就寝前がお勧めです。食事や飲酒、入浴後は通常の血圧よりも血圧が下がる傾向にあります。治療といっても、程度によっては、すぐに降圧剤の内服から開始するのではなく、生活習慣の改
善が重要です。運動療法は1日30分、週に4回程度のウオーキングがお勧めです。
食事療法は減塩が重要です。高血圧の方は、1日当たりの食塩摂取目標が6gです。WHO(世界保健機構)では、さらに厳しく1日5g未満に抑えることを推奨しているため、今後はさらに引き下げられる見込みです。現在、日本人の平均食塩摂取量は男性が11g、女性が9gといわれていますので、まだまだ頑張らなければいけません。
これから気温がますます下がり、忘年会新年会で外食も多く、また、運動不足にもなり高血圧には危険な時期です。
検診の時の血圧測定だけでは、隠れ高血圧は見つけられません。自宅で朝晩血圧測定し135/85mmHgを超えるようでしたら医療機関へ受診し適切なアドバイスを受けることが必要です。
糖尿病対策~寒い冬は鍋をたべて糖質オフ
寒い季節がやってきました。忘年会・クリスマス・お正月・新年会等々、1年間で一番太りやすい季節です。糖尿病の方にとっては、最も気を付けるべき試練の時期です。
こんなときのおすすめメニューは鍋です。鍋の具材を考えてみましょう。かっこ内は食材100グラムあたりのおおまかな糖質量です。
シイタケ(1.4)、白菜(2)、ネギ(5)、豆腐(2)、鶏肉(ほぼ0)、魚(マダラなら0.1)など、どれをとっても糖質が少なく、血糖値が上がりにくい食材です。野菜から、ゆっくりよくかんで食べましょう。特に最初の何口かでかまいませんので、1口20回かむことをおすすめします。これにより少し空腹感も紛れ、早食いの悪癖も改善します。ごま油や肉の脂身をできるだけ避けるとカロリーも低めに抑えられます。
鍋の問題は締めのご飯や麺です。ここで一工夫。残った鍋のスープに油が浮いている場合は少し取り除きましょう。市販の鍋のスープは塩分が濃いのでスープを全部飲まないように気を付けてください。また、あまりぐつぐつ煮るとご飯に鍋の中の油分がしみこみ、カロリーが高めになるので、さっと一煮立ちで食べましょう。もずくやワカメなどの海草、お麩(ふ)、細かく切ったしらたきなどを加えることにより、少ないご飯の量でも我慢できると思います。
麺類で締めるなら、最近ではスーパーでも低糖質麺が販売されており、これらを使ってみるのも良いと思います。締めが終わって一息ついたら、食後のデザートです。果物は1日1単位が基本です。リンゴ・梨なら半分、柿なら中くらい1個、ミカン中くらい2個が1日量ですよ。最近は果物の糖度も高く、糖度の高い果物は、この目安よりも少なくしましょう。食べるときは、リンゴや梨は小さく切って、半分(1単位)を6切れにして食べた方が、少し食べた感じが増します。
そして何よりも重要なのは、起床後の体重測定。とにかく冬の間は、毎日体重測定を欠かさずに!
気が付いたら、1~2キロ増えていたなんてことのないように、この冬を乗り越えましょう!
便秘とは?
便秘でお悩みの方、多いのではないでしょうか? 便が毎日出ない、便が硬い、残便感がある、など来院される方の訴えは多岐にわたります。便秘とは、便を十分にかつ快適に出し切れない状態で、早めに対処することが大切です。
一方で、排便習慣には個人差が大きく、また先に述べたように受診する方の訴える「便秘」の意味する内容もさまざまです。医学的に少し難しくいいますと、「便秘」とは「本来体外に排出すべき糞便(ふんべん)を十分量かつ快適に排出できない状態」をいいます。つまり、何らかの理由で食べる量が少ない人はおなかの中に出すべき便が少ない状態であり、排便回数も少ないのが自然で、これは真の便秘ではありません。便秘患者は、全体的には若年層で男性よりも女性のほうが多い傾向が見られ、60代以降では男性女性とほぼ同じくらいの比率になります。
便秘の原因として大腸がんがあることも忘れてはいけません。40歳以上の方は自覚症状がなくても毎年大腸がん検診を受けることが重要で、便潜血陽性の場合は大腸内視鏡を必ず受け、発見されたポリープは切除してもらってください。一方、原因がはっきりしていない機能性便秘は、病院を受診し適切な治療を受けることで症状が改善する便秘です。
食事・生活・排便習慣の改善でも症状が十分改善しない場合は、下剤の量や種類を調整します。下剤は大きく分けると、非刺激性下剤と刺激性下剤があります。また、最近では新規薬剤も登場しました。副作用のため定期的な検査が望ましい内服薬や、乱用による便秘の悪化の可能性がある薬剤もあります。便性状も重要で、目標とする理想的な便はバナナ状の形です。
便秘の原因として大腸がんも念頭に置き、ぜひ一度、便秘と向き合い、適切な検査や治療を受けることをおすすめいたします。
インフルエンザあれこれ・・・
函館にもようやく涼しい秋の季節がやってまいりました。この時季になると、話題になるのが「インフルエンザ」です。そこで、今回はインフルエンザの予防接種について話したいと思います。「いつ頃予防接種をしたらいいのか」という質問を耳にします。成人では通常、1回の予防接種を行うと、接種後2週間を経過したあたりから血中の抗体の量が増え始め、4週後にその量は最大になります。そして、3~5カ月かけて少しずつ抗体量は減っていきます。つまり、10月に接種すると、11月には抗体の量が最大となり、その後、翌年の2~4月まで感染予防効果が期待できるというのが、理論上の話となります。早ければ、11月にインフルエンザの流行が始まりますので、10月中の接種が好ましいのではないでしょうか?
ここで、「そもそも抗体とは何か」を簡単に説明します。抗体とは、体内に侵入してきたウイルスにくっつき、ウイルス本来の「感染させる」という役割を失わせるものです。もともと、ウイルスが体内に侵入すると、免疫系が反応して抗体を作ります。しかし、抗体ができあがる前にウイルスに侵入されてしまう場合があります。これが予防接種をしておくことで、ウイルスが侵入する前から抗体を作り、ウイルスと戦う準備を前もってしておくことができます。なかには、抗体をすり抜けてウイルスが侵入し、「予防接種をしたのにインフルエンザにかかってしまった」という方もいらっしゃいます。
予防接種が実際に、どのくらい発症予防に有効かを調べることは一筋縄ではいきません。例えば、インフルエンザは毎年型が異なっていたり、二つの型が同時に流行することもあります。また、周りへの感染力もその地域の年齢層や人口密度によって大きな差が生じます。成人では1回のワクチン接種では50%しか予防できないという統計もあります。それでもやはり予防接種によりウイルスと戦う準備をしておくことはとても大切だと感じます。今年も早めの予防接種をお勧めします。予防接種につきまして、何かお聞きになりたいことがありましたら、内科医にご相談ください。
クモの巣状静脈瘤の治療
下肢静脈瘤(りゅう)は太い血管がボコボコ浮き出ているものばかりではありません。足首周囲、膝裏、ふくらはぎなどに赤紫の細い1㎜以下の血管が見えていることがあります。これがクモの巣状静脈瘤です。皮膚内の毛細血管が拡張したもので、静脈瘤の一種です。
欧米人では10代の若い頃から大腿部など広範囲に見られることもがありますが、日本人の多くは年齢が高くなるにつれて足首辺りから土踏まずにかけてたくさん出てきます。太い静脈瘤と違いむくみ、だるさ、痛みなどを起こすことはありませんが、まれに局所が火照ることがあります。
原因は体質や加齢に伴う変化と言われています。ただし注意しなければならないのは太い静脈瘤が隠れている場合です。むくみやだるさを伴う場合は診察を受けられるのが良いでしょう。
クモの巣状静脈瘤の治療は大きく2通りです。一つは硬化療法、もう一つはレーザー治療(自費)です。硬化療法では血管を固める薬を静脈瘤内に注入します。1㎜以下の血管ですから極めて細い注射針を使いますが、薬液に刺激性があり若干の痛みがあります。また皮膚の体質によっては薬液への反応で色素沈着を来すこともあります。
レーザー治療は皮膚の表面からレーザーを照射する方法で、施行中はゴムで弾かれるような痛みがあります。いずれの方法も目立ちにくくなるには半年程度かかります。
クモの巣状静脈瘤は自覚症状が出るものではなく、原則経過観察で構いません。ただし加齢が原因の一つであるため徐々に広がってくる可能性があります。そのため治療の目的は美容的な意味合い(見栄えの改善)が主となります。
まずは正しい診断と患者さんにあった治療の選択が重要です。赤紫の細い血管が目立ってきたら一度医療機関でご相談下さい。専門科は心臓血管外科です。
健康寿命を延ばしましょう
健康寿命とは「健康上の問題で日常生活が制限されることなく生活できる期間」です。「平均寿命」と「健康寿命」との差は日常生活に制限のある「不健康な期間」を意味します。厚労省の統計では、男性は約9年、女性は12.5年と発表されています。この年月が、自分で歩けなかったり、要介護だったり、寝たきりの状態だったりと自由な生活ができなくなる平均の期間です。
健康的な生活を送ることができなくなる原因は、主に脳卒中、認知症、高齢による衰弱、骨折です。転倒や骨折により身体活動が低下すると更に認知症、うつ病、肺炎など2次的な病気のリスクも上がります。骨密度は、男女共に加齢によって減少します。特に女性の場合は、20歳代に骨密度がピークを迎え、その後徐々に減少し40歳頃から加速します。また20~30歳代の女性でも過度なダイエットによる栄養不足や運動不足により、骨量が低下することもあります。年齢を重ねるにつれて骨量が低下することは避けられないため、若いうちから骨量のレベルを高くしておくことも重要です。特に女性の方は年に1回は骨密度を測定し、自分の骨の状態を把握しておきましょう。
骨を丈夫に保つには、カルシウムが必要だとよく言われます。カルシウムを多く含む食品は、牛乳、ヨーグルト、チーズなどの乳製品、イワシやちりめんじゃこなどの小魚類、納豆、ごま、小松菜などです。カルシウムの他にもビタミンDやビタミンKも一緒に摂取することでカルシウムの吸収を促します。ビタミンDを多く含む食品は、サケ、サンマ、サバ、マグロ、きのこ類です。ビタミンKは、納豆、緑黄色野菜に多く含まれています。ビタミンDは、食事から摂取する以外に、日光に当たることで、体内でも産生されます。
食事以外でも、骨への刺激を与える運動も有効だという報告もあります。ゆっくりとかかとを上げた後、力を抜いてストンと落とす衝撃を与えると骨芽細胞を活性化することができるという説です。ですから日光を浴びながらのウオーキングも有効な方法です。
食事・運動療法も継続することで骨の健康を保つだけではなく、転倒を予防する体のバランス力を鍛え、生活習慣の予防にも繋がります。平均寿命と健康寿命の差を縮めることができれば、より幸せな生活を送ることができるのです。