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物忘れText by 榊原循環器科内科クリニック 榊原 亨
物忘れが多くて、ボケてきたかしら、と心配して外来で嘆く方が居ます。私も物忘れが多いのは負けていないのですが、自分のことは言いません。
物忘れは、年を取ってくると起こる自然な変化なので、ボケ(痴呆、現在では認知症)とは異なります。40歳以降のほとんどの人に起こり、進行することなく、忘れたことを自覚している場合は「物忘れ」で生理的な変化です。認知症では、今日が何日なのか、住所がどこか、一緒に居る人が誰かわからないなど、わからないことだらけになります(認知障害)。さらに、物を盗られたなどの妄想、幻覚、不安やあせりを自覚することもあります。体験の一部を忘れる「物忘れ」と違い、認知症では体験のほとんどを忘れてしまいます。認知症を分類すると、アルツハイマー型、脳血管型とその他の大体3種類に分かれます。アルツハイマー型は、海馬と言う脳の記憶にかかわる部分が萎縮して起こります。脳血管型は、動脈硬化や心臓から血のかたまりが飛んで、小さな脳梗塞(こうそく)を多発した場合や、大きな脳梗塞の後遺症として、認知症になります。この二つのタイプで認知症の八割を占めています。最近の調査では、65歳以上の人たちにおける認知症の割合は、6~7%、1年間に新たに発症する割合は1%と言われています。日本では、脳血管型がまだ多いのですが、近年は、アルツハイマー型が増えて、半々になっています。注意が必要なのは、一時的なボケ状態をせん妄(もう)状態と言うのですが、「今朝から急にボケた」というような場合には他の病気、肺炎や心筋梗塞のせいだったりすることもあります。せん妄状態は元の病気を治療すると回復します。アルツハイマー型は、進行を遅らせる治療しかありませんが、脳血管型は高血圧、糖尿病など動脈硬化を引き起こす病気を治療することで予防できます。アスピリンを少量服用するのが治療にもなります。介護いらずのパワフルな老人になるためには、若い時からと普段からの健康管理が鍵になります。 |
歯やインプラントを長持ちさせるためにText by 北斗歯科クリニック 土永 浩史
歯が無くなった場合、従来では入れ歯、ブリッジが一般的でしたが、それに加えて3つめの方法として、インプラント治療があります。これは、チタン製の人工歯根を、顎の骨に埋めることによりインプラントと骨が化学的に付着し、歯の代わりとなる画期的な治療法です。入れ歯が動く、よく外れて噛めない、という悩みをお持ちの方であればインプラント義歯という方法があります。顎の骨に埋入したインプラントに入れ歯をひっかけ、インプラントを入れ歯の支えにすることで、入れ歯がより噛めるようになります。また、骨の条件が良ければ着脱式の入れ歯ではなく、固定式の被せ物をインプラントに装着することも可能です。またブリッジではなくインプラント治療を選択することで、ブリッジの土台となる歯を削る必要が無くなり、歯の寿命を延ばすことにつながります。しかし、長期的にインプラントをお使いいただいたときにインプラントの周囲の骨を徐々に失っていく「インプラント周囲炎」という症状があります。これはいわば「インプラント版の歯周病」です。通常の天然歯の歯周病は、①歯周病菌、②患者様の感染防御機構や免疫防御の問題、③喫煙、ストレスなどの3つの原因が複雑に絡み合っていると言われています。そのうち、インプラント周囲炎にも1番目の歯周病菌が関わっている可能性が高いことが、我々の臨床研究(※1)などでわかってきました。つまり、インプラント治療後も歯科クリニックでの定期的なケアが有用であることがわかります。患者様の口腔ケアだけでなく、歯科クリニックを上手に活用して残っている歯やインプラントを長持ちさせましょう。1=土永浩史ほか:インプラント周囲炎と歯周病原細菌の関連性についての臨床的検討(日本口腔インプラント学会21,488-489,2008)
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春の検診で視力の用紙をもらったらText by 清水眼科クリニック 清水 信晶
新学期を迎え、我々眼科医も学校健診のため小・中学校を訪れます。視力検査を含め、目の病気が疑われれば専門医を受診するようにと、健診の結果用紙を子供達は学校から頂いてきます。その中で特に注意しなければならないのが小学校一年生の視力検査の結果でしょう。小学校一年生にとって視力という検査は初めての経験で、やり方も良く理解出来ないかも知れません。そのため検査結果が眼科で測る時より悪くなることもあります。しかしながらこの年齢で結果が悪い場合、遠視のお子さんも多く見受けられます。そして、遠視の場合、弱視(じゃくし)や斜視(しゃし)を伴っている場合があり、この一年生の時期を逃すと後でメガネをかけたとしても視力が回復出来なくなってしまうこともある、目にとってラストチャンスの時期だとも言えます。簡単に言うと、近視は少なくとも近くを見ている時にはきちんとピントがあった画像が目にはいるので弱視になることはありません。それに対し強い遠視の場合は近くも遠くもピントがあわず、常にぼやけてしまいます。いつもはっきりしない画像しか見えていないため視機能(ものを見る力)が発達することができなくなります。そのため放置するとメガネで矯正しても視力がでない弱視になってしまったり、また、斜視を来すこともあります。小学生の視力低下にまれに見られるのが心因性視力障害です。お友達がすてきな眼鏡をかけている。「自分もメガネがほしいなぁ」と言うように強く思うだけで視力が出なくなってしまう場合もありますし、お友達とけんかをして「学校に行きたくないなぁ」、などという気持ちが目に表れてしまうこともあります。そういう場合にはご両親はもちろん学校の先生ともよく話し合うことが必要なことがあります。健康診断で視力の結果が悪いときには放置せず、必ず専門医の精密検査を受けましょう。
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屈折と調節Text by 江口眼科病院 良田 浩氣
眼はよくカメラに例えられます。実際に眼球は角膜と水晶体というレンズによって光を曲げて、網膜というフィルムで光を受け取り、脳に映像を送っています。カメラには焦点距離というものがあり被写体との距離が合わなければフィルムに光が集まらずピンボケしてしまいます。人間の眼にも同様にレンズの屈折によって網膜に光が集まる焦点距離があります。網膜に焦点を結ばないとカメラと同様にピンボケした映像しかみることが出来ません。しかし、水晶体を厚くすることで光の曲がり方を変える調節という機能が人間の眼には備わっています。調節をしない状態で遠方からの光が網膜に焦点を結ぶものが正視、5mより近い所からの光が焦点を結ぶものを近視、どの距離からの光も網膜上に焦点を結ばないものを遠視と呼びます。乱視とは、光の入る場所によって光の曲がり方に差ができる為に焦点距離にブレが出ることを言います。健康な眼であっても、成長期や加齢によって、屈折と調節も変化していきます。成長と共に近視になっていけば遠くは見えづらくなり、加齢による調節力の低下で老眼になれば手元が見えづらくなって来ます。光が網膜に集まりにくいために起こる見えづらさは、眼鏡やコンタクトレンズで光の曲がり方を矯正すれば改善することがほとんどです。しかし、年齢とともに変化するのでレンズ作成後も自分の眼とあっているのか定期的にチェックしていただくことをお勧めいたします。また、眼鏡などで屈折を矯正しても見えづらさが改善しにくい場合、白内障や網膜の病気などによって見えづらくなっていることもありますので、そのような時には一度眼科を受診してください。
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粉瘤Text by 五稜郭大村美容形成クリニック 大村 勇二
顔面、頚部、肩、背中などに日常よくできるできものとして粉瘤という皮膚の病気があります。触ると少し弾力性のある皮膚の下のしこりで、大きさは直径0.5~5cm様々です。強く押すとかゆ状の臭い内容物が出てきます。顔面の場合、気になるしこりで触っていると炎症が起き化膿して発赤、熱感、痛みを生じます。原因は毛穴がふさがって皮脂腺が袋状に膨らみ皮脂や角質などが詰まったためですが、それが臭いにおいを放ちます。治療は抗菌剤、消炎鎮痛剤では完治出来ませんので、しこりが炎症を起こす前に外科的に皮膚の下のしこりを袋ごときれいに取り除きます。傷跡も目立ちません。炎症が起こって赤くはれ上がっていう時には、まず、腫れあがったブヨブヨした中心部をメスで切って排膿させ、痛みを治め、抗菌剤、消炎鎮痛剤を内服していただき、炎症が落ち着き小さく限局したしこりの部分を切り取ります。炎症が起こってからの治療は時間がかかり傷跡も目立つことが多く、また、治療を中途半端で中止すると、再発したときにより大きなしこりが出現することがありますので、専門医の指示に従ってください。特に顔面などでは炎症がないしこりの状態で治療を受けましょう。治療期間は炎症のない粉瘤を摘出する場合は1週間程度ですが、炎症が起こってからでは2週間以上かかります。治療は健康保険にて行います。詳細は形成外科の専門医にご相談下さい。
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