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コラムを読む

インスリン注射を怖がらないで

Text by はら内科クリニック 原 信彦
日本では、約65万人の糖尿病患者さんがインスリン治療を受けています。このインスリン注射の位置づけが最近変わってきています。以前は、お薬が効かなくなったときの最終手段として、インスリン治療がありました。しかし、高血糖→インスリンの分泌が悪くなる・インスリンの効きが悪くなる→高血糖という悪循環を断ち切ることを目的に、早期にインスリン治療を行うケースが最近増えています。早期にインスリン治療を行うと、血糖が高くても注射でインスリンを補充し血糖を下げることができるので、自分の膵臓(すいぞう)をインスリンを出さずにしばらく休ませ、回復させるとインスリンを分泌できるようになります。そうすると、注射の量が減り、うまくいくと、内服治療だけで良くなったり、常に良くなると、お薬も飲まずに、食事療法・運動療法をきちんと行うことで維持できるようにもなります。これができなければ、インスリン治療をして一旦血糖は下がりますが、その後体重が増えて結局インスリンの量が増え、血糖も上がるという悪循環になります。糖尿病の薬が効かなくなっても、しばらく飲み薬で治療し、いよいよ血糖値が高くどうしようもなくなってからインスリン治療を開始した場合は、長い間、高血糖で痛めつけられた膵臓は回復せず、その後もインスリンを注射するしかなくなります。また、インスリン注射自体もいろいろ進化しており、以前は食事の30分前に打っていたものが、食事の直前・直後に投与することが可能になってきました。注射器もカラフルなものや、使い捨て型の簡単なものも出てきており、針も非常に細く、さほど痛くありません。また、インスリン治療を行いますと、自己血糖測定器の使用が保険で可能になるので、自分で血糖を測定することができます。それにより、治療へのモチベーションも上がります。医師にインスリン治療を勧められたら、なぜ必要なのか、十分に説明を聞いて、怖がらずにトライしてみる勇気を持って下さい。
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C型肝炎の治療は新時代へ

Text by 弥生坂内科クリニック 渡辺 雅男
肝臓病の原因は数多くありますが、B型肝炎・C型肝炎に代表されるウイルス性の慢性肝炎は特に気を付けなければならない病気です。これらは主に輸血など血液を介して感染しますが、感染ルートが不明の場合も少なくありません。この病気の怖いところは、感染後長年症状のないまま肝硬変や肝臓がんになっていくことです。今から30年ほど前までは有効な治療法がなく、肝機能をできるだけ維持する治療を行うのが精一杯の時代が続きました。1980年代にウイルスの排除(追い出すこと)を目的とするインターフェロン治療が始まりました。しかしインターフェロンは長期間頻回の注射を必要とする上に副作用も多く、その上ウイルス排除の成功率も低かったため満足できる状況とは言えませんでした。B型肝炎については2000年頃よりウイルスの増殖を抑える内服治療が登場し現在も多く使われていますが、C型肝炎の方はインターフェロンを必要とする時代が長く続きました。しかし昨年その状況に風穴があくことになりました。C型肝炎に対して副作用も少なくウイルス排除の成功率が85%から100%という内服治療薬が登場したのです。インターフェロン時代の苦労を考えるとまさに夢のような数字といえます。C型肝炎ウイルスにはいくつかの型があり、発売当初は日本人に最も多い1型に対する薬でしたが、今年に入って2型に対する治療薬も登場し日本のC型肝炎のウイルス型をほぼ網羅できるようになりました。さらに治療期間も当初の6カ月間から3カ月間に短縮されつつあるなど、次々に新薬が登場しています。C型肝炎はまさに治る時代に入ったといえるでしょう。医療の進歩というよりメーカーの開発競争の成果としての側面も大きいわけですが、結果として多くの患者さんがその恩恵をうけ健康を取り戻せるようになります。治療には国や道の医療費助成を受けることができますので、消化器病・肝臓病の専門医によく相談しましょう。
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春、学校健診の季節ですが

Text by 清水眼科クリニック 清水 信晶
新学期を迎え、我々眼科医も学校健診のため小・中学校を訪れます。視力検査を含め、目の病気が疑われれば専門医を受診するようにと、健診の結果用紙を子供達は学校から頂いてきます。その中で特に注意しなければならないのが小学校一年生の視力検査の結果でしょう。小学校一年生にとって視力という検査は初めての経験で、やり方もよく理解出来ないかも知れません。大勢のお友達の中で検査に集中出来ないこともあるでしょう。そのため検査結果が実際より悪くなりA(1.0以上)にならないと言うこともあります。しかしながらこの年齢では結果が悪い場合、遠視の場合が多く見受けられます。そして、遠視の場合、弱視(じゃくし)や斜視(しゃし)を伴っている場合があり、この1年生の時期を逃すと後でメガネをかけたとしても視力が回復出来なくなってしまうこともある、目にとってラストチャンスの時期だとも言えます。簡単に言うと、近視は近くは見えて遠くがピントがぼやけてしまう状態です。少なくとも近くを見ている時にはきちんとピントがあった画像が目に入るので弱視になることはありません。それに対し遠視の場合、もし度数が強ければ近くも遠くもはピントが常にぼやけてしまいます。いつもはっきりしない画像しか見えていないため、視機能(ものを見る力)が発達することができなくなります。そのため放置するとメガネで矯正しても1.0が出ない弱視になってしまうことがあります。また、斜視を来すこともあるのです。子供の視力は生まれたときは0.01しか有りませんが、次第に発達して4~5歳で1.0となり、視力が完成すると言われています。ですから6歳になっている小学校1年生は視力にとって非常に大事な時期といえるのです。視力の結果が悪いとき、斜視の疑いがある場合には必ず専門医の精密検査を受けましょう。
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過敏性肺臓炎という病気をご存知ですか?

Text by ききょう内科クリニック 蓮沼 晶子 院長
一般的な肺炎は細菌やウイルスなどの病原体が肺に感染することによって引き起こされる炎症ですが、過敏性肺臓炎はそれ自体病原性や毒性を持たないカビや、動物性蛋白質などの有機物・あるいは化学物質などを繰り返し吸い込んでいるうちに肺が過剰反応を示すようになり、アレルギー性の炎症が生じて引き起こされます。過敏性肺臓炎の症状は発熱や咳・呼吸困難感・だるさなどです。喘鳴(呼吸のたびにぜいぜいする)を伴う方も多く、レントゲン写真上は淡い炎症像を認めます。抗原の多くは患者さんの自宅や職場に潜んでいるため、その環境から離れると症状が軽快・消失し、再びその環境に戻ると悪化します。このような状態が続くと肺に繊維化と呼ばれる不可逆的な変化が生じ、慢性的な咳や呼吸困難感で悩まされることになります。日本でよくみられる過敏性肺臓炎には以下のものがあります。①夏型過敏性肺炎:高温多湿になる夏季に発症しやすく、冬季にはみられません。湿気の多い古い家屋を好むトリコスポロンというカビが抗原です。②農夫肺:北海道や岩手県などの酪農家にみられ、干し草のなかの好熱性放線菌というカビが抗原です。③換気装置肺炎(空調肺、加湿器肺):清掃を怠ったエアコン(空調)や加湿器に生じたカビ類を吸い込むことによって発症します。④鳥飼病:鳩やインコなどの鳥類を飼育している人、あるいはその周囲で暮らしている人に発症します。抗原は鳥類の排泄物にふくまれる蛋白質といわれています。⑤職業性の過敏性肺炎:キノコ栽培業者がキノコの胞子を吸入して生じる過敏性肺炎やポリウレタンの原料であるイソシアネートを吸入して生じる過敏性肺炎などが知られています。北海道では農夫肺・キノコ栽培者の肺炎が多いです。治療法は抗原からの回避とステロイドホルモン剤です。頻度の高い疾患ではありませんが熱や咳などの症状が繰り返される方は過敏性肺臓炎を起こしていることがあります。
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口腔清掃不良の意外な落とし穴

Text by 北斗歯科クリニック土永 浩史
歯に付いている白いもの、つまりプラーク(歯垢)。これは主に口腔内細菌と食べ物の残りかすからできています。この中にはミュータンス菌(Streptococcusmutans)と呼ばれる虫歯を引き起こす細菌が含まれています。ミュータンス菌は非水溶性グルカン(歯面にくっつく接着剤のようなもの)を産生し、歯面に強く付着する能力を持ち、虫歯を発生させます。その他にコラーゲン結合タンパクも保有し、血流に乗って心臓まで到達した後に心臓軟組織に付着して、感染性心内膜炎を起こす起炎菌としても知られています。最近の研究報告では、ミュータンス菌がこのコラーゲン結合タンパクを保有することで、お口から入ったミュータンス菌が脳血管の傷ついたところにくっつき、局所的な炎症を起こし、また出血を止める役割である血小板の凝集阻害を起こして、脳出血を起こすのではないかと考えられています。歯周病菌細菌が動脈硬化や糖尿病などと関連があるのは以前お伝えしてきましたが、歯周病に罹患していなくとも、口腔清掃を怠るとこういった虫歯菌は増えていくことになります。このような細菌が重大疾病に関連があるのは驚くべきことです。私たちは毎日ブラッシングを行い、また歯間ブラシやフロスなどの補助清掃器具を細かく上手に歯面に当て、お口の健康を保っています。また、歯間ブラシやフロスなどの補助清掃器具を細かく上手に歯面に当て、お口の健康を保っています。また、萌出したての乳歯や永久歯をもつ子どもにはフッ化物を用いることが有効となります。しかし、歯科医院へ来院し、口腔清掃やフッ化物塗布などをしなくとも虫歯に罹患せず、いわゆる「歯医者いらず」の方もいらっしゃいます。虫歯の罹患しやすさは歯質の強さや食習慣など個人差があります。このような虫歯になりにくい方でも、ご自身で清掃できなかった部分を歯科医院でキレイにしてもらうことは、健康の維持に有益であると思われます。
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