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糖尿病網膜症(とうにょうびょうもうまくしょう)

Text by 江口眼科病院 森 文彦
糖尿病の患者さんはその予備軍を加えると1500万人に及ぶといわれ、日本人のほぼ10人に1人ということになります。その合併症の一つである糖尿病網膜症の有病率は約30%です。糖尿病になると、眼の神経の膜である網膜に酸素や栄養を送っている血管の一部に瘤(こぶ)ができ、脂肪やタンパクがにじみでたり、瘤が破れて出血したりします。さらに進行すると血行が悪くなって、網膜への酸素や栄養がとだえ、網膜のあちこちに病的な新生血管ができます。この血管はもろく、出血しやすく硝子体出血や網膜剥離(もうまくはくり)を引き起こし、失明に至ることがあります。糖尿病網膜症の治療は、内科医による血糖コントロールと、眼科医による網膜光凝固や硝子体手術ということになります。糖尿病患者さんは、診断がついたらすぐに眼科医による定期的な眼底(がんてい)検査が必要です。
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脳梗塞(のうこうそく)予防に禁煙を

Text by 函館西部脳神経クリニック 小保内 主税
今年、法律の改定で、禁煙が保険診療の対象となりました。何故、今、「禁煙」なのでしょうか?脳梗塞と喫煙の関係から考えてみます。欧米では、喫煙により脳梗塞の危険が二倍以上に増えると言われています。日本の研究では、脳梗塞をラクナ梗塞(小さな梗塞のことで、無症状の場合に“隠れ脳梗塞”とテレビでは呼んでいるようです)、アテローム血栓性梗塞(主に太い動脈にコレステロールが溜まって発生します)、心原性塞栓症(しんげんせいそくせんしょう―不整脈などの心臓病が原因の脳梗塞)の三つのタイプ別に発症率を調べたところ、ラクナ梗塞でのみリスクの上昇が明らかでした。喫煙は動脈硬化を進行させ、血液粘度も上昇させる(いわゆる、“血がドロドロになる”)ために、脳梗塞を生じやすくすると考えられています。細い血管が詰まって生じるラクナ梗塞との関係が深いことから、喫煙によるリスクの上昇は血液粘度の上昇などの影響が大きいと考えられています。ところが、血液粘度は禁煙により改善することが可能なのです。欧米の研究によると、脳卒中のリスクは禁煙後二年以内に急速に低下し、五年以内に非喫煙者と同じレベルになるといわれています。最近、コレステロールなどによる動脈硬化は、薬を長期に服用することで、ある程度改善するといわれていますが、禁煙は薬の要らない、即効性のある脳梗塞の予防手段なのです。医療費を削減したい政府にとって、格好の方法だということがお分かりでしょう。禁煙は政府にだけ都合がいいのではありません。愛煙家にとっても、お金がかからず(むしろ日々のタバコ代が浮きます)、健康になれる絶好の方法なのです。昔、喫煙を注意された高校生の父親が、呼び出した教師がタバコを吸うのを見て、「いい大人がタバコを吸うなんて○○じゃないの。タバコなんてものは、子供がいたずらするもので、大人になったら止めるものだ」と言うコントがありました。皆さんはどう思いますか?
(○に当てはまる文字はご自分でお考え下さい)
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美肌と脂肪

低コレステロール食を心がけるダイエットは老化を早めます。「太ること=脂肪」と感覚的に考えている方は多く、簡単に考えて脂肪(油)分が多いと思われる食べ物を避ける傾向があります。体重の減少だけを考えるダイエット、栄養のバランスを考えない偏った食べ物だけをとる食事習慣など、ストレスの多い環境でこのようなバランスの悪い食事習慣は栄養障害を起こし、皮膚のしみ・クスミ、色素沈着など肌の難治性トラブルを起こすことがあります。食事をするときに大切なことは、ただ感覚的に脂肪成分の多そうな食べ物を避けるのではなく、脂肪は選んで摂取することが大切です。脂肪にはいろいろな脂肪酸の形で食べるのですが、中でも選んでとって頂きたい良質の脂肪酸はEPA・DHA(ω[オメガ]3脂肪酸)、オリーブ油、中鎖脂肪酸のオイルです。とくに青身魚(イワシ、サバ)の油ω3脂肪酸は血液をサラサラにしたり、肌の慢性の炎症、乾燥に良いといわれています。脂肪は3大栄養素の一つでとても大事な栄養素で、身体を構成する数十億の細胞を仕切る細胞膜の大事な成分であり、脳の主たる構成要素なので、個々の細胞環境を維持したり、脳の情報伝達機能を高めたり、また、女性ホルモンを産生する材料として非常に大切な成分です。体内の脂肪を検査する血液検査では総コレステロール値として表示され、220mg以上が異常値といわれていましたが、最近の疫学的検査から総コレステロールが180mg/dl以下の方が220~240mg/dlの方より癌発生率や死亡率が2.5倍高い、また、総コレステロールが240~280mg/dlの方がいちばん低い死亡の危険率であるなどのデータがあり、総コレステロールが250mgあっても悪玉コレステロールLDL(最近では善玉コレステロールHDL、悪玉コレステロールLDLとして表示されています。)や中性脂肪が高くなければリスクは高くないといわれています。健康な美肌のためには野菜、お肉、魚、卵を良質な油で調理した胚芽米食生活をお勧めします。
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腹八分とはよく言ったもの

Text by はら内科クリニック 院長 原 信彦
最近健康診断で肝機能障害はありませんでしたか?自粛による巣ごもり、なんとなく運動も控えがち、いわゆるコロナ太りの患者さんが目立っています。アルコールを飲まなくても、肝機能障害は起こります。いわゆる脂肪肝です。この脂肪肝には、最近、曲者がいます。全く症状がなく、徐々に進行して、気が付いた時には肝臓の終末状態になってしまう、非アルコール性脂肪肝炎「NASH」です。脂肪肝に、①肥満②2型糖尿病③下記代謝異常のうち2項目以上を合併する場合(ウエスト周囲罫の増大~男性90センチ女性80センチ以上・高血圧症・高中性脂肪血症・低HDLコレステロール血症・耐糖能障害いわゆる糖尿病予備軍・インスリン抵抗性・高感度CRP高値)をMAFD(metabolicdysfunction-associatedfattyliverdisease)代謝異常を合併する脂肪肝と呼ぶようになってきています。このMAFLDの方々が、NASHとなりやすいといわれています。あれ?でもこれって私かも?と思う方も多いと思います。いわゆる生活習慣病の重なっている状態です。治療も食事療法・運動療法によるダイエットが基本となります。運動療法は、消費カロリーの多いランニング等の有酸素運動が勧められていましたが、最近では、筋トレ等のレジスタンス運動も、同様に効果的であることがわかってきました。運動内容にかかわらず、脂肪肝の改善効果は、運動の実施時間に比例していることが報告されています。体重減少の効果は、7%の体重減少で肝臓の組織についた脂肪が取れてきます。10%の減量では、肝臓が固くなる線維化という現象が改善してきます。食事療法は、カロリー制限が重要であり、内容も炭水化物50%脂質20~25%に制限することが推奨されています。医食同源・腹八分とは、よく言ったものです。難しく考えず、脂っこいものを少なくして腹八分の食事を目指しましょう。残り物が出た場合、もったないといって食べずに、冷凍・冷蔵保存、もしくは、食べない努力を!フードロスの観点からは、食材を残さないで済む買い物をしましょう。
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男性の性(18)

Text by 岡本ひ尿器科医院 岡本 知士
大手のコンドームメーカーが昨年行った世界41カ国30万人以上の成人性交回数調査によると、日本人は年平均45回(月平均3.75回)で41か国中最下位、40位のシンガポール年平均72回や、41カ国平均の年平均102回にも大差で、1位のギリシャ年平均138回(月平均11.5回)、前回1位で今回5位のフランス年平均120回(月平均10回)の3分の1程度しか性交していないという驚きの結果(日本人にしてみれば他国の性交回数が多すぎるのが驚き)が出ました。全体としては肉食中心の欧米の回数が多く、穀物食中心のアジアで回数が低い結果でした。この結果を素直に見ると、前回、男性の性(その17)で述べた、恋愛・セックスに淡白な草食系・草食男子という言葉は単なるイメージだけでなく、実際の食生活と性行動を反映している言葉だ、という仮説が当たっていたことになります。それでは次に昔と今の日本人の性生活を比べてみます。江戸時代の貝原益軒著『養生訓第62章交接の回数と年令』には『人、年二十の者は四日に一たび泄らす。三十の者は八日に一たび泄らす。四十の者は十六日に一たび泄らす。五十の者は二十日に一たび泄らす・六十の者は精をとじて泄らさず。もし体力さかんならば、一月に一たび泄らす。』とあります。60歳代を便宜上30日に1回として計算してみると、20歳代から60歳代の至適射精回数は貝原益軒先生によると平均15.6日に1回、月平均1.92回となります。精を泄らす=射精回数と性交回数は厳密には違うので、自慰がタブー視されていた江戸時代では性交回数は射精回数より若干多いことが予想され、推奨性交回数は月3回程度と推定されます。江戸時代より現代は月に1回程度性交回数が増えていますがこの分が肉食が増えた分と考えると、今も昔も体質的に日本人はセックスに淡白なのかも知れないなあ、と思います。(つづく)
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