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家庭血圧の値のバラツキ=血圧変動

Text by 関口内科 関口 洋平
「先生、家庭血圧の値のバラツキが大きくなったのは、私の機械が壊れているのでしょうか?」と、高血圧で通院しているAさんは首をかしげて聞いてきました。どうやら、毎朝きっちりと同じ時刻、同じ姿勢で家庭血圧を測定しているのに、季節が秋に入った頃から、測るたびに血圧の値が大きく違うようになり、自分の家庭血圧計が信用できないとの相談でした。血圧の値は測定する度にバラツキがあるものです。これを血圧変動といって、病院で測る診察室血圧も家庭で測る家庭血圧にも必ず変動があります。以前は、測定器の機械的誤差や測定方法が丁寧でないことなどが、血圧変動の主な原因と考えられていました。しかし2010年頃から、血圧変動が大きいことが脳卒中の発症と関係があるとの研究結果が報告されるようになり、血圧変動は老化や動脈硬化の進行とも深く関係があると考えられるようになりました。血圧変動には、夏に低く冬に高くなる「季節変動」、病院の定期受診時に測定する度に違った値となる「受診間変動」などがあります。さらに近年は家庭血圧測定が普及したことによって、毎日測定すると毎日違う値となる「日間変動」、朝と夜などの1日の中で違う値となる「日内変動」、さらに1機会に複数回測定した場合に違う値となる「測定間変動」などが容易に調べられるようになりました。最近はそれらの変動に関して幾つもの研究がされるようになり、血圧を下げる薬の中でも特にカルシウム拮抗薬が、「受診間変動」を小さくすることで、脳卒中を予防する可能性がある事が分かってきました。Aさんのように気温が寒くなり始める秋頃から血圧変動が大きくなる人は、動脈硬化が進行していると思われますので、冬期間は気温の低い場所に突然出ることを避けるなど気温の変化に注意することで、血圧変動を大きくさせない生活をおくることがとても大事です。
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浅いシミ、深いシミの治療アプローチ

シミには皮膚の浅いところにあるシミと深いところにあるシミとに分けられ治療方法が異なります。治療方法を間違えるとかえって色素が濃くなりますので、注意深い診断と適切な治療が必要です。浅いところの代表的シミには老人性色素斑、脂漏性角化症など、深いところのシミには肝斑などがあります。シミの深さによって様々な治療法があり、かかる費用も様々です。大切なことは個々の治療方法について専門医と十分に相談したうえで、治療を受けていただくことです。また、その補助的な方法として、ビタミン、アミノ酸、ミネラルをバランスよく摂っていただき、肌の栄養環境を整えることがキーポイントです。例えば、栄養環境の悪い砂漠で、植物に光りを照射しても変化がないように、環境をオアシス化してから照射すれば、芽も葉も生えて来ます。肌のためにはバランスのとれた食事と規則正しい生活が必要であることは言うまでもありませんが、サプリメントの摂取など、皮膚の栄養環境を整えるためビタミン、アミノ酸、ミネラルをより積極的に摂っていただくための方法もアドバイスできますので、医師にご相談ください。
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加齢黄斑変性治療の現況

Text by 江口眼科病院 森 文彦
加齢黄斑変性は欧米で多い疾患でしたが、わが国でも増加し、現在視覚障害の原因の第4位です。眼に入った光の情報は角膜、水晶体、硝子体を通って網膜に像を結びます。網膜の中心にある黄斑は視覚をつかさどる重要な細胞が集中し、ものの形や大きさ、色などを識別しています。加齢黄斑変性はここに新生血管が生じ、視機能が低下します。これまで治療法はありませんでしたが、2005年から光線力学的療法(PDT)が始まりました。これは薬剤を静脈注射し、黄斑にレーザーを照射することで薬剤が反応し、新生血管だけを退縮させる治療です。08年からは血管内皮増殖因子(VEGF)の働きを抑える薬を眼に注射し、新生血管を抑制する抗VEGF療法が行われています。これはPDTよりも視機能の改善の効果があり、現在治療の中心となっています。薬剤が高価であることや再発に対して繰り返し投与しなければならないことが今後の課題です。12年に人工多能性幹(iPS)細胞の研究がノーベル賞を受賞しました。14年にそれを臨床応用し、自分のiPS細胞から作られた網膜細胞の移植が1例行われ、悪性化や拒絶反応はなく、術前矯正0・1程度の視力が維持されているとのことです。昨年には他人のiPS細胞から作られた網膜細胞の移植が5例行われました。これも安全性を確認する臨床研究ですが、そのうち1例で合併症を認めました。今後、この治療のさらなる開発、改善が期待されますが、視機能の改善が認められ、広く行われるようになるまでにはまだ時間がかかると思われます。現況としては早期から現在の抗VEGF療法を開始し継続することが望ましいでしょう。
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新型コロナウィルス対策=眼科医の立場から

Text by 藤岡眼科 藤岡 聖子
新型コロナウイルスの感染症の患者数が再び全国的に増加する中、感染拡大防止には各自が感染しない・感染を広めないという意識を更に強く持って行動することが大変重要です。ウイルスは目に見えないので本当に怖いです。誰が感染者か見えません。私達も知らぬ間に感染しているのに症状が出ていないだけかもしれません。感染経路は、飛沫感染(咳・唾)と接触感染の2つに分けられ、眼を介して感染する可能性もあります。感染時には眼症状として、結膜炎が数%の頻度で出ることが報告されています。発症前でもウイルスが排出されている可能性があり、どこからウイルスが付着しているのかわかりません。そのため、よく手洗いし・他人と接する場所にマスクの着用をするのは、うつらない・うつさない為のマナーです。眼科分野で言えば、コンタクトレンズ(CL)の使用が感染リスクを高める証拠はありませんが、CLは手指で触り、目から出し入れするので、CL装用者は、特に気をつけるべきで、石鹸を用いた手洗いを外す時にも必ず行って下さい。入れる前は洗っていても、外す前に手を洗う意識が少ない方が多いようです。また、従来通りCLケースの乾燥・CL保存消毒液を毎回交換することも徹底して下さい。ウイルスは、涙や鼻・口の粘膜から感染する場合もあります。マスクを外して食事をする際に口の汚れを手で拭ったり、うっかり鼻や目をこすったり、顔をいじる癖のある方は危険です。結膜炎+風邪症状が強い場合は、眼科受診をされても、ウイルスが見えるわけではなく、流行り目との区別もつかないのが現状ですから、むしろ外出を控えて下さい。とにかく頻回の手洗いをし、会食に参加しないことが感染予防に効果的です。
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乾き目なのに涙目[結膜弛緩症(けつまくしかんしょう)]

Text by 清水眼科クリニック 清水 信晶
白目(強膜:きょうまく)の表面は結膜(けつまく)という薄い膜で覆われています。その結膜は黒目(角膜:かくまく)から始まって外側へ伸び、数㎝外側でUターンして赤目(眼瞼:まぶた)の表面から瞼の縁まで戻ってきます。両手で薄い透明なビニール袋を持っている状態を想像してみてください。そのビニール袋の中に涙がたまっていて瞬きをする度に開いている側から涙が流れ角膜の表面を覆って潤してくれます。年齢とともにこの結膜がゆるんでだぶついてきてしまう方がいます。この状態を結膜弛緩症といいます。結膜弛緩症になると、例えば下瞼でゆるんできた結膜は上の方に上がってきて、下瞼の縁からはみ出して角膜の上まで飛び出して、下瞼の縁から白目の固まりが盛り上がって見えるようになっています。この状態になると、結膜の折り返し部分に涙をためることが出来ないため涙があふれて涙目になってします。でも逆に、折り返し地点に涙がちゃんとたまっていないということは瞬きをしたときに涙が黒目をきれいに覆うことが出来ず、すぐに涙が蒸発してしまいます。ですから、結膜弛緩症の方の問診票を見ると、「涙が多い」と、「目が乾く」の両方に丸がついている場合がよく見られます。そのほかに、シブシブする、イズい、目やにがたまる、涙が目尻にあふれるので目尻の皮膚が肌荒れする、といった症状も出てきます。治療法としては、結膜を引っ張って張りを持たせた状態で強膜に縫い付ける結膜縫合術(けつまくほうごうじゅつ)を行います。程度の軽い場合には電気焼灼等方法で簡単に行うことも出来ますが、引っ張って強膜に縫い付けることもあります。程度の重い場合には結膜を一部切り取ってから縫い付ける場合もあります。涙目だけれど乾き目、シブシブする、朝に目やにがたまっているという方は一度眼科を受診して結膜の状態をチェックしていただきましょう。
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