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コラムを読む

鼻の調子が悪く、いつまでも治りません。単なる風邪ではないのでしょうか?

Text by 治耳鼻咽喉科 山口 治浩
症状が2週間も続くならアレルギー性鼻炎の可能性も。子どもの場合には続発する中耳炎も心配。早期受診が大切冬といえば風邪の季節ですが、その中で一見風邪の症状だと思っていたものが、実はアレルギー性鼻炎による症状の悪化である場合が意外と多く見られます。風邪だと思っても、症状が2週間も続くようであれば何らかの慢性的な状態が考えられます。また、必ずしもアレルギー性のものではない場合もあるため、いずれにしても医療機関で検査してみる必要があります。通年性のアレルギーは基本的にハウスダストやダニが原因で、すでに鼻は過敏な状態にあります。そこに冬場は寒暖差や湿度差が激しいなどの物理的刺激が多くなるため、鼻の調子が悪くなりがちになるのです。経験的に秋口から寒くなって、乾燥が進む季節に入ると調子を悪くして不安定な状態に陥る人が多いので、その季節から注意が必要です。ただアレルギー性鼻炎の発症を予防することは難しく、すでにアレルギー性鼻炎と診断されている人であれば、事前に薬を飲むなどの対策もとれますが、既往症がない人ではいかに初発症状を見逃さず、少しでも早く専門医を受診することが大切といえます。特に注意しなければならないのは、子どものアレルギー性鼻炎で、意外と放置された状態のままの子どもが多いのです。鼻の状態が悪いと風邪をひきやすく、またアレルギーなどで鼻の状態が常に悪ければ、いずれ鼻の機能がまったく失われてしまいます。例えば鼻から空気を吸った際に、鼻の中で粉塵(ふんじん)や細菌を取ったり、空気を加湿化し肺に送るという大事な機能がまったく破綻してしまうわけです。当然あらゆる感染症にも罹りやすくなってしまいます。さらに鼻の状態が悪いと、結果的に中耳炎にも罹りやすくなるのです。中耳炎が子どもに多いのも、そういったことが関係していて、多くの場合、風邪から鼻の調子を悪くしてしまい、続発的に中耳炎を起こしているのです。そのため中耳炎の発症も冬場に多く見られます。その意味では、中耳炎の治療のポイントは、鼻の状態のコントロールにあるということがいえるわけです。また、治療には抗生物質の適切な使用が重要です。一般的風潮として抗生物質は敬遠されがちですが、特に幼少期に起こす中耳炎や鼻炎の細菌の種類は決まっていますので、その動向を見極めて適切な抗生物質を選び使用することで、それぞれの症状も速やかに改善されます。耳鼻科は基本的に感染症外来です。風邪も感染症ですので、鼻の調子が悪いなどの症状が長く続く場合や、特に学童期以下の子どもの場合には、まず耳鼻科への受診をお勧めします。
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美肌と脂肪

低コレステロール食を心がけるダイエットは老化を早めます。「太ること=脂肪」と感覚的に考えている方は多く、簡単に考えて脂肪(油)分が多いと思われる食べ物を避ける傾向があります。体重の減少だけを考えるダイエット、栄養のバランスを考えない偏った食べ物だけをとる食事習慣など、ストレスの多い環境でこのようなバランスの悪い食事習慣は栄養障害を起こし、皮膚のしみ・クスミ、色素沈着など肌の難治性トラブルを起こすことがあります。食事をするときに大切なことは、ただ感覚的に脂肪成分の多そうな食べ物を避けるのではなく、脂肪は選んで摂取することが大切です。脂肪にはいろいろな脂肪酸の形で食べるのですが、中でも選んでとって頂きたい良質の脂肪酸はEPA・DHA(ω[オメガ]3脂肪酸)、オリーブ油、中鎖脂肪酸のオイルです。とくに青身魚(イワシ、サバ)の油ω3脂肪酸は血液をサラサラにしたり、肌の慢性の炎症、乾燥に良いといわれています。健康な美肌のためには野菜、お肉、魚、卵を良質な脂肪で調理した胚芽米食をお勧めします。
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糖尿病網膜症診療の現況

Text by 江口眼科病院 森 文彦
現在、糖尿病とそれを強く疑う患者さんは1000万人を超えるといわれています。糖尿病になると網膜血管の細胞が高血糖になって障害され、糖尿病網膜症になります。糖尿病網膜症は糖尿病の最も怖い合併症の一つで、糖尿病患者の15~30%に生じます。初期には自覚症状がなくじわじわ進行し、網膜症が起こるのは糖尿病発症後平均7~8年です。1992年に糖尿病網膜症は視覚障害の原因の1位でしたが、2017年には3位となっています。これはこの25年で内科の先生による血糖コントロールがより良好に行われるようになったことと、早期に糖尿病網膜症の診断・治療がされるようになったこと、そして眼科診療の進歩によると思われます。糖尿病網膜症に対する病態の把握はこれまでの眼底検査や眼底造影検査に加えて、光干渉断層計(OCT)や広角眼底検査によってより正確にされるようになりました。また、糖尿病網膜症の治療は網膜レーザー光凝固や硝子体(しょうしたい)手術の普及により失明に至る患者さんは減少しました。重度の視力障害になる患者さんは減少しましたが、現在糖尿病黄斑浮腫による視機能の低下が問題になっています。黄斑浮腫の治療はこれまでの網膜レーザー光凝固、硝子体手術に加えて、ステロイドの眼局所投与、VEGF阻害剤硝子体投与が行われています。以前より視機能の改善が期待できるようになりましたが、まだまだ限界があります。さらに最近ではOCTAngiographyという造影剤を使わない検査やパターンスキャンレーザー、小切開硝子体手術のような低侵襲の治療が行われています。診療はより進歩していますが、早期発見、早期治療が重要です。血糖検査を行い、糖尿病と診断されたら眼科を定期的に受診することをお勧めします。
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歯根は虫歯にかかりやすい

Text by 北斗歯科クリニック土永 浩史
深い歯周ポケットのある歯周病にかかっていらっしゃる方は、歯の動揺や歯肉の腫れ、歯肉からの出血、お口のネバネバ感などの症状で悩まされているかと思います。歯科医院で歯周病治療を始め、健康な歯肉を取り戻しつつあると、今まで腫れていた歯肉は引き締まっていきます。逆に歯と歯の間の隙間が拡がるため、食べ物が挟まりやすくなったり、また歯根の露出量が増えるため、冷たい水でしみる知覚過敏症状が起きることがあります。このような症状の他に起きる大きな問題点のひとつとして、根面う触(こんめんうしょく/歯根の部分の虫歯)があります。この歯根部の虫歯は歯周病の方だけでなく、加齢とともに歯肉が下がった高齢者に発症しやすく、60歳以上では2人に1人の割合で発症しているという報告があります。歯冠(歯の上の部分)はエナメル質で覆われていて、PHが約5.5以下になると脱灰されるのに比べ、歯根では象牙質が薄いセメント質に覆われていて、PHは約6.7以下になると脱灰されますので、歯冠よりも歯根の方が虫歯にかかりやすいと言えます。根面う触がおきやすくなる原因として、高齢になると歯を虫歯や歯周病から守る唾液の量が減るため口腔乾燥症を起こすことがあげられます。加えて、降圧薬や利尿薬、坑うつ薬等の多種の薬剤の副作用や、糖尿病やシェーグレン症候群でも口腔乾燥症が生じやすくなります。また、そもそも歯根の形はくぼんでいる部分もあるためブラッシングしにくく、プラークを残しやすいので虫歯にかかりやすいと言えます。根面う触の予防には、フッ化物入りの歯磨剤を用いたブラッシングを行い、歯間ブラシや電動歯ブラシの併用も効果があると思われます。根面う触に対してフッ化物入り歯磨剤を用いた場合、67%のう触予防効果があったという報告があります。さらにご自身で清掃が難しい部分を、定期的に歯科医院でケアすることをおすすめします。
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脳動脈瘤の自然歴

Text by 函館西部脳神経クリニック 小保内 主税
病気の「自然歴」とは、その病気を放っておいたらどうなるかということです。病気は、何でもかんでも治療するわけではなく、自然に治るものや、治らなくても生活に支障なく、寿命を全うできると思われるものもあります。一方、治療にも危険が伴うことがありますので、放っておいた場合の危険と、治療に伴う危険とを天秤にかけて治療するかどうかの判断をします。脳動脈瘤は破れると半数の方が命を落とすとも言われる恐ろしい病気です。また命が助かっても、多くの方が障害を残します。その恐ろしさ故に、かつては検査で偶然見つけた動脈瘤に対して、積極的に手術する傾向がありました。しかし、治療には危険が伴いますから、そのような姿勢に対する批判の声も多数ありました。また、MRIなどの診断機器の発達に伴い、動脈瘤が発見されることが増えてくる一方で、昔から動脈瘤の自然歴が不明でした。そうした中、1998年に発表された欧米の研究結果では、脳動脈瘤の破裂の危険性が、年率0.05%と予想外に低かったため、大変な議論となりました。そこで日本脳神経外科学会が中心となって、2001年から新しく研究を開始しました。その研究結果が、つい最近発表されました。全体としての破裂リスクは年率1%程度と、実際に破裂脳動脈瘤を扱っている脳外科医の実感と一致する結果でした。さらに動脈瘤の場所や大きさ、形による危険性の違いも示されました。これまで脳ドックなどで動脈瘤が見つかった場合、治療をどうするか相談するのに、しっかりした根拠に基づくデータがなかったために、脳外科医も困っていました。今回の研究方法には、まだまだ議論の余地があります。しかし、その判断を下すための材料として、今までの研究報告よりもしっかりとした根拠が示されたものと考えます。個々の患者さんについては、個別の状況から治療方針を決めなければなりませんが、医師として、患者さんに説明するとき、これまでよりも自信をもってお話ができるようになりました。
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